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「カット野菜は栄養がない」「製造過程で使われる食品添加物が危険」といった情報がありますが、その真相はどうなのでしょう。

「カット野菜は栄養がない」「製造過程で使われる食品添加物が危険」といった情報がありますが、その真相はどうなのでしょう。

忙しい現代人にとって、カット野菜は野菜不足を解消する強い味方です。しかし、「カット野菜は栄養がない」「製造過程で使われる食品添加物が危険」といった情報を耳にして、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、これらの疑問について科学的な根拠をもとに詳しく解説いたします。

カット野菜の製造工程を理解しましょう

カット野菜は以下のような工程で製造されています。

  1. 原料野菜の受入・洗浄:土砂などの汚れを除去
  2. カット作業:製品仕様に合わせて裁断
  3. 殺菌・洗浄:次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌処理
  4. すすぎ洗浄:殺菌剤を徹底的に除去
  5. 脱水・包装:水気を切って包装
  6. 検査・出荷:品質検査を経て冷蔵配送

この工程は、食品安全管理システムであるHACCP(危害分析重要管理点)に基づいて厳格に管理されています。

次亜塩素酸ナトリウムは本当に危険なのでしょうか?

安全性が確認された食品添加物です

次亜塩素酸ナトリウムは、厚生労働省が認可した食品添加物で、水道水の殺菌にも使用されています。厚生労働省の規格基準では、「最終食品の完成前に除去しなければならない」と定められており、製品には残留しないよう厳しく管理されています。

表示されない理由があります

次亜塩素酸ナトリウムが原材料名に表示されないのは、製造工程で除去される「加工助剤」に分類されるためです。最終製品に残留しないため、表示義務が免除されています。

発がん性物質の心配は不要です

次亜塩素酸ナトリウムと有機物が反応してトリハロメタン(発がん性物質)が生成される可能性が指摘されていますが、愛知県衛生研究所の調査では、市販カット野菜17検体中、わずか1検体でクロロホルムが検出されたのみで、その量も国の定める許容摂取量をはるかに下回る極めて微量でした。

栄養価は本当になくなってしまうのでしょうか?

水溶性ビタミンの一部は減少しますが…

確かに、洗浄工程でビタミンCやビタミンB群などの水溶性ビタミンの一部が流出します。しかし、その減少量は約10〜20%程度で、ゼロになるわけではありません。

家庭での調理と同程度の損失です

済生会五條病院の栄養科の資料によると、「カット野菜に限らず、自分で買ってきた野菜を調理する場合でも、水洗いやカットなどの段階で水溶性の栄養成分は流れ出ています。同程度の流出なので、カット野菜にもしっかり栄養は含まれています」とされています。

野菜摂取量増加のメリットが大きいです

栄養素の軽微な損失よりも、カット野菜の利便性により野菜の総摂取量が増えることの方が、健康にとってはるかに有益です。完璧な栄養の生野菜を食べずに廃棄してしまうより、80%の栄養でも実際に摂取できるカット野菜の方が価値があります。

最も注意すべきは微生物汚染です

食中毒のリスクが存在します

カット野菜で最も重要なリスクは、実は微生物による食中毒です。過去には刻みネギによる大腸菌食中毒事件(2011年、450人以上が発症)も発生しています。

野菜の種類によってリスクが異なります

愛知県衛生研究所の調査では、カットキャベツの細菌数は比較的少ないのに対し、刻みネギは1000倍以上の細菌数が検出されています。これは、キャベツが外葉を除去するのに対し、ネギは皮を剥かずに加工されるためと考えられています。

安全にカット野菜を活用する方法

購入時のポイント

保存と使用時の注意点

賢い活用法

まとめ

カット野菜に関する「危険性」の多くは、科学的根拠に乏しい過度な不安です。化学的リスクは無視できるレベルで、栄養損失も限定的です。

最も注意すべきは微生物汚染のリスクですが、これは適切な管理により十分制御可能です。カット野菜がもたらす野菜摂取促進の効果は、わずかなリスクを大きく上回る価値があります。

正しい知識を持って賢く活用すれば、カット野菜は忙しい現代人の健康的な食生活を支える心強い味方となります。過度な心配は不要ですが、適切な注意を払いながら、上手に食生活に取り入れていきましょう。


参考文献:厚生労働省資料、愛知県衛生研究所調査、済生会五條病院栄養科資料、各種学術研究報告


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