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日清食品HDが直面する「かつてない危機」とは? 本丸・即席麺がアメリカで苦戦、韓国勢のプレミアム攻勢について論考する

日清食品HDが直面する「かつてない危機」とは? 本丸・即席麺がアメリカで苦戦、韓国勢のプレミアム攻勢について論考する

2025年12月23日、東洋経済オンラインは、日清食品ホールディングスの安藤宏基社長CEOが「かつてないほどの危機感」 を表明したことを報じました。同社は主力である即席麺事業、特に最大の海外市場であるアメリカで苦戦を強いられ、業績予想を下方修正せざるを得ない状況に陥っています。

この背景には、市場の変化と新たな競合の台頭という、二つの大きなうねりがありました。今回は、世界的な食品メーカーが直面する逆風の実態とその背景について解説します。

本丸の不調:アメリカ市場で販売数量が10%以上減少

今日の情報源です。

日清食品HDの危機感の根源は、文字通り「本丸」である即席麺事業の不振にあります。同社は2026年3月期通期の業績予想を下方修正し、売上高は当初計画から2.2%減、コア営業利益は18.1%減を見込んでいます。

中でも最大の打撃となっているのが、海外事業の屋台骨であるアメリカ市場での苦戦です。アメリカは、日清HDの海外コア営業利益の約4割を占める重要な地域ですが、今期上期(4~9月期)の販売数量は前年同期比で10%以上も減少しました。特に販売量の多い比較的安価な「ベース商品」の不振が響き、米州全体のコア営業利益は前年同期比で51%減という大幅な落ち込みを記録しています。

この状況は皮肉なものです。というのも、アメリカの即席麺市場自体は堅調に拡大を続けているからです。イギリスの調査会社ユーロモニターによれば、小売販売量は2016年の約28万トンから2025年には約52万トンへと大きく増加しています。インフレが進む環境では、比較的安価な即席麺の需要が高まる傾向があるとも言われてきました。それにもかかわらず、市場の成長に日清HDが乗り切れていないのです。

苦戦の背景①:消費の二極化とマクロ環境の変化

では、なぜ市場が成長しているのに日清HDの販売は減ってしまったのでしょうか。同社が挙げる理由の一つが、「消費の二極化」の流れとマクロ環境の変化への対応の遅れです。

具体的には、低所得世帯における購買行動の変化が指摘されています。日清食品のベース商品の主要顧客は低所得世帯でした。しかし、バンク・オブ・アメリカのデータによれば、2025年以降、高所得世帯の消費支出は好調である一方、低所得世帯では伸び悩んでいます。インフレの影響で、低所得世帯は安価な即席麺でさえ購入を控え、より経済的な自炊へと食生活をシフトしているのです。従来の主力顧客層が、主力商品から離れ始めたことが、販売不振の一因となっています。

苦戦の背景②:高価格帯で台頭する韓国勢の攻勢

一方、市場の成長を牽引しているのは、簡便性や特徴的な味で差別化された高単価な「プレミアム即席麺」 です。ここで日清HDの存在感を脅かしているのが、韓国の食品メーカーです。

「辛ラーメン」で知られる農心(ノンシム) や三養食品(サムヤン) などの韓国企業は、強い辛さを追求した商品を武器に、K-POPアーティストを起用した広告やSNSを駆使したマーケティングで、アメリカ市場での存在感を急速に高めています。彼らの商品は、価格が高くても独自の価値を求める層や、流行に敏感な若年層から高い支持を集めています。

つまり、アメリカの即席麺市場では、低価格帯では顧客の購買意欲そのものが低下し、成長著しい高価格帯(プレミアム市場)では韓国勢にシェアを奪われるという、二重の苦境に日清HDは立たされているのです。

立て直しへの道筋:新商品投入と組織改革

こうした状況を打破するため、日清食品HDは立て直し策に動き出しています。具体的には、2025年度下期(10月~2026年3月)にアメリカ市場向けの新商品を投入し、同時に現地での組織改革を急ぐ計画です。

さらに中長期的には、2026年度以降に新たな主軸となるブランドを育成するとともに、収益性の低い既存商品の販売を終了(終売)するなど、商品ポートフォリオの見直しを通じて利益の回復を目指す方針です。

まとめ:市場変化への素早い適応が求められる

日清食品HDの事例は、長年市場をリードしてきた大企業であっても、消費者の価値観や市場構造の急激な変化に対応できなければ、大きな逆風に直面することを示しています。

「安さ」だけで低所得層を捉える従来のモデルが通用しなくなる一方で、高付加価値商品を求める層へのアプローチでは新興勢力に後れを取る。これは即席麺市場に限らず、多くの消費財産業が直面する可能性のある課題と言えるでしょう。

グローバル市場で「カップヌードル」という強いブランドを持つ日清食品HDの、組織と商品の大胆な変革に、今後も注目が集まります。

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