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蛮王(バンキング)(漫画/土山しげる、原作/平井りゅうじ、ゴマブックス)は、家族を奪われた銀行員の復讐を描く社会派漫画

蛮王(バンキング)(漫画/土山しげる、原作/平井りゅうじ、ゴマブックス)は、家族を奪われた銀行員の復讐を描く社会派漫画

蛮王(バンキング)(漫画/土山しげる、原作/平井りゅうじ、ゴマブックス)全4巻は、家族を奪われた銀行員の復讐を描く社会派漫画です。他家に婿養子に入って姓を変え復讐しますが、“切った張った”ではなく合法的に相手を失脚させていきます。

『蛮王』(バンキング)は、平井りゅうじさんの原作、土山しげるさんの漫画で、ゴマブックスから上梓されています。

この記事は、Kindle版をもとにご紹介しています。

単行本の全4巻が、2023年2月28日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

『蛮王』は、幼少時に巨大な陰謀により家を焼かれ、祖父、母、など家族を奪われた主人公の兵頭史彦。

その後、父親によって神崎家の養子となり姓も変わりますが、努力して屈指のメガバンク、明和銀行に就職しました。

ところが、派閥抗争のあおりを食って、本店の資料部という窓際部署に左遷。

その際、史彦は、父親の遺品の中にあったフロッピーディスクから、兵頭家を崩壊に追いやった黒幕の正体が、明和銀行会長・天野晋造と羽鳥建設会長・羽鳥徳助であることを記録するデータを発見します。

もっとも、窓際部署への左遷は、逆に史彦に好都合でした。

史彦は行員としての仕事をそつなくこなしながら、自分の家庭にも正体を明かさず、人生をかけた復讐を少しずつ敢行していきます。

途中、業務の内容が変わったことで知り合った同志の殉死も経験するなど、決して復讐劇は順風満帆ではありませんが、それゆえに作品としての奥深さも感じます。

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お家を焼き払った金融資本と産業資本の結託

物語は、いきなり火災のシーンから。

お屋敷が燃えています。

長男(主人公・兵頭史彦)が助け出されましたが、妻が逃げ遅れ、祖父は部屋の中で自決していました。

兵頭史彦の頭に、火花が落ちて「アツイ!」

これは説得力がある描写です。

私も火災を経験しましたが、2歳の次男が、顔に火花による火傷を負っていました。

そして、史彦はおとなになり、妻と娘2人の生活を送っています。

火災後、神崎家と養子縁組して神埼史彦になりました。

勤務先は、明和銀行本店。

一見エリートですが、仕事場は窓際族の資料部です。

しかし、それは世を忍ぶ仮の姿。

窓際族であることを利用して、昼間から自由に動いています。

資料部に左遷されたことで、兵藤家崩壊のからくりを知ったのです。

明和銀行と羽島建設が手を組み、町を乗っ取ったことを。

明和銀行会長・天野晋造、羽島建設会長・羽島徳助。

もともと藩主だった兵藤家の城下町は、落ち着いたいい街だったのに、町を開発して利益を得たい金融資本と土建資本が結託。

兵藤家の資産を奪い、焼き討ち。そのうえで兵藤家の財産を明和銀行から羽島数百臆に迂回融資が行われ、町には大手企業が入り込んで変わってしまった。

史彦は、軍資金稼ぎも兼ねて、変装して別人を名乗り、当時の関係企業をつぶしながら着々と本丸に近づきます。

途中、銀行が資料部を潰し、債権回収の過酷なノルマを課す部署に異動させますが、それがきっかけで、同僚の中に同じ「復讐」の思いを抱いている溝口、恵子を知ります。

3人は協力しあい、少しずつ本丸を崩せるところまで来ましたが、相手もツワモノです。

溝口と恵子は、戦いの中で命を落としてしまいます。

果たして、史彦は復讐を遂げることができるのか!

ぐいぐい引き込まれる作品群

それにしても、ひとつわからないのは、兵頭史彦が復讐を意識したのはいつからか、ということです。

父親が亡くなってからなのか、それとも明和銀行に入行したということは、子供の頃から何かを決意していたということなのか。

妻にも、復讐者としての自分を明かしていないのですが、それはどうしてか。

もしかしたら、自分の命まで引き換えにしなければならないと思って黙っているのなら、そもそもなぜ結婚したのか。

1人身のままで行うべきではなかったのか。

妻子よりも、「お家」の方が大事なのか。

細かい突っ込みをすると、そのへんに疑問が残ります。

ま、人としての生き方として、わからないわけではないので、自分がこの設定と立場でも同じことをシたかもわからないし、こればっかりは上辺の評論してもあまり有意義ではないかもしれません。

土山しげるさんについては、KindleUnlimitedでこれまでの作品の多くが公開されたので、このブログでもいくつかの作品をご紹介してきました。

『食キング』(土山しげる著、日本文芸社)は、「B級グルメ店復活請負人」の主人公が、傾いた庶民向け飲食店を再建するストーリーです。

食キング(土山しげる著、日本文芸社)は、「B級グルメ店復活請負人」の主人公が、傾いた庶民向け飲食店を再建するストーリー
食キング(土山しげる著、日本文芸社)は、「B級グルメ店復活請負人」の主人公が、傾いた庶民向け飲食店を再建するストーリーです。店主には、一見すると店の料理とは無関係な修業を質問厳禁でさせますが、実際には再建のために必要なことがわかります。

