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援助や配慮を必要とする人々を示すためのヘルプマークが、若者の間でファッション感覚で悪用されているとの問題提起がSNSに

援助や配慮を必要とする人々を示すためのヘルプマークが、若者の間でファッション感覚で悪用されているとの問題提起がSNSに

SNS上で、「ヘルプマークをファッション感覚でつける若者が増えている」という問題提起が話題になっています。

本来、ヘルプマークは、外見からはわかりにくい障害や病気がある人が、支援や配慮を得るために身につけるものです。しかし最近、「地雷系ファッション」の一部として、精神的な「病み」をアピールするためにマークを使う若者がいると報じられています。

この問題を伝えるショート動画(Facebookに投稿されたもの)によると、東京都福祉局もこのような誤用を遺憾としており、フリマアプリでの転売といった不適切な流通も問題視しているとのことです。

さらに動画は、ヘルプマークの誤用によって「本当に支援が必要な人に助けが届かなくなる」という深刻な懸念が広がっていると伝えています。SNS上では「安易に入手できる仕組み」や「若者の倫理観」を批判する声も相次いでいるそうです。

私にとっては「初耳」だった

率直に言って、この問題は私にとって初耳でした。

実際のところ、ヘルプマークの意味を知らない人はまだまだたくさんいます。たとえヘルプマークをつけている人が目の前にいても、電車で席を譲らない人は大勢いる――そんな現実を私は日々感じています。

つまり、まだ十分に周知されていない段階で、これが「爆発的に広がっている問題」とは、にわかには思えません。その意味で、この動画は「ぜひ拡散すべき問題提起」とまでは言えないのではないでしょうか。

若くて元気な障害者は、現実にいる

まず指摘したいのは、上記の動画には「ヘルプマークを本当に必要としている人がどういう人か」への理解が不足している、という点です。

動画では、

な人がヘルプマークをつけているのを見て、「この人は障害者ではないのでは?」と疑うような印象を与えます。

しかし、障害には外見からわからないものが多くあります。

これらは、いくら若くておしゃれでも、元気そうに見えても、本人が大きな困難を抱えている可能性があります。

「若くて、おしゃれで、元気そうな障害者は確かにいる」 ということを忘れてはいけません。見かけだけで「偽物だ」と決めつけることはできません。

こうしたショート動画には共通する特徴があります。それは、

という点です。

むしろ逆に起きるリスク

「もしガセなら、放っておけばいいのでは?」

そう思うかもしれません。しかし、こういう動画が広がると、現実には次のような弊害が起こりやすいのです。

「あの人、偽物なんじゃないか?」という疑いの空気

特に若い人が疑われる

本当に支援が必要な人が、ヘルプマークをつけづらくなる

これは制度の本来の目的――「必要な人が助けを求めやすくなる」――とは、まったく逆の方向です。

この動画は「社会問題の報告」というよりは、「大衆の誤解を引き寄せ、誤った世論を作りかねないコンテンツ」 だと言わざるを得ません。

もちろん、「悪用する人がゼロではない」以上、完全に間違いと断言はしません。しかし、実態以上に問題を大げさに見せている側面は強いと感じます。

たとえば「バイトテロ」や「回転寿司での迷惑行為」の動画はよく出回ります。ああいう行為はけしからんと思います。しかし、あれを統計的に見れば、すべての客の中のほんの一かけらです。

ヘルプマークをファッション感覚でつけている人も、おそらく同じようなものではないでしょうか。

実際、障害者の中でも意見はさまざまですが、「こういう義憤はありがた迷惑」と感じる人も多いのではないかと思います。

もちろん、もし100人中70人くらいの人が悪用しているような状況なら大問題です。また、仮に少数でも「ブーム」になっているなら、それはそれで対処を考える必要があるでしょう。

制度の厳格化は意味をなさない

この動画へのコメントとして、「ヘルプマークの発行をもっと厳格化すべき」という意見もあります。

しかし、私はそれも違うと考えます。

ヘルプマークは現在、市区町村の窓口、保健所、福祉センター、一部の地下鉄や駅、バス営業所などで無料で配布されています。

これはなぜかというと、ヘルプマークがもともと「外見ではわからない困難を持つ人」や 「まだ制度的に『障害』と認定されていない人」「一時的に支援が必要な人(妊娠初期や治療中など)」 も含めて使えるように、あえて“ゆるい運用”で設計されているからです。

つまり、厳格化することは、この制度の理念そのものを根底から否定することになりかねません。

「どうぞ」ではなく「かけますか?」と声をかける

では、対策はまったくないのでしょうか。私は、個人的にこういう工夫をしています。

ヘルプマークをつけている人に席を譲る時、無条件に「どうぞ」とは言いません。代わりに、

「かけますか?」

と尋ねます。そして、本人が「はい」と言ったら席を譲ります。

理由は2つあります。

  1. 人によっては、席を譲られることがかえって負担になったり、「ありがた迷惑」に感じる場合もあるので、押しつけてはいけない。

  2. 「自分の意思で譲ってもらう」という体験をしてもらうことで、少しでも“エセ障害”の抑止につながるかもしれないという期待(完全に防げるとは思いませんが)。

最後に

みなさんは、本当に必要のないヘルプマークをつけている人への対策として、何か良いアイデアをお持ちでしょうか。

「悪用をゼロにしたい」という思いと、「本当に必要な人が使いやすい制度を壊したくない」という思い。このバランスはとても難しい問題です。

まずは、「若くて元気そうな人でも、本当に助けが必要な場合がある」という認識を持つことから始めてもいいのかもしれません。

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