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『難病が教えてくれたこと』(なかのゆみ、笠倉出版社)は、全17冊にわたって難病や障害と向き合う家族を描いた短編マンガ集

『難病が教えてくれたこと』(なかのゆみ、笠倉出版社)は、全17冊にわたって難病や障害と向き合う家族を描いた短編マンガ集

『難病が教えてくれたこと』(なかのゆみ、笠倉出版社)は、全17冊にわたって難病や障害と向き合う家族を描いた短編マンガ集です。人間はいつ誰がそうなるかわからないし、そうなってもおかしくない。そんな厳しい人生の偶然を考えさせてくれます。

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『難病が教えてくれたこと』について

『難病が教えてくれたこと』は、なかのゆみさんが描き、笠倉出版社から上梓された漫画です。

「家庭サスペンス」というレーベル名がついています。

全17冊にわたり、認定されている難病、まだ認定されていない難病、そして障害などと向き合う家族の話を描いています。

一話完結で、1冊あたり3~5話が収録されています。

特定の人物や家庭をモデルとした「実録」ではありませんが、その「難病」の一般的な症状を経験するストーリーになっています。

多くが中途障害や突然の罹患ですが、法的に認定された難病、そうでない難病、障碍などを含めて「難病」としています。

受傷や罹患するのは家族の父であったりり母であったり、子であったり祖母であったりと様々です。

いずれにしても、必ずといっていいほど「難病」をめぐって周囲の偏見、夫婦の不仲などが発生しますが、その都度真剣に向き合い、克服していきます。

といっても、治療法が確立していなかったり、あまりにも症例が少なく難病認定すらされていなかったりするケースもあり、いつもハッピーエンドというわけではありません。

たとえば、『難病が教えてくれたこと2~あの芸能人が発症した病気~ 2巻』には網膜剥離の話がありますが、主人公は失明します。

それも、失明してしまった後ではなく、失明するまでの心のあり方を描いています。

『難病が教えてくれたこと11~遺伝性・不治の病~』では、ムコ多糖が取り上げられていますが、漫画を発表した時点で治療薬が承認されていませんでした。

それでも、なかのゆみさんは「難病」としっかり向き合い、最期までしっかり描ききっています。

作家は、その強靭な精神力が必要なのです。

誰がいつそうなるかはわからないし、なっても不思議ではない

これらの話から改めて感じるのは、人間、いつ誰がどんな難病になるかはわからない、ということです。

ネットでは、たとえば障碍者や難病者に対して、予算をつけることは税金の無駄遣いと見当外れの罵倒をする人たちがいます。

2016年に起こった相模原障害者施設殺傷事件(いわゆる津久井やまゆり園事件)では、一部には犯行を心情的に共鳴するネット掲示板の書き込みなどがありました。

  1. 意思疎通のとれない障害者は安楽死させるべきだ
  2. (生産性のない)重度・重複障害者を養うには莫大なお金と時間が奪われる
  3. 障害を持って生まれたら不幸に決まっている

といったことでした。

しかし、真面目に向き合えば、何を訴えているのかはわかります。

真面目にとろうとしないのが悪いのではなく、とれないから「安楽死」とは、まったくもって傲慢此の上ありません。

そもそも、その連中だって、いつ、本書のような難病や中途障害者にならないという保証はないのです。

たとえば、直腸がんで人工肛門をつけても、心臓のペースメーカーを入れても障害者です。

まさか、その連中は、自分だけはいつまでも若さを保って不老長寿だと思っているのでしょうか。

障害・難病者に関する予算は、今そうでない人にとっても他人事ではないのです。

「障害を持って生まれたら不幸に決まっている」。

そんなの、なんでわかるんでしょう。

不幸かどうか、障碍者本人にヒアリングしたのでしょうか。

そういう統計、あるんですか。

ま、ないだろうな。

そもそも、不幸な人は生きていてはいけないのでしょうか。

思い上がるのも大概にしてほしいですね。

そういう誤った考え方は、本書を読むことで変わらざるを得ないでしょう。

各話については、また機会を見つけて改めてご紹介したいと思います。

ご一読をおすすめします。

『難病が教えてくれたこと』(なかのゆみ、笠倉出版社)全17冊は、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

以上、『難病が教えてくれたこと』(なかのゆみ、笠倉出版社)は、全17冊にわたって難病や障害と向き合う家族を描いた短編マンガ集、でした。


難病が教えてくれたこと ~あなたの身近にいる闘病者たち~ 2巻 (家庭サスペンス) – なかのゆみ

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