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カフェで抹茶ラテを楽しむ、スイーツコーナーで抹茶味のお菓子を手に取るーそんな光景は、今や日本だけでなく世界中で当たり前に

カフェで抹茶ラテを楽しむ、スイーツコーナーで抹茶味のお菓子を手に取るーそんな光景は、今や日本だけでなく世界中で当たり前に

こんにちは。皆さん、最近「抹茶」を口にしましたか?
カフェで抹茶ラテを楽しむ、スイーツコーナーで抹茶味のお菓子を手に取る――そんな光景は、今や日本だけでなく世界中で当たり前になりつつあります。

しかし、その世界的なブームが、日本の伝統的な「お茶」の世界に、ある種のジレンマをもたらしているのをご存知でしょうか。

最近、ニュースで「日本茶の品薄や価格上昇」という話題を目にされた方も多いと思います。一見すると矛盾するこの現象、その背景には、実は「抹茶」を中心とした世界的な需要の急増があるのです。今日は、このニュースをきっかけに、改めて抹茶の魅力と、私たちの身近な日本茶との関わり方について考えてみたいと思います。

世界を席巻する「抹茶ブーム」の実態

抹茶は今、まさにグローバルなスーパーフードとして注目を集めています。北米やヨーロッパを中心に、その需要は年々右肩上がりで増加しています。コーヒーチェーン各社が抹茶メニューを強化していることも、ブームを後押ししています。

なぜ、ここまで抹茶は世界で愛されるのでしょうか?その理由は、以下のような点に集約されます。

  1. 独特の風味: 深いうま味(グルタミン酸)と、ほろ苦さ、そして甘みの絶妙なバランスが、様々な食材や飲料と調和します。

  2. インスタグラム映え: 鮮やかな緑色が視覚的に魅力的で、SNS時代の「映える」商品として最適です。

  3. 健康効果への期待: まさにこれが最大の要因と言えるでしょう。

抹茶は「飲む栄養食」!その驚くべき健康効果

抹茶は、茶葉自体を丸ごと摂取するため、緑茶(煎茶)よりもはるかに多くの栄養成分を体内に取り入れることができます。主な栄養成分とその効果を見てみましょう。

つまり、抹茶はリラックスしながら集中力を高め、抗酸化作用で体を内側からケアしてくれる、まさに「機能性飲料」の理想形なのです。

知っておきたい!抹茶と煎茶、玉露の違い

「日本茶」と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。特に混同されがちな抹茶、煎茶、玉露の違いを整理しておきましょう。

特徴 抹茶 煎茶 玉露
栽培方法 収穫前約20日間、覆いをして日光を遮断 日光を浴びて育てる 収穫前約20日間、覆いをして日光を遮断
製法 蒸した茶葉を揉まずに乾燥させ、石臼で挽く 蒸した茶葉を揉みながら乾燥させる 煎茶と同様に揉みながら乾燥させる
飲み方 茶葉を湯に溶かして飲む(全体を摂取) 湯で成分を抽出して飲む(茶葉は捨てる) 煎茶と同様に抽出して飲む
味わい 濃厚なうま味、コク、ほどよい渋み さわやかな香り、程よい渋みと爽やかなうま味 遮光によりテアニンが増加。強いうま味、まろやかで渋みが少ない

抹茶と玉露は、ともに「覆い下栽培」という共通点があります。これによって、うま味成分であるテアニンが渋味成分(カテキン)に変わるのを防ぎ、格段にうま味が強くなります。しかし、抹茶は茶葉を丸ごと飲み、玉露は抽出して飲むという根本的な違いがあります。

シーンで使い分けたい!日本茶の楽しみ方

それぞれの特性を理解すれば、日々の生活に合わせた楽しみ方が広がります。

品薄・価格上昇の背景と、私たちにできること

さて、本題のニュースに戻りましょう。なぜ抹茶ブームが、日本茶全体の品薄や価格上昇につながっているのでしょうか。

その理由は、原料の取り合いにあります。

抹茶の需要が急激に増えると、原料となるてん茶(抹茶の原料となる碾茶)の需要も当然ながら増加します。しかし、このてん茶を生産するには、覆い下栽培という手間とコストのかかる方法が必要で、生産量をすぐに増やすことが難しいのです。その結果、限られたてん茶をめぐって価格競争が起こり、原料の高騰を招いています。

さらに、この影響は抹茶だけでなく、同じ覆い下栽培で作られる玉露にも波及しています。原料の確保が難しくなり、価格に反映され始めているのです。また、農家さんによっては、通常の煎茶用の茶畑を、収益性の高い抹茶原料用に転換する動きも出ており、それが結果的に煎茶の供給量にも影響を与える可能性があります。

では、私たち消費者にできることは何でしょうか?

まずは、この状況を「知る」ことです。そして、「抹茶だけ」ではなく、煎茶や玉露、番茶、ほうじ茶など、多様な日本茶の魅力を改めて見直してみることが大切ではないでしょうか。それぞれに個性と良さがあります。世界が認めた抹茶の素晴らしさは誇るべきですが、同時に、私たちの身近にある、実に多様な日本茶の世界を、これからも大切に育て、楽しみ続けていきたいものです。

世界の注目を浴びる抹茶。その人気は、日本の食文化が再評価されている証でもあります。このブームを一過性のものに終わらせず、日本の茶業界全体が持続可能な形で成長していくことを願わずにはいられません。次に抹茶や日本茶を手に取る時、その一杯の向こうにある、広い世界に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


Nutrient Library-8 緑茶の健康力 – インタビュー:静岡県立大学名誉教授・農学博士 小國 伊太郎, インタビュー:静岡県立大学名誉教授・茶学術研究会会長・農学博士 横越 英彦

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