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結婚式場大手のノバレーゼとエスクリが合併する話題に。背景には、婚姻数の減少だけでなく、「ナシ婚」や「ジミ婚」の広がり。

結婚式場大手のノバレーゼとエスクリが合併する話題に。背景には、婚姻数の減少だけでなく、「ナシ婚」や「ジミ婚」の広がり

最近、結婚式場大手のノバレーゼとエスクリが2026年4月に合併するというニュースが話題になりましたね。背景には、婚姻数の減少だけでなく、結婚式を挙げない「ナシ婚」や、地味で控えめな「ジミ婚」の広がりがあるようです。

今回は、結婚式の歴史と現代の変化を通して、これからの結婚式のあり方について考えてみたいと思います。

広がる「ナシ婚」「カジュアル婚」の現実

今日の情報源です。

日経新聞の記事「ナシ婚やカジュアル婚も定着 『縮む婚礼市場』が分かる10選」でも指摘されているように、婚礼市場は確実に縮小傾向にあります。婚姻件数そのものの減少に加え、結婚しても式を挙げない「ナシ婚」、ごく少人数でささやかに行う「ジミ婚」、形式にこだわらない「カジュアル婚」など、従来の大規模で華やかな結婚式とは異なるスタイルが若い世代を中心に広がっています。

背景には、経済的な負担の大きさや、形式ばった儀式への違和感、コロナ禍をきっかけとした価値観の変化など、様々な要因があるようです。「結婚式にお金をかけるなら、住宅資金や子育て費用に回したい」という実用的な考え方も根強くあります。

結婚式の歴史を振り返る

現代の結婚式のあり方を考える前に、まずは結婚式の歴史を簡単に振り返ってみましょう。

結婚式の始まり

日本の結婚式の原型は、古代の「嫁入り婚」にまでさかのぼります。これは女性が男性の家に移り住む形態で、儀式としては比較的簡素なものでした。時代が下ると、武家社会では婚儀の形式が整えられ、結納の習慣などが確立されていきます。

豪華化していった過程

結婚式が現在のような華やかな形式になったのは、実は比較的最近のことです。明治時代に入り、神前結婚式が創始され、大正時代以降に都市部を中心に広まりました。しかし、当時はまだごく一部の上流階級の習慣でした。

一般庶民にまで結婚式が広がり、豪華化していったのは、高度経済成長期以降のことです。1970年代以降、経済的な豊かさとともに、結婚式は「一生に一度の晴れの日」として大規模化・豪華化していきました。結婚式場のビジネスモデルが確立され、ウエディングドレスや指輪、引出物など、様々な産業が発展していったのです。

「ジミ婚」ブームの背景

近年注目されている「ジミ婚」は、従来の豪華な結婚式に対するアンチテーゼとして広がっています。その特徴は以下のような点です。

特に、コロナ禍で大規模な集会が制限されたことをきっかけに、少人数での結婚式の良さに気づいたカップルも多いようです。また、SNSの普及により、「他人と違う」「自分らしい」結婚式を求める傾向も強まっています。

結婚式はどうあるべきか~本質を見失わないために~

では、これからの結婚式はどうあるべきなのでしょうか。私は以下のような点が重要だと考えます。

形式より本質を見つめる

結婚式の本質は、「二人の結婚を公にし、祝福を受ける」ことです。高級な会場や豪華な料理、高価な引出物などは、あくまでその手段に過ぎません。形式にこだわりすぎて、本来の目的を見失ってはいないでしょうか。

経済的な負担を見直す

結婚式の平均費用は数百万円にも上ると言われています。これは新婚生活のスタートとしては決して小さな負担ではありません。「周りがやっているから」「一生に一度だから」という理由で無理をして大きな借金を背負うことは、本当に幸せなのでしょうか。自分たちの経済状況を見極めた上で、無理のない範囲で式を計画することが大切です。

自分たちらしさを大切に

結婚式は、二人の門出を祝う儀式です。他人の目を気にしたり、世間の常識に縛られたりするのではなく、二人にとって本当に大切なものは何かを考え、自分たちらしい式をデザインすることが重要です。例えば、以下のような選択肢もあります。

家族の思いも尊重する

とはいえ、結婚式は二人だけのものではありません。特にご両親にとっては、子供の結婚式は人生の大切な節目です。完全な「ナシ婚」を希望する場合でも、ご両親の気持ちに配慮し、別の形で感謝の気持ちを伝える方法を考えることも必要かもしれません。

おわりに

結婚式の形が多様化している現代。「ナシ婚」や「ジミ婚」が増えていることは、決して悲観すべきことではなく、むしろ結婚式の本質を見つめ直す良い機会なのかもしれません。

大切なのは、形式や規模ではなく、二人の門出を心から祝い、これからの人生を共に歩んでいくという決意を新たにすることです。他人と比較したり、世間の基準に縛られたりするのではなく、自分たちにとって最も幸せな結婚の形を、自由に選べる時代になってきたと言えるでしょう。

皆さんも、もし結婚する機会があれば、ぜひ自分たちらしい結婚の形について、じっくりと考えてみてください。


結婚観の歴史人類学 – ジョン・R・ギリス, 北本 正章

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