あなたを幸せにさせない5つの間違った常識(菊谷隆太著)は、常識になっている5つの人生観の間違いを仏教の見地から解説しています。菊谷隆太さんは、当該部門では圧倒的多数である、チャンネル登録者約23万を誇る仏教系YouTuberです。
『あなたを幸せにさせない5つの間違った常識』は、YouTubeで仏教講座チャンネルを開設している菊谷隆太さんが上梓した小冊子です。
菊谷隆太さんが発行しているメールマガジンにつながる読み物のようです。
書籍コードも電子書籍のコードもない小冊子ですが、熟慮の上、今回ご紹介することにしました。
菊谷隆太さんは、仏教YouTuberとして、約23.4万人(2023年1月30日現在)という驚異的なチャンネル登録者数を誇っており、それほどの人気コンテンツを発信している方の書物について、何にせよその存在を取り上げることは公益性のある情報になると判断したからです。
ちょっと、回りくどい書き方をしましたが、なぜ「熟慮」なのか。
YouTuberとしての実績を評価しました
菊谷隆太さんは、浄土真宗親鸞会という浄土真宗の信徒団体のバッジを付けています。
同団体に関する様々な評価から、他の仏教チャンネルで、菊谷隆太さんをとりざたす動画がいくつもあります。
やれ、親鸞会は問題があるだの、菊谷隆太さんの講座内容は勉強が足りないだの……。
浄土真宗親鸞会が一部で言われているような集金方法について問題があるなら、それはきちんと見ていきたいと思います。
たとえば、脱会者の瓜生崇さんの書籍(現在、真宗大谷派玄照寺住職)もご紹介したことがあります。

ただ、肝心の「教え」の部分で、私は仏門に入っているわけではないので、何をもって浄土真宗親鸞会が、大谷派や本願寺派などと違うのかはわかりません。
そもそも私は、いかなる宗派だろうが信徒団体だろうが、どこかの肩を持つ立場でなく、どこであっても是々非々で見ていきたいと思っています。
それと、みなさんやっぱり菊谷隆太さんに対する嫉妬もありますね(笑)
仏教チャンネルはほかにもたくさんありますが、1万人もいかないのがほとんどでしょう。
その数字の差は、決して意味のないことではないと思いますよ。
前出の瓜生崇さんの動画では、動画をフロント「商品」にして、多額のお金をサロンで払わせるという指摘もありますが、動画自体は浄土真宗親鸞会の勧誘を前面に出している動画ではないので、YouTubeのチャンネルは違法伝導とまでは言えないと思います。
いゃ、そういうことよりもね、他の仏教者の皆さんは、宗論より先に、YouTuberとして菊谷隆太さんを見習ってください。
メルマガとか、SEOとか、菊谷隆太さんはその都度ネットの潮流について勉強されていますよね。
YouTubeについても、話すテンポや時間、さらに伝えたい要点の整理と訴求について、きちんと勉強していることがわかります。
スクショを撮るとわかりますが、菊谷隆太さん、その時時で実にいろいろな表情をしています。
動画が見るものを退屈させないのは、それもあると思います。
そういう工夫、住職の皆さんはしていますか。
だた、ジコマンでダラダラしゃべってるだけじゃないんですか。
で、素人から見ても勉強不足の住職もいます!
