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「かかと上げなどヤッても骨密度は上がらない」という体験談は、こんにちの老年医学で確立された知見(複数の論文)に反する見解です。

「かかと上げなどヤッても骨密度は上がらない」という体験談は、こんにちの老年医学で確立された知見(複数の論文)に反する見解です。

昨日の「かかと上げ・落とし」の記事で、「かかと上げで骨密度は上がらない」と、体験談で断言するコメントがあったのですが、それはこんにちの老年医学で確立されて知見に反する見解なので、エビデンスがどうなっているかを追加情報としてお伝えします。

昨日の記事です。


コメントにも書きましたが、査読付き論文と言って、他の研究者のチェックを通った“現時点でわかっていることとしてもっとも信用できる学術論文”として、たとえば、「Weight-bearing exercise and ground reaction forces: a randomized controlled trial」という、1995年に英国の生理学者E.J. Bassey教授らが学術誌『Bone』に発表した研究報告があります。

閉経後の女性を対象に、体重負荷運動が骨密度に及ぼす影響を定量化し、地面反力(ground reaction force)の強度と骨形成の関連を検証しています。

Bassey教授らの研究をはじめ、骨への垂直方向の衝撃(インパクト)が骨密度に及ぼす影響は、老年医学やスポーツ科学の分野ですでに確立された知見です。

つまり、かかとをストンと落とす運動は、骨密度に有意に影響を与えることは医学的にも認められています。

「骨密度が上がらない」という誤解の正体

コメントをされた方は、おそらく以下の2点を混同されている可能性があります。

「最大骨量」と「骨量維持」の混同
この運動で、成長期の子どものように、プロアスリート然とした強固な骨へ変貌するわけではありません。しかし、加齢による「順当な」骨密度の低下を食い止め、微増あるいは維持させることは、立派な「骨密度向上(または改善)」です。

強度の誤解
「かかとを落とす程度の軽い衝撃で変わるはずがない」という直感的な否定です。体を変えるには、相応の激しい運動をしなければならないだろうという先入観です。しかし、骨細胞は「強い衝撃」よりも「日常的ではない加速度のついた衝撃」に反応しやすいため、自重によるかかと落としは非常に効率的な刺激になるというのは、先の論文等で考察されています。

たとえば、Harold M. Frost(1997、1990等)は、メカノスタット理論といって、骨には「一定以上の負荷がかかると骨を作り、負荷がないと骨を壊す」という閾値を見出しました閉経後の女性は、一生のうちで最も急激に骨密度が低下する「骨の危機的状況」に直面するからです。

つまり、かかと落としは、人間の肉体の切実な課題から生じた研究であり、エセ施術家やYouTuberが受け狙いででっち上げた「民間療法」ではないということです。

「ストン」の健康効果への期待は信用ならないものではない

ことほどさように、YouTubeの動画を含めて、巷間の健康情報は、何の疑いもなく真に受けることも、体験談や思い込みでアタマから否定することも、まちがった態度です

では、何が既知を豊かにするものか、何を無視してもいいのか、その情報に言及するなら、それにふさわしい確認作業が必要です。体験談や、メディアの垂れ流しを裏付けなく真に受けても本当のことには到達しません。

現実や事実を確認せず、感情に基づいた願望や思い込みを述べてしまうのは、エコチェンバーの始まりです。

エコチェンバー(ネットで、自分と似た意見や価値観を持つ者同士が交流・共感し合うことで、特定の思想が増幅・強化され、それが世間一般の常識であると錯覚している者)

別の言い方では、ネトウヨともいうんですけどね。

「とにかく1~10まで全部C国が悪い」ことになっていて、そうではない統計があると、統計が間違っているとか言い出すヤツいますよね。

いったんネトウヨに転落すると、なかなか健全な理性に戻るのは困難だろうなと思います。

ですから、いったん「骨密度は上がらない」と信じてしまうと、論文や統計と向き合うのではなく、同じ「意見」と向き合うようになりますから、そういう人には言っても無駄かもしれませんけどね。

もちろん、科学/医学は常にアップデートされるので、今後新たな知見は登場するかもししれません。

が、少なくとも現時点で積み上げられた膨大な研究成果を、個人的な感想で塗り替えることはできません。

私は、科学者や医学者ではありませんが、研究者の努力と情熱が詰まった「研究結果」というバトンは、正しく読者の皆様にお渡ししたいと考えています。

ということで、「ストン」の健康効果への期待は、決して信用ならないものではありませんから、みなさんも、特に女性は立位の機会に、5回、10回と積み重ねられてはいかがでしょうか。


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