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難病を乗り越え、耳に穴を開けず痛みも伴わないアクセサリー「マイヤリングR」を11歳で国内特許取得、16歳で起業した水野舞さんの軌跡

難病を乗り越え、耳に穴を開けず痛みも伴わないアクセサリー「マイヤリングR」を11歳で国内特許取得、16歳で起業した水野舞さんの軌跡

難病を乗り越え、耳に穴を開けず痛みも伴わないアクセサリー「マイヤリングR」を11歳で国内特許取得、16歳で起業した水野舞さんの軌跡を紹介した記事が話題です。講演や活動を通じて「他人とは違う道」を選ぶ大切さを次世代の子どもたちへ伝えています。

今回スポットを当てるのは、株式会社マイヤリングスの代表取締役社長、水野舞さん(16歳)の軌跡です。

彼女は8歳で「耳につけないイヤリング」の原型を発明。11歳(小学5年生)で国内特許を取得して、12歳(小学6年生)で起業しました。

「耳につけないイヤリング」とは、耳たぶを挟む金具を使わず、ヘアピンやバレッタなどで髪や帽子に留めて、耳元に飾る新しいタイプのアクセサリーです。

耳たぶを欠損している人や、小耳症、耳たぶの下部が頬の皮膚に直接くっついている付着耳など、耳たぶを挟む金具がつけられない、もしくはつけにくい人でも、イヤリングができる発明です。

水野舞さんの発明には、病という圧倒的な「制約」を「創造性」へと反転させ、子どもの遊びを「国家資源」へと高めた、革新的な教育とビジネスのヒントが隠されています。

圧倒的な「制約」が創造性の源泉になる


先天性胆道閉鎖症という難病を抱えて生まれた水野舞さんは、4歳のとき、母親をドナーとする生体肝移植手術を受けています。

幼少期の記憶の大半を占めるのは、発熱のたびに繰り返される入院と、水さえ飲めない絶食の苦しみでした。

しかし、この極限の不自由さが、彼女の創造性を研ぎ澄ませた事実は、私たちに「環境」の捉え直しを迫ります。

「病院の中で楽しいことを見つけるのはすごく大変……やはり治療が最優先ですので、楽しいことよりも、苦しいことやつらいことの方が多いんです。そんな入院中に唯一できた楽しいことが、ものを作ること。」

選択肢が極端に制限された病室という空間で、唯一手にした自由が「もの作り」でした。

制限があるからこそ工夫が生まれ、何もないところから喜びを生成する。

この「制約から価値を生む」経験が、後に「耳に穴を空けずに揺れるピアスを楽しみたい」という発明の種となったのです。

「訳の分からんこと」を「発明」と定義する、専門家の眼差し

そこで、8歳の舞さんが、ストローと毛糸を使って作った「耳の後ろの髪に留めるアクセサリー」。

大抵の大人が、「子どもの工作」として見過ごすであろうその造形を、父・敬さんは直感的に「これは発明だ」と見抜きました。

敬さんは、脳の発達研究を行う専門家でもあります。

子どもを一人の独立した人格として尊重し、普段から「舞さん」と呼びます。

所有物としてではなく、対等なパートナーとして接する敬さんの哲学は、大人が陥りがちな「子どものアイディアを遊びで終わらせる罠」を回避しました。

たとえ大人の目には「訳の分からんこと」に見えても、その中にはその子にしか見えていない世界の解像度がある。

それを面白がり、言葉を与え、価値を肯定する。その「親の眼差し」こそが、アイディアが社会へと芽吹くための最初の土壌となるのです。

あえて実効性の高い「特許」を狙う戦略

11歳で挑んだ国内特許の取得は、決して「記念受験」のような甘いものではありませんでした。

敬さんは、あえて申請が比較的容易な「実用新案」ではなく、権利の実効性が極めて強い「特許」の取得を舞さんに提案しました。これは、知的財産のプロとしての戦略的な判断です。

そして、取得にかかる数十万円の費用を父が立て替え、「稼いで返しなさい」と突き放す。

水野家で「命がけの金融教育」と呼ばれるこのプロセスには、二つの重要な教育的意図があります。

専門性の壁の突破
留学のような言語の壁(特許用語)や膨大な書類に、子ども自身が主体として向き合うこと。

ビジネスの当事者意識
「お小遣い」の枠を越えた多額の負債を背負うことで、自分のアイディアを「商品」として成立させる責任を負わせること。

単なる「体験」ではなく、本物のビジネスのルールに放り込むことで、彼女のプロ意識は一気に加速しました。

子ども扱いを拒絶する「プロとしての内省」

12歳での起業後、舞さんは「子ども社長」という肩書きに甘えることを良しとしませんでした。請求書作成から検品、そしてプレゼン資料のカスタマイズまで、全ての工程を自らの手で実行しています。

彼女のプロフェッショナリズムが結実したのが、2023年のクラウドファンディングプロジェクトです。資金調達に成功した彼女は、かつて自分が苦しんだ場所である順天堂大学の小児医療センターへ、自社製品を届けました。「病院でもおしゃれをしたい」という、かつての自分の願いを、自ら立ち上げたビジネスで叶えたのです。

講演一つをとっても、彼女は聴衆に合わせて資料をゼロから作り直し、終了後は「今日はダメだった」と深く内省します。

「『私も自分の好きなことをやってみようかな』とか、『人と違う道を歩んでも大丈夫なんだな』というふうに思ってもらえたらうれしいからです。」

彼女を動かしているのは、自分という「例外」を示すことで、同じように「普通」の枠外にいる誰かをエンパワーメントしたいという、強固な使命感です。

私たちは次なる「水野舞」のサポーターになれるか


舞さんの作った「耳につけないイヤリング(マイヤリング)」は、今やおしゃれのためだけでなく、生まれつき耳の形が違ったり、病気やケガで耳たぶを欠損してしまった人たちが「もう一度お洒落を楽しめる」という、福祉の光にもなっています。

もしかしたら、高齢になって手が震え、普通のアクセサリーが着けにくくなった方々にも、新しい喜びを届けるかもしれません。

彼女の物語は、決して遠い世界の「奇跡」ではありません。

周囲の大人が、子どもの言葉を信じ、時に「お金は自分で稼いで返しなさい」と社会のリアルを教え、一人の人間として背中を押し続けた結果生まれた「必然」です。

ひるがえって、私たちの身の回りを見渡してみましょう。

目の前の孫や子どもが口にしている「わけの分からんこと」や、日々の小さな「不平不満」の中に、実は未来を変える種が隠されているかもしれません。

私たちはそれを「子ども(若者)の言うことだから」と古い常識の枠に押し込める側になるのか。それとも、一人の対等な人間として「ほう、それは面白い」と言葉を聴く側になるのか。

人生の大先輩である私たちの「聴く姿勢」ひとつで、次の世代の可能性は、大きくも小さくもなるのではないでしょうか。


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