物語の前半は、歳三が再建請負人として全国を転々とします。

後半は、幾多の料理人と様々な料理対決を行います。

『漫画版野武士のグルメ カラー版1st01』(久住昌之/原作、土山しげる/画、幻冬舎)は、定年を迎えた還暦男性がありふれた食堂を巡る話です。

漫画版野武士のグルメ カラー版1st01(久住昌之/原作、土山しげる/画、幻冬舎)は、定年を迎えた還暦男性がありふれた食堂を巡る
漫画版野武士のグルメ カラー版1st01(久住昌之/原作、土山しげる/画、幻冬舎)は、定年を迎えた還暦男性がありふれた食堂を巡るグルメコミックです。ネオクラシック系ラーメン店には目もくれず、昭和の佇まいを感じる町中華でタンメンをすすります。

人気ドラマ『孤独のグルメ』の壮年版です。

どうして「野武士」なのかというと、「元サラリーマン」で無職だから「浪人」だが、それでは「イメージが悪い」から、主人公が「野武士」と自称しているのです。

『男麺』(土山しげる、ゴマブックス)は、商社に勤める無類の麺好き主人公が、立ち食いそばや町中華の焼きそばなどで騒動を解決する話です。

男麺(土山しげる、ゴマブックス)は、商社に勤める無類の麺好き主人公が、立ち食いそばや町中華の焼きそばなどで騒動を解決
男麺(土山しげる、ゴマブックス)は、商社に勤める無類の麺好き主人公が、立ち食いそばや町中華の焼きそばなどで騒動を解決するストーリーです。どんな揉め事があっても、大衆的な「麺」を食べることで心が穏やかになってハッピーエンドです。

商社に勤める無類の麺好き、通称イケメンの主人公が経験する、様々なトラブルや面倒な騒動が、全て一杯の麺、しかも大衆的なもので解決するのが大まかなストーリーです。

喰王スペシャル(土山しげる、日本文芸社)は、食べることが好きなキャバクラ店長が、食べ物で問題を解決する日常を描く漫画です。

喰王スペシャル(土山しげる、日本文芸社)は、食べることが好きなキャバクラ店長が、食べ物で問題を解決する日常を描く漫画
喰王スペシャル(土山しげる、日本文芸社)は、食べることが好きなキャバクラ店長が、食べ物で問題を解決する日常を描く漫画です。“飯テロ”的なエキセントリックなシーンもなく、グルメ漫画の多い作者としては異色ともいえる作品です。

食べることを除くと、こちらもピンク産業という点で、今回の『どぶ』とは似ています。

シャケ (原作/津流木詞朗、画/土山しげる、ナンバーナイン) は、肩を壊したドラ1投手とブルペン捕手が球界の事件を解決する話です。

シャケ (原作/津流木詞朗、画/土山しげる、ナンバーナイン) は、肩を壊したドラ1投手とブルペン捕手が球界の事件を解決する
シャケ (原作/津流木詞朗、画/土山しげる、ナンバーナイン) は、肩を壊したドラ1投手とブルペン捕手が球界の事件を解決する話です。女性問題、八百長を巡る暴力団とのトラブル、政治家と野球選手による三角関係など、様々なトラブルを解決していきます。

こちらは、作画のみですが、やはり野球の続行が難しくなった主人公が、女性問題、八百長を巡る暴力団とのトラブル、政治家と野球選手による三角関係など、様々なトラブルを解決していきます。

どぶ(日本文芸社)は、会社を謀議でリストラされた主人公が、風俗業界で失敗しながらものし上がる話です。

どぶ 1~4(土山しげる著、日本文芸社)は、会社を謀議でリストラされた主人公が、風俗業界で失敗しながらものし上がる話
どぶ 1~4(土山しげる著、日本文芸社)は、会社を謀議でリストラされた主人公が、風俗業界で失敗しながらものし上がる話を描いています。サラリーマン社会とは正反対の価値観の中で、営業職時代に培った企画力で何度も来る逆境を跳ね返します。

今回とモチーフが似ていますね。

こうしてみると、土山しげる作品、ずいぶんご紹介しています。

世の中の厳しさと、人生の儚さのようなものが感じられ、それでも勝ち抜いていく力強さが、読んでいて力をわかせてくれます。

みなさんも、いかがですか。

以上、蛮王(バンキング)(漫画/土山しげる、原作/平井りゅうじ、ゴマブックス)は、家族を奪われた銀行員の復讐を描く社会派漫画、でした。


蛮王(1) – 土山しげる, 平井りゅうじ

蛮王(2) – 土山しげる, 平井りゅうじ

蛮王(3) – 土山しげる, 平井りゅうじ

蛮王(4) – 土山しげる, 平井りゅうじ

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