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武田邦彦さんのYoutubeにおけるMMT論動画が徹底批判を受けています。何を言いたいのかよくわからないという声すらあります

武田邦彦さんのYoutubeにおけるMMT論動画が徹底批判を受けています。何を言いたいのかよくわからないという声すらあります

武田邦彦さんのYoutubeにおけるMMT論動画が徹底批判を受けています。何を言いたいのかよくわからないという声すらあります。

というのも、動画では、MMTでお金を増やしても消費で環境を破壊する。かといって消費をやめたらお金はだぶつくから景気は良くならず意味がないというのです。

しかし、そもそもそれは「使い方」の話になっており、「貨幣論」とは別の話です。また肝心のMMTの説明も間違いが多くの人から指摘されています。

武田邦彦さんは、何本かMMT関連の動画をアップしていますが、その総論編についてとりあげます。

間違いに対する批判の嵐

MMTについては、賛否の動画が多くの人によりアップされています。

武田邦彦さんもその1人です。

武田邦彦さんが経済学に精通しているという話は初耳ですが、MMTについて言及した動画をアップしています。

しかし、その内容たるや、コメント欄は批判の嵐です。

私だったら、恥ずかしくてそんな動画はそのままにしておけませんが、一定の数字(チャンネル登録者)を持っている場合、登録者の中には信者化している場合があり、内容の真偽ではなく、武田先生がおっしゃっているから私もそう思うことにする、という立場の人も出てくるのです。

批判者は相手にせず、信者だけを相手にしていれば、自分のポジションは確保できるので、あまり批判は痛痒は感じないんでしょうね。

いや、「科学者だから反論も堂々と受け入れているのだ」という信者もおられるかな。

だったら、その批判を受けて、武田邦彦さんはどう感じたか、言い分を述べても良いのではないでしょうか。

ないということは、批判は捨て置くのだろうと解せるので、私はコメントを書くのは無駄だから辞めました。

……などという前置きが長くなりましたが、さっそく動画について見ていきます。

藁人形のMMT論で誰も引っかからない「罠」


どこがというより、全体としておかしいため、ピンポイントで引用しにくいのですが、いささか長めの引用をしながら私の見解を述べていきます。

日本の財政もですね、まあそういうことで、お金が足りなかったら税金を上げると。だから、国がお金を使うようになったら、市民のお金を国に吸い上げると。国っていうのはもともとお金持ってませんからね。全然稼いでいないんで、ただ寄生虫みたいなもんですからね国っていうのは。
だから税金を市民から国民から取り上げて、なんかを買ったりするっていうそういうことだったわけです。

もうこの1分34秒あたりからおかしいですよね。

つまり税金を財源にして、国民から召し上げて何かを買う、ということを話しているわけですが、「スペンディングファースト」、そして「貨幣発行権のある政府」はほんとうの意味での借金する必要はない、というのがMMTの一丁目一番地でしょう。

前提が間違っているので、これ以降の約19分の論理展開はもう「消化試合」になっています(笑)

だって、MMTについて論じるなら、MMTの土俵で批判したり検証したりしなかったら意味ないでしょう。

何度も書いてきましたが、徴税の役割はおおまかなところで、以下のようなことが考えられます。

  1. インフレ抑制
  2. ……MMTによる国債発行のコントロールはインフレ率による

  3. 格差の是正
  4. ……累進課税によって富裕層と中流層・貧困層との格差を広げないようにする。そもそも富裕層にとっての税は、同額であっても中流層・貧困層よりも犠牲が少ない

  5. 円の通貨としての価値を担保する
  6. ……納税義務を貨幣(円)で果たすことで、その貨幣に価値(需要)が生まれる

  7. 社会秩序を守るために利用する
  8. ……お酒やタバコに税金をかけることで、需要をコントロールすることができる

広島修道大学商学部のNguyen Duc Lap(グエン)教授は、こうまとめています。

政府の支出と収入(税収)は同じでないといけないということではなく、『完全雇用に寄与しているか』、『インフレを招いてはいないか』といった実際に財政がマクロ経済おける果たしている役割を行うべきである。つまり、何よりも、財政政策によって潜在成長率を高めるような『有効な支出』ができるかどうかが重要であり、政府の財政赤字は民間部門の黒字であるため、経済の活性化につながる( https://www.hiroshima.doyu.jp/news/16076/)

ここは、MMTとそうでない主張とのもっとも根幹部分です。

「お金のプール論」にハマっているから、スペンディングファーストを理解できないのでしょう。

次に行きます。途中の説明も奇妙なのですが、そうするとワンセンテンスずつ突っ込んでしまいそうなので、もうひとつだけ。

つまりものの生産量はさほど変わらなくても、お金を3倍刷ったというか出したと。
だから物価が3倍になるかっていうと、全然ならないと。特に日本なんかですね、むしろお金が下がっちゃったと。どこにお金があるのって、そのお金は次々とか言ったのだしたんだけど、どこにお金があるのかどっかに隠れてわからないというのが今の状態なんですね。
そこで次はもっと出したらいいじゃないの。どうせ3倍だしたって全然変わんないんだから10倍だしたらっていうのが実は貨幣理論。現代貨幣論と言われるものであり、まあ略語でMMTといわれるものです。
これは非常に怪しげなんですね。みんな一応今のところこれに引っかかってるつったら失礼なんですが。まだ検討が不十分だと私は思うんですね。

