
最近、スーパーや飲食店で「生ハムが入手困難になるかもしれない」という話を耳にした方も多いのではないでしょうか。実は今、イタリアとスペインという生ハムの二大産地からの豚肉輸入が相次いで停止され、業界に大きな波紋が広がっています。本記事では、なぜこのような事態が起きているのか、なぜ国産豚では代替できないのか、そして今後の対策について詳しく解説します。
輸入停止の原因:アフリカ豚熱(ASF)の脅威
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“生ハム”入手困難に?──スペイン産豚の輸入停止、影響は 業者「コロナ禍に近いインパクト」 代替品は?【#みんなのギモン】#みんなのギモンhttps://t.co/zLFaliXi79
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生ハムショック? “第2波” シェア7割・スペイン産の輸入停止 「メニューから消えないか…」不安の声も イタリア産に続き https://t.co/jhou5mHq8a
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生ハム輸入停止の最大の原因は、**アフリカ豚熱(ASF:African Swine Fever)**という家畜伝染病の発生です。農林水産省は2022年1月にイタリアで、そして2025年11月28日にはスペインの野生イノシシでASFの感染が確認されたことを受け、これらの国からの豚肉および加工品の輸入を一時停止しました。
アフリカ豚熱は豚やイノシシに対して致死率が非常に高く、有効なワクチンや治療法が存在しません。人間には感染しませんが、一度発生すると畜産業界に甚大な被害をもたらすため、日本では家畜伝染病予防法で「特定家畜伝染病」に指定されています。
過去にASFが発生した84カ国・地域のうち、輸入停止措置が解除されたのはベルギーなど3カ国にとどまっています。イタリアは発生から4年近く経過した現在も輸入再開の見通しが立っておらず、スペインについても長期化が懸念されています。
深刻化する生ハム不足の実態
日本が輸入する生ハムの約7割がスペイン産です。イタリア産の輸入停止後、多くの飲食店や流通業者がスペイン産に切り替えていたため、今回の輸入停止は二重の打撃となりました。
東京・錦糸町のスペイン料理店では、店主が「1月にはなくなるかもしれない」と危機感を露わにしています。生ハム協会に所属し、日々技術を磨いてきた専門店ほど、代替品を見つけることが難しい状況です。また、サイゼリヤのように320円という手頃な価格で生ハムを提供していたチェーン店も、今後の対応に苦慮しています。
輸入業者には飲食店から「既存の在庫を調達したい」との注文が殺到しており、すでに在庫の争奪戦が始まっています。
なぜ国産豚では代替できないのか
「それなら国産豚で生ハムを作れば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、実は簡単ではありません。その理由は主に以下の3点にあります。
豚の品種と肉質の違い
ヨーロッパの生ハムに使われるのは、主に白豚という品種です。特にスペインのイベリコ豚は黒豚の一種で、脂肪の質が特別です。イベリコ豚の脂身にはオレイン酸が豊富に含まれており、長期熟成によって独特の風味と口どけの良さを生み出します。
一方、日本で一般的に飼育されている豚は、脂肪の融点や肉質が異なります。国産豚でも黒豚は生ハム製造に適していますが、生産量が限られています。
製法と熟成の違い
生ハム作りで最も重要なのが「熟成」です。イタリアやスペインの伝統的な生ハムは、塩漬けと長期熟成(18〜36ヶ月以上)によって、独特の風味と食感を生み出します。
しかし日本の気候は高温多湿で、ヨーロッパのような自然熟成には適していません。そのため、国産の生ハムの多くは「ラックスハム」と呼ばれる発酵熟成を経ない製法で作られており、本場の生ハムとは根本的に味わいが異なります。
コストと生産規模の問題
仮に本格的な熟成生ハムを国内で製造しようとしても、温度・湿度を厳密に管理する設備投資が必要になります。また、長期熟成には時間とコストがかかり、スペイン産に比べて「3割程度高い」と言われるアメリカ産やフランス産よりもさらに高額になる可能性があります。
今後の対策はどうすればいいか
短期的な対策
現在、代替産地としてアメリカやフランスが挙がっていますが、スペイン産と比べて価格が3割程度高いため、完全な代替は困難です。消費者としては、以下のような対応が考えられます。
- 価格上昇を受け入れる:高品質な生ハムは価格が上がることを前提に購入する
- 他国産を試す:アメリカ産、フランス産など他の産地の生ハムにチャレンジする
- 国産生ハムを見直す:製法は異なりますが、国産ならではの品質を楽しむ
中長期的な対策
業界全体としては、以下のような取り組みが期待されます。
- 国産生ハムの品質向上:日本の気候に合わせた製法を確立し、本格熟成生ハムの国内生産を拡大する
- 新たな輸入先の開拓:ヨーロッパ以外の地域からの輸入ルートを確立する
- ASF清浄国の認定取得支援:イタリアやスペインが清浄国として再認定されるよう、国際的な協力体制を築く
国としても、ASFの国内侵入を防ぐため、水際対策の強化が不可欠です。海外から持ち込まれる肉製品の検査、野生イノシシの監視体制強化、農場の衛生管理徹底などが求められます。
まとめ
イタリアとスペインからの豚肉輸入停止は、アフリカ豚熱という深刻な家畜伝染病が原因です。生ハムの製造には特定の品種、製法、熟成期間が必要で、国産豚での代替は容易ではありません。
短期的には価格上昇や品薄が避けられませんが、これを機に国産生ハムの技術革新が進む可能性もあります。消費者としては、生ハムの価値を改めて見直し、様々な産地の特徴を楽しむ良い機会かもしれません。
年末年始にかけて需要が高まる時期だけに、生ハム好きの方は早めに確保することをお勧めします。今後の動向に注目しながら、賢く対応していきましょう。
