
これまでの記事で、筋トレと有酸素運動は、認知症や生活習慣病の対策として有効であるという情報や、関連健康法をご紹介してきました。では、具体的にどれぐらいの時間それを行えばよいのか。それを論文を根拠に解説している医師のYouTube動画をご紹介します。
どれぐらいの時間に何をすればいいのかは、論文を解説する2つの動画をシェアします。
正直、驚くほどあっけないものです。
1日たった26分の運動でがんリスクは低下する
最初は、いつもの石黒医師です。
石黒医師はまず、アメリカの医療従事者と看護師を対象とした3つの大規模コホート(NHS, NHS II, HPFS)の約14万7,000人を最大30年間追跡したデータを紹介しています。
(Long-term resistance training with all-cause and cause-specific mortality: assessing dose-response and joint associations with aerobic physical activity.)
その報告は以下のとおりです。
「週90~119分の筋トレで総死亡リスクが13%低下、心血管疾患19%低下、神経変性疾患(認知症など)が27%低下」
「120分を超えると効果が頭打ち(プラトー)になる」
「がん死亡リスクは週1~59分という、より少ない量で低下する」
「有酸素運動と週60~119分の筋トレを組み合わせると死亡リスクが約45%低下する」
といった研究報告を紹介しています。
何が新機軸かというと、たった「週1分」でも、筋トレはがん死亡リスクを下げる、ということです。
まあ、週1分ではさすがにヤッた気がしないでしょうから、報告のMaxである「59分」で考えても、1日平均9分弱です。
スクワットでも、腕立て伏せでも、何でもいいのです。1日9分でがん死亡リスクが下がるのです。
それに、1日平均最大17分の有酸素運動(例えば、やや息が切れる程度の速歩散歩)を組み合わせれば、それで45%もリスクが下がるというのです。
1日24時間のうち、合計26分ぐらい、何とか捻出できますよね。
また、国際的な大規模研究であるPURE試験(17カ国・約14万人を追跡)などにより、握力が5kg低下するごとに、全死因による死亡リスクが約16%、心血管疾患による死亡リスクが約17%増加する、という報告も紹介しています。
すなわち、握力低下は血圧よりも強力かつ正確に、脳卒中や心筋梗塞などの心血管死や非心血管死を予測するとの報告も紹介しています。
血圧を気にしている方は、握力も気にしましょう。
家事や農作業は「意識すること」で有酸素運動になる
白土綾佳医師(内科医・認知症医)の動画では、最新の脳科学では、運動によってBDNF(脳由来神経栄養因子)が増加し、脳が若返ることが証明されたことを伝えています。
特に有酸素運動と筋トレを組み合わせることで、記憶力の向上や脳の萎縮防止に大きな期待が持てるといいます。
白土綾佳医師は、激しいトレーニングよりも日常的に心拍数を上げる意識を持つことや、運動を習慣化するためのマインドセットの重要性を説いています。
週に150分のウォーキング(毎日約20分の早歩き)、または20分間程度のランニングを週3回行うことで、認知症の発症率が約40%低くなるというデータを紹介しています。
週3回、40分の早歩きを1年間続けた高齢者は、記憶を司る「海馬」の容積が2%大きくなった(脳が若返った)と報告されています。
(論文名: Exercise training increases size of hippocampus and improves memory.2018年)
高齢になってからでも、脳が成長するってすごいことだと思いませんか。
そして、これも新機軸ですが、脳は騙されやすいことを上手に利用することを説いています。
具体的には、掃除機をかけたり、重いものを押したりする日常の肉体を動かす作業も、「これは十分な運動なんだ」と意識して行うだけで、同じ作業をしてそう意識しない人よりも、体重や血圧が低下するなど、健康効果が高まることがわかっています。(Mind-set matters: Exercise and the placebo effect.2007年)
散歩、通勤、掃除、洗濯など、私たちは実は意外と体を動かしています。
それを、何も意識せずに行うのか、「今は運動しているぞ」と意識するか、そこには違いがあるというのです。
ですから、「筋トレヤるぞ」と改めて構えなくても、生活の中に運動の要素を組み込むと長続きしやすくなるといいます。
若返るか、それとも衰えるか
私は、先日書いたように、スクワット100回、腕立て伏せ100回、片足立ち左右3分ずつ、握力は25kgのハンドグリップ左右2分2クールずつを1日のノルマにしていたのですが、先日書いたように体に疲労がたまり、半月ぐらい休んでしまいました。
その後、スクワットはすんなり復帰できたのですが、片足立ちは3分もたずに足をついてしましました。
ちょっと休むと、筋肉はすぐに衰えるんだなと思いました。
人間の体は、ずっと同じままではなくて、鍛えれば若返り、何もしなければ死に向かって確実に衰えていくということです。
人間、いつかは死にます。
ここから先は哲学の問題ですが、だから、ジタバタしないで下り坂をなすがままに転がり落ちていくのか。
それとも、少しでもその日が遠のくように、下り坂をのぼる試みを諦めないのか。
みなさんは、どちらを選びますか。
60代から始める筋トレ超入門: 一生自分の足で歩くための「健康寿命」筋トレ – 健康寿命向上委員会