怪しげなのは武田邦彦さんの話の方です。

通貨量を3倍にしても物価が3倍にならないのなら、10倍にしよう、というのはMMTのロジックとは違います。

どう違うかと言うと、通貨量と物価が単純にリンクするという見方をしていません。

通貨供給を増やしても、需要と供給のバランスが大切です。

たとえば、西田昌司参議院議員は、「デフレ脱却のためには消費税を廃止し、一方で法人税を増税し、所得税の累進課税を上げることを検討すべき」と提案しています。

コロナショックで緊急提言 消費税を当分の間 ‟ゼロ”に! MMT(現代貨幣論)ならそれが可能だ‼|参議院議員 西田昌司
参議院議員 西田昌司のオフィシャルウェブサイトです。

つまり、武田邦彦さん流に言うなら、「金を刷り」まくってもそれだけでは問題は解決しないことを、MMT提唱者は見抜いているということです。

ですから、武田邦彦さんのMMT論は「藁人形」になってしまっているのです。

「引っかかる」も何も、それは武田邦彦さんが勝手な前提で作った誰も引っかからない罠です。

MMTの幼児

動画は2回分を1つにまとめているようですが、後編はもうMMTとは関係のない話です。

武田邦彦さんは、MMT提唱者、たとえば先程の西田昌司議員が言及する「消費税廃止」を前提としてこう述べています。

そうなりますと、現在日本が1990年から2020年までの30年間、デフレが続いたという原因はなにかということですね。このシリーズのタイトルに鶏が先か卵が先かというのはそれなんですね。
つまりお金が世の中にジャブジャブあれば、それからみんな市民が懐が豊かになれば、ものを買うよという考え方ですね。それはまあ従来ずっとそうだったんですよ。
20世紀今から120年くらい前に資本主義が盛んになって、グローバリゼーションもそれをじゃなかったんですが、一応国際間の貿易も盛んになって、みんなが貧乏で、テレビ冷蔵庫ほしいよと、こういう時代はですね、お金さえあれば市民は必ずテレビ冷蔵庫洗濯機を買ったわけですよ。
ところが今本当にそうかってことですね。(環境問題のco2排出についてひとくさり述べていますが略)
まあそういうことで、すべての活動はほぼ等しくco2を出すということは、温暖化を抑制しようとか、それから持続性社会をつくろうということは、どういうことかっつったらお金を使っちゃいけませんよってことなんですね。
co2とか資源の使用料っていうのはほぼお金に比例してます。そこに上がったら経済便利がまたもと成り立ちませんから。
だから、言ってみればですね、日本人はどうするのかってことですね。持続性とか温暖化というのはどうも怪しいから、私たちの生活を豊かにしようよっていう方向に行こうとしているのか。それとも、本当に真面目にですね。温暖化するからエネルギーは使わないとこう。それから持続性を保つためには、資源を使わないでおこうというふうに本当に思っているのか。(中略)
つまり温暖化とか持続性とかいうのは、そういうことだということは正直に認めている。日本の場合はもう二重にも三重にもねじれてて、そしてそれが結局MMT理論というものを生んで、うんとお金を出せばいいじゃないか。だけど一方は温暖化は防がなくちゃならない。ものは作っちゃいけない。子供を作っちゃいけないっていうんじゃおかしいわけですね。

要するに消費を増やすと、環境が破壊される現在の環境問題にかかわる。

しかし、だからとって消費をやめたらお金がだぶつく。

それが「二重にも三重にもねじれて」MMTが誕生したと、まとめています。

まず、それは「お金をいかに使うか」という話であり、MMTそのものの評価ではありません。

そもそも、消費を増やすと環境が破壊と決めつけていますが、だったら環境改善に財政出動すればいいのではないでしょうか。

それに、現在MMT提唱者が気を揉めているのは、現在のコロナ禍を見ればわかるように、倒産、閉店、雇い止め、自殺など、生活や企業・商店経営の状態が限界を超えている人が出はじめている、ことです。

武田邦彦さんは、そういう人たちは、「環境問題と消費の仕方の議論」が解決するまで「ひっかか」らないで待ちなさい、間に合わなかったら諦めて死んでくださいってことですかね。

どうなんですか、武田邦彦さん。

武田邦彦さんは、環境問題で「科学的ではない」人たちを幼児とコバカにしていますが、私は武田邦彦さんこそMMTの幼児だと思いました。

武田邦彦さんは、差別論のところでも書きましたが、弱者ははじめから人として認定していないように見えますね。

日本は差別がないという歴史観が一部で言われます。奴隷がないから差別のない社会、所有しない社会を作ったといいますが……
日本は差別がないと明言しているのは武田邦彦さんです。奴隷がないから差別のない社会、所有しない社会を作ったといいます。しかし、奴隷制度がなかったからと言って、差別がないと言えるでしょうか。それは格差社会という「高度な差別」をごまかす論理に繋がりかねません。

以上、武田邦彦さんのYoutubeにおけるMMT論動画が徹底批判を受けています。何を言いたいのかよくわからないという声すらあります、でした。


財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生 – ステファニー ケルトン, 土方 奈美


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