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『決断!全盲のふたりが、家族をつくるとき』は、全盲の弁護士・大胡田誠さんがいくつもの決断を乗り越えてきたことがわかる書籍

『決断!全盲のふたりが、家族をつくるとき』は、全盲の弁護士・大胡田誠さんがいくつもの決断を乗り越えてきたことがわかる書籍です。決断とは自らつかみ取ること。勇気を持って人生を切り開くこと。前例は少なくとも進むと決めた道は進むべきなのです。

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本書の内容

『決断!全盲のふたりが、家族をつくるとき』(大胡田誠/大石亜矢子著、中央公論新社)は、日本で4人といわれる全盲弁護士として活躍するまでの夫人との出会いも含めた自伝です。

その歩みは、2014年にはTBS月曜ゴールデン特別企画として、松坂桃李主演でドラマ化されました。

2019年には、NNNドキュメントで、『全盲の夫婦がみつけた、家族のかたち』と言うタイトルで放送されました。

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動画は、全盲のお母さんの大胡田亜矢子さん(44)と娘さんが歩いていて、駐車していたトラックのサイドミラーにぶつかるシーンから始まります。

「ん~、しょうがない」と、おでこをさするお母さん。

一方、お父さんの誠さんは全盲で弁護士(42)。

目が見える2人の子どもは、両親を手伝っています。

たとえば、洗濯物を干していて、靴下が片方ないと、息子さんが探して誘ってくれます。

「障碍あるとかないとか関係なく、好きな人の子どもを産みたいという思いっていうのは誰しも同じじゃないかと思います」(大胡田亜矢子さん)

「目が見えなくても、いろんな仲間を作って、いきいきと仕事してるんだぞ、という姿は(子どもたちに)見せたいな、と思います」(大胡田誠さん)

ご夫妻の目が不自由であること以外は、そうでない家庭と何ら変わらず、むしろ親子の絆はしっかりしていることが伺えます。


大胡田誠さんは、同じ盲学校で2年年上の大石亜矢子さんと出会い、結婚しました。

と、書くと一言で終わってしまいますが、1人の人間が結婚を決意するには、いろいろな悩みや葛藤がつきものであり、ましてや2人とも全盲ですから、結婚を反対する周囲の声もありました。

視覚障害のある人同士の家庭生活

「決断」というタイトルは、人生の中で、進むべきか諦めるべきか、という選択肢があったときに、進むべき決断をした、という意味です。

その結果、「障碍者は結婚して家庭を持つなんて出来ない、ましてや2人とも同じ障碍で子どもまでいるなんて」という懸念や偏見を、しっかり結果を出して覆しているのです。

支援学校(盲学校)出身でも弁護士資格を取得した

家庭をもつためには、暮らせる正業につかなければなりません。

大胡田誠さんは弁護士になりました。

視覚障害者対象の支援学校は、知的障害を伴っていない限り、教科書は一条校(学校教育法をクリアした学校、健常の行く普通の学校)と原則同じです。

ただ、健常者でも司法試験突破は至難の業です。

たぶん周囲からは、「そんなことに時間とエネルギーを使っていないで、障碍者としての身の振り方を考えろ」などと言われたのではないでしょうか。

たとえば、高校や大学に行くにも、「障碍者がそんなとこ行ってどうするの」という声は、必ずしも悪意でなくてもあったはずです。

そこで負けずに、進学を決断されたことが素晴らしいと私は思います。

ちなみに、法科大学院の受験資格は、原則として4年制の大学を卒業していることが必要なのです。

進路によって学歴が必要な場合があるのは、障碍のあるなしに関係ありません。

支援学校(盲学校)のカップルが結婚した

男子校出身の私としては、きわめて重要なことです(笑)

支援学校の高等部は原則として送迎なしのため、各自登下校しますが、見ていると、男女がカップルで下校する姿もあります。

自分の青春時代を振り返ると羨ましいです。

年相応の青春を経験しているというのは、すばらしいことなんです!

そして結婚。

障碍者同士で生活ができるのか、という疑問を抱かれ、周囲では懸念や反対をした人もいるかもしれません。

ここも、大胡田誠さんの決断によって突破したのでしょう。

視覚障害者夫妻で子どもを産み育てている

もちろん、障碍者同士の結婚自体は、ないわけではありません。

ただ、子どもについては、その障碍の度合にもよりますが、大きな課題にはなるでしょう。

ひとつは「遺伝」、もうひとつは実際の「子育て」の心配があるからです。

しかし、障碍のある赤ちゃんは、必ずしも親が障碍者だから、高齢出産だからということではなく、若い健常なお母さんからも一定の確率で必ず産まれます。

そして、その障碍が遺伝性かどうかは、高度な医学的判断を要する場合がほとんどです。

それに、健常で産まれても、高熱や感染症の後遺症でどこかが不自由になる、ということは医学の発達した現代でも決して根絶されていません。

障碍者が産まれることがそんなに悪いことだというのなら、もう誰も子どもは産めませんよー、という話です。

そして、目が不自由ななかで、子育てができるのだろうかという不安。

いずれにしても、最終的にはご当人の決断にかかっています。

動画では、娘さんのほうが、お母さんよりも料理が上手なようです。

ご家族が助け合って暮らしているのです。すばらしいではありませんか。

決断

大胡田誠さんに現在の生活があるのは、やはり上梓された書籍のタイトル通り「決断」があるからでしょう。

決断とは、自らつかみ取ること。勇気を持って人生を切り開くこと。 と帯には書かれています。

大変だけれども、前例は少なくとも、自分の人生は自分で進むべきと決めた道を進もうという決断です。

『24時間テレビ』などは、とにかく障碍者を「はじめに感動ありき」の対象として観たがるのですが、私はそうではなくて、障碍のあるなしに関わらず、本質はいつも、ひとりの人間の生き様として、「ほしのもと」や今ある課題とどう向き合っているか、ということに刮目しています。

今回改めて感じたのは、人生は障碍があろうがなかろうが「決断」が大事ということです。

みなさんも、人生のターニングポイントで、しっかり「決断」されてますか。


決断。全盲のふたりが、家族をつくるとき (単行本) – 大胡田 誠:大石 亜矢子


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