他の住職のチャンネルの中にはそういうものがありますから、私は途中で見るのをやめちゃうのも少なくありません。退屈しちゃって。
閲覧者に見てもらいない動画なんて、意味ないんですよ。
ということで結論ですが、浄土真宗親鸞会についての評価は今回は行わず、YouTuberとしてコンテンツがわかりやすい菊谷隆太さんの小冊子をご紹介する、ということです。
大乗仏教と初期仏教の区別と両立ができていない憾み
菊谷隆太さんの動画コンテンツは、わかりやすくて面白いですが、よく聞くと構成はシンプルです。
因と縁と業のトライアングルを、内心にありがちな感情を例にとって話しているだけです。
まあ私もそうですが、結局そういうことなんだろうな、とはわかっていても、なかなかストンと胸に落ちないこってあるんですよね。
それを助けてくれるのが、菊谷隆太さんの解説です。
ただ、菊谷隆太さんは、あたかもそのすべてはお釈迦様にあり、それを親鸞上人が実践したというふうに話していますが、それはやはり正確ではない、少なくとも十分ではない前提です。
菊谷さんは、なんでもかんでも「仏教では」という主語を必ずつけるのですが、「どこの仏教?」というツッコミをまず入れておきます。
たとえば、親鸞の『教行信証』と、初期仏教の『スッタニパータ』は内容が違います。
もちろん、現在の大乗仏教の諸宗派はそれぞれ違います。
大乗非仏説などとも言われますが、初期仏教が本当にゴータマブッダ直伝かどうかは学問的に議論があります。
ただいずれにしても、諸宗派の違いを曖昧にしたまま、「仏教は……」という「全称命題」で語るのはいかがなものでしょうか。
「我が宗派こそがゴータマ・ブッダの教えを正しく受け継いでいる」と思うのは構いません。
ただ、それは「信仰としては」という前提であり、少なくとも学問的には、「仏教は」といえる場合と、「浄土真宗は」という場合は区別していただきたいものです。
細かい疑問符もあります。
たとえば、浄土真宗は大乗仏教ですが、なぜか菊谷さんは「自業自得」「自因自果」という初期仏教の概念にこだわっておられます。「自分で蒔いた種は自分に返ってくる……」とか。
しかし、すでに初期仏教の後期から、廻向供養の概念が見られるようになるなど、自分の人生の中で因果が完結するという考え方から、大乗仏教の「縁起」に基づいた業報観、つまり必ずしも単純な「自業自得」の「因果応報」にはならない、という教えに移ろいでいます。
その関連で、なぜか菊谷さんは「悪因悪果」という言い方をされていますが、それは仏教的には「悪因苦果」といいます。
悪いことをすれば悪い報いがある、ということらしいのですが、たとえば友人を裏切った(悪因)人が絶縁されてしまった。しかし、その寂しさから心を入れ替えた、ということがあったとしましょう。
その場合、絶縁が機縁となって真人間になったのですから、絶縁は「苦果」であり「悪果」ではありません。
ところが、菊谷さんは、自分の「因」次第で、その人自身が必ず「悪果」を背負うぞ、と言っているわけです。
では、菊谷さんは、仏教学に反してまで、その人に「悪果」にならないどんな「因」を求めているんでしょう。
……とまあ、前置きばかりで小冊子のご紹介に進めないので、この話はここで切り上げますね(笑)
仏教の説く絶対の幸福とはなにか
小冊子は5つのパートに分かれています。
【Part1】「好きなことを思う存分できれば幸せだ」
【Part2】「愛する人とともに生きるのが幸せ」
【Part3】「人のためになるような生き方が幸せだ」
【Part4】「ほどほどの生き方が幸せ」
【Part5】「もっと悲惨な人もいるからあなたは幸せなんだよ」
これらはみな仏教的には正しくない、仏教の説く絶対の幸福を知っていただきたい、という内容です。
たとえば、Part1ではこう解説されています。
「本当に好きなこと、本当に大切なこと」って、みなさんは本格的に考えたことありますか。
他責ですが、私は毒親に育てられたので、そういう思考が苦手なのです。
他の方も同じ経験をされたかもしれませんが、学歴キ×ガイの親ですと、逆立ちした刷り込みをするんですね。
好きなこと、生きがいは地位や肩書で変わると。
だからまず、いい大学に入れと。
でもね、私はもう還暦過ぎてしまいましたが、まだ人生諦めていません。
だから、毒親の刷り込みからなんとか自由になろうと、もがいています。
そんな私の理解を助けてくださる道として、仏教には期待しているのです。
みなさんも、小冊子、ご覧になりませんか。
菊谷隆太さんのメルマガに申し込むと、リンクを辿ってダウンロードできます。
ま、それにはまず、菊谷隆太さんの動画をご覧ください。
私も最初はね、仏教チャンネルなのに、住職でもなさそうな人が何を語ってるんだ、なんて思って見始めたのですが、上記のように動画の構成力としては完成度が高いと思ったので、いつのまにか惹き込まれていました。
といっても、繰り返しになりますが、見解の異なるところもありますから盲信しているわけではないんですけどね。
だからこそ、動画コンテンツとしての質の高さを率直に認められるわけです。
以上、あなたを幸せにさせない5つの間違った常識(菊谷隆太著)は、常識になっている5つの人生観の間違いを仏教の見地から解説、でした。
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