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映画『MOTHER マザー』は公開当時、「母」という存在を根底から揺さぶる衝撃の一作として話題になりました。

映画『MOTHER マザー』は公開当時、「母」という存在を根底から揺さぶる衝撃の一作として話題になりました。

今回ご紹介する映画『MOTHER マザー』は公開当時、神聖視された「母」という存在を根底から揺さぶる衝撃の一作として話題になりました。

以前、『映画になった恐怖の実話』(鉄人シネマ書籍シリーズ)という書籍をご紹介した際、その中に『MOTHER マザー』が出ていたのでご紹介したことがあります。

川口祖父母殺害事件を題材にした映画『MOTHER マザー』について解説されているのは『映画になった恐怖の実話』(鉄人社)です。
川口祖父母殺害事件を題材にした映画『MOTHER マザー』について解説されているのは『映画になった恐怖の実話』(鉄人社)です。少年が、母親に求められて自分の祖父母に手をかけたものの、母親は「息子が勝手にやった」と供述した事件です。

タイトル通り、『MOTHER マザー』はは、2014年に実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」という実話をもとに着想を得て制作されました。

Amazonプライムビデオで公開されたことと、SNSでもダイジェストがポストされて話題になっていたので、改めてこの記事でレビューしたいと思います。

実の息子に金の無心をさせるだけでは足りずに……


男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザー(長澤まさみ)が、息子(奥平大兼、幼少期:郡司翔)を「私は親だろう」と精神的に支配。

実の息子に、金銭強奪目的で祖父母を殺害させ、さらに逮捕されると全部息子のせいにして逃げ切ろうとした壮絶な事件です。

映画では、母親の名は三隅秋子(長澤まさみ)。

パチンコなど浪費癖があり、息子周平(奥平大兼、幼少期:郡司翔)と借金の依頼で実家を訪ねても、毎度毎度のことで浪費癖をなじられます。

秋子は1972年、埼玉県川口市生まれ。

定時制高校に入るもまもなく中退。

スナックやキャバクラでアルバイトをしながら遊び歩き、異性や金銭関係で頻繁にトラブルを起こすようになります。

ディスコで知り合った男性と結婚しますが、2006年に周平が小学校4年のときに離婚。

ここで父親が息子を引き取っていれば、後の悲劇も起きなかった可能性は高かったのに、「ママはずっと一緒にいてあげられるけど、パパはいずれ他の女性と再婚するかもしれない」などという秋子の言葉を信じ、周平は母を選ぶことになります。

秋子は、すでに離婚の2年前、周平が小学校2年後半ぐらいからホストクラブにハマり出していました。

そして、浪費だけで仕事も家事もしなくなっていたのです。

そんな秋子は離婚後、以前勤務していた店の常連客だった中年男性が住む、さいたま市のアパートに息子と一緒に転がり込みます。

もちろん、生活費の全てはその人に依存。

周平は、秋子がホスト遊びを始めた頃から学校を休みがちだったが、両親の離婚を機に完全に不登校に。

小学校低学年から「学校を休みがち」だったのに、周囲が何もできなかったというのは、ちょっと首を傾げます。

いずれにしても、周平はTVゲームに明け暮れる日々を送るようになります。

離婚後は、映画をご覧いだたければわかりますが、とにかく壮絶です。

たとえば、その後秋子はホストクラブのホスト・遼(阿部サダヲ)と再婚しますが、遼が周平に自分の陰部のお伽を強要。

周平は秋子のためにそれを受け入れます。

日雇いで食いつないでいた遼の収入がなくなると、周平に親族宅を回らせ金を無心させるなんて当然のこと。

最も同情的だった親戚のおばさんが、周平に同情して400~500万円を融資したそうです。

「それでも金がなくなると、彼らはモーテルの敷地内にテントを張り生活する」という図々しさ。

まあそんな生活ですから行き詰まってしまい、2014年3月、 周平は秋子に祖父母564をするように追い詰められ、手を下してしまう。

ところが、逮捕後は一転して、「息子が勝手にやった」と秋子は言い出すわけです。

実際に下った判決は秋子に懲役4年6月、周平に懲役2年。

周平は弁護士の薦めで最高裁まで争い、2016年6月8日、上告は棄却され一審判決のまま刑が確定しました。

「親」という存在が絶対的なものではない


本作は、「親」という存在が絶対的なものではないことを暴き出します。

そして、「親」になることに適性がないと気づいた時、社会はどう介入すべきなのか、という根源的な問いを残しています。

再三書いていますが、日本には、中国仏教が融合した「儒教」、そして日本の「家制度」の影響で、親が絶対に偉いという不毛なイデオロギーがあります。

「親孝行すべし」「親に逆らってはいけない」「産んでもらったことに感謝せよ」

本作のように、とうていそんな「道徳」は受け入れられない親子関係も、世の中には存在します

とはいえ、この映画は、人並み外れた「毒親の映画」と他人事で片付けるものではないと思います。

現代社会が抱える「孤育て」や「貧困の連鎖」、そして「子どもの福祉」について、深く考えさせられる作品です。

作品の見どころとしては、映画初出演とは思えない存在感を放った奥平大兼と、何より新境地を切り開いた長澤まさみの熱演に尽きます。

猫なで声で男にまとわりつき、金切り声で子供を従わせる姿は、まさに「怪物」そのものです。

あなたは、ラストシーンを見届けた時、彼らにどんな言葉をかけますか。そして、あなたの隣にいる誰かを守るために、何ができるでしょうか。この重く苦しい物語は、きっとあなたの中に、しばらく消えない感情の波紋を残すでしょう。


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