
最近、NHKなどのメディアでも取り上げられ、注目を集めている「骨卒中」という言葉をご存じでしょうか。脳卒中は聞いたことがあっても、骨卒中については初耳という方も多いかもしれません。
しかし、この骨卒中は、高齢者の健康寿命を大きく左右する重要な問題なのです。今回は、骨卒中とは何か、その原因や予防方法について詳しくご説明します。
骨卒中とは何か
今日の情報源です。
知っていますか?“骨卒中” NHKニュース https://t.co/fpf8ueawF2
— 無明子 (@shirimochigome) January 13, 2026
骨卒中とは、骨粗鬆症が原因で高齢者に起こる大腿骨近位部骨折(太ももの付け根の骨折)や脊椎圧迫骨折(背骨の骨折)のことを指します。森整形外科リハビリクリニック
「卒中」という言葉は、もともと「突然起こる」「急に襲う」という意味があり、脳卒中の恐ろしさを連想させる言葉として使われています。骨卒中も同様に、それまで元気に歩いていた方が突然骨折を起こし、一気に生活レベルが低下してしまうという深刻さから、この名前が付けられました。
重いものを持ったり、尻もちをついたり、場合によってはくしゃみをした程度の軽い衝撃でも骨折が起こってしまうのが特徴です。NHK首都圏
骨卒中の何が怖いのか
骨卒中が通常の骨折と区別されて特に注意喚起されている理由は、その後の生活への影響の大きさにあります。いったん骨卒中を起こすと、治療を受けた後も杖が手放せなくなったり、車椅子が必要になったりと、寝たきりや死に至る谷への転落のきっかけとなってしまうのです。
特に深刻なのは、65歳以上の大腿骨近位部骨折の場合、術後5年生存率が66.7%と、胃がんや大腸がんと同等という研究結果があることです。ハルメク
さらに恐ろしいのが「骨折の負の連鎖」です。一度骨折を起こすと、再度同じような骨折を繰り返す危険性が高くなります。背骨の圧迫骨折をきっかけに、転倒して大腿骨を骨折し、運動量が減って筋力が低下、最終的に寝たきりになる「ドミノ骨折」が起こることもあるのです。
どうして骨卒中になるのか
骨卒中の最大の原因は「骨粗鬆症」です。骨粗鬆症とは、骨の密度が低下して骨がもろくスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症の主な原因には以下のようなものがあります:
1. 加齢による骨密度の低下
年齢とともに、骨を作る機能が衰え、骨密度が低下していきます。
2. 女性ホルモンの減少
女性ホルモンのエストロゲンには、骨を分解する「破骨細胞」の働きを抑制する作用があります。しかし閉経後はエストロゲンの分泌が激減し、破骨細胞の働きが過剰になることで、急速に骨密度が低下します。
3. 栄養不足
カルシウムやビタミンDなど、骨の健康に必要な栄養素の不足も骨粗鬆症を招きます。
4. 運動不足
骨は負荷がかかることで強くなります。運動不足は骨密度の低下につながります。
5. 転倒リスクの増加
筋力の低下やバランス能力の低下により、転倒しやすくなることも骨折のリスクを高めます。
年齢や性別でなりやすい人は?
骨卒中になりやすいのは、圧倒的に50歳以上の女性です。NHK首都圏
具体的な統計を見ると、女性では50歳代の7%、60歳代の23%、70歳代の42%、80歳代の65%が骨粗鬆症の状態にあるというデータがあります。男性でも60歳代で8%、70歳代で23%が骨粗鬆症になります。
大腿骨骨折に関しては、女性の発症率は男性の約3.7倍~4倍にも達します。これは、女性が閉経によって女性ホルモンが急激に減少することが大きな理由です。
また、以下のような方もリスクが高いとされています:
- BMI18.5未満の痩せすぎの方
- 若い頃に無理なダイエットをした方(骨量のピークが不十分)
- 運動習慣がない方
- 喫煙や過度の飲酒をする方
- 家族に骨粗鬆症や骨折の既往がある方
どのような対策があるのか
骨卒中の予防には、骨粗鬆症の予防と治療、そして転倒防止が重要です。具体的な対策をご紹介します。
1. 骨密度検査を受ける
50歳を過ぎたら、定期的に骨密度検査を受けることが大切です。自分の骨の状態を知ることが予防の第一歩です。
2. 栄養面での対策
カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質など、骨の健康に必要な栄養素を積極的に摂取しましょう。牛乳、小魚、豆腐、きのこ類、緑黄色野菜などがおすすめです。日本人は全年代でカルシウムが不足しているため、1日プラス200mgのカルシウムを意識して摂取しましょう。
3. 適度な運動
ウォーキングや軽い筋力トレーニングなど、骨に負荷をかける運動を習慣にしましょう。運動は骨密度を高めるだけでなく、筋力やバランス能力の維持にもつながり、転倒予防にも効果的です。
4. 日光浴
ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されます。1日15~30分程度、適度に日光に当たるようにしましょう。
5. 薬物療法
骨粗鬆症と診断された場合は、医師の指導のもと、骨粗鬆症の治療薬を服用することで、骨折のリスクを約50%減らすことができると言われています。注射薬や内服薬など、さまざまな治療法があります。
6. 転倒予防の工夫
家の中の段差をなくす、滑りにくい床材にする、手すりを設置するなど、生活環境を整えることも大切です。冬場は特に転倒しやすいため注意が必要です。
まとめ
骨卒中は、決して他人事ではありません。特に50歳以上の女性は3人に1人が骨粗鬆症になるという統計もあります。しかし、適切な予防と対策を行うことで、骨卒中のリスクを大きく減らすことができます。
「最初の骨折を防ぐ」ことが何より重要です。骨粗鬆症というと高齢者の病気というイメージがあるかもしれませんが、実は50~60代から徐々に始まっているものです。今日から、食事、運動、定期検診を意識して、骨の健康を守り、笑顔で歩ける人生を目指しましょう。
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