
2025年10月、宇部市で80代の女性が運転する軽乗用車が郵便局に突っ込む事故が発生しました。「アクセルとブレーキを間違えた」というこの事故を受け、再び高齢ドライバーの免許返納を求める声が高まっています。こうした事故の報道があるたびに、「高齢者は運転免許を返納すべき」という意見が噴出します。
確かに、高齢ドライバーによる逆走事故や操作ミスによる事故のニュースは、私たちに強い印象を残します。
しかし、感情論ではなく、統計データに基づいて冷静に議論することが重要です。
高齢者事故の統計的実態
「アクセルとブレーキを間違えた…」宇部市で80代女性が運転する軽乗用車が郵便局に突っ込む(KRY山口放送)#Yahooニュースhttps://t.co/Vm0aLEajxw
「私はたぶん、3回目だから」— ウサギ猫 (@mmmmasamasa) October 31, 2025
釧路市のビッグハウスというスーパーへ買い物に行ったら信じられないものを見た。
屋上の駐車場でアクセルとブレーキを間違えた車が上から落ちてきたらしい。
運転手は高齢男性のようです。
落ちた場所に人がいなくて良かった。 pic.twitter.com/T5VmOKY1Ik— 中島章文 (@Ey49ekQolZTfOdq) October 7, 2025
免許人口10万人当たりの死亡事故件数(2023年)をAI(DeepSeek)に調べてもらいました。
16~19歳:5.2件
20~24歳:4.8件
75~79歳:4.9件
80~84歳:6.3件
85歳以上:9.8件
確かに、これだけ見ると、85歳以上の高齢ドライバーは他の年齢層に比べて死亡事故率が高くなっています。
しかし、75~79歳の層は、20~24歳の若者とほぼ同水準です。
また、これは「割合」であり、事故「件数」自体は、24歳以下の事故のほうが、85歳以上の事故よりも圧倒的に多くなっています。
高齢になれば自主的に免許を返納をする人がいるので、ドライバー人口自体が少ないからです。
高齢ドライバーは、認知機能の低下による逆走事故や、身体機能の低下による操作ミスが目立つ傾向があり、若年ドライバーは、スピード違反やわき見運転など、注意力や判断力の問題による事故が多くなっています。
まあ原因はどうあれ、事故は事故ですから、85歳以上が危ないのなら、24歳以下だって危ないといわなければ公平ではありません。
そして、精神科医の和田秀樹医師は、事故を年齢だけのせいにして、運転障害薬(咳止め、睡眠薬・抗不安薬、抗真菌薬、抗てんかん薬などの使用)の影響を見ていないと指摘しています。
それだけでなく、先の統計にあるように、85歳以上ですら、1万人に1人もいない事故のために、たとえば「80歳で免許返納」などと法制化して一律に車を取り上げたら、逆に9999人の認知機能が衰えてしまう。そのための医療費や介護費はどうなるんだ、と和田医師は畳み掛けています。
運転しないからボケるとは限りませんし、個人のボケ防止のために、1万に1人であってもリスクのある運転を推奨する気には、私はなれないですけどね。
高齢ドライバーの移動手段と社会参加
高齢者の免許返納を議論する際に見落とされがちなのが、地方在住の高齢者にとって自動車が「足」であるという現実です。
公共交通機関が乏しい地域では、車がなければ買い物にも通院にも行けなくなる方が大勢います。
免許返納は、単に運転権利を放棄するだけでなく、社会からの孤立を意味する場合もあるのです。
ある調査では、免許返納後の高齢者の生活満足度が大幅に低下し、うつ症状を訴えるケースが増えるというデータもあります。
現在の高齢者対策とその効果
現在、75歳以上のドライバーには、認知機能検査が義務づけられています。
また、高齢者講習の受講も必要です。さらに、サポカー(安全運転支援車)の普及も進んでいます。
これらの対策には一定の効果があり、高齢ドライバーの死亡事故件数は緩やかに減少傾向にあります。
しかし、認知症が疑われる場合でも、医師の診断がない限り免許更新が可能であるなど、課題も残っています。
免許返納の法制化は是か非か
ということで、高齢者の免許返納を法制化すべきでしょうか?
DeepSeekは、「より現実的な対策」として、法律で一律に免許を取り上げるのではなく、
1.運転適性検査の厳格化と頻回化
2.安全運転支援技術の搭載義務づけ
3.地域公共交通の充実と代替移動手段の確保
4.免許返納者のための優遇策の拡充
を提案しています。
私自身は、以前書いたように、外傷もまったくない接触事故なのに、示談に1年半も粘られたことがあり、歩行者性善説を打ち砕かれたので、還暦になってすぐ運転はやめることにしました。
自動車保険の担当者からは、「まだ引退は早いのではないか」とも言われたのですが、もともと運転が好きではなかったし、ある行動をとるときにべつの考え事をする癖(ADHDか?)もあるので、集中力が必要な運転は向いていなかったのだと思います。もっと大きな事故を経験する前に引退してよかったのでしょう。
まあ今は、電車とバスと、たまにタクシーで事足りています。暑くなければ歩くのも悪くないし、ドライバー引退はちっとも後悔していません。
みなさんは、いかが思われますか。
薬害交通事故 – 免許返納を決める前に読む本 – (ワニブックスPLUS新書) – 和田 秀樹
