たけくらべ(樋口一葉、オリオンブックス)現代語訳版は、お札にまでなった作家・樋口一葉の代表作を現代語訳したものです。

この記事は約6分で読めます。
スポンサーリンク

たけくらべ(樋口一葉、オリオンブックス)現代語訳版は、お札にまでなった日本を代表する作家の代表作を現代語訳したものです。

たけくらべ(樋口一葉、オリオンブックス)現代語訳版は、お札にまでなった作家・樋口一葉の代表作を現代語訳したものです。未来の遊女候補と、寺の息子がお互いに好意を抱きながらも素直になれず、結局意思表示もできないままわかれる話です。

樋口一葉(樋口奈津、1872年5月2日~1896年11月23日)の短編小説『たけくらべ』は、1895年に文芸雑誌『文学界』で連載されました。

吉原遊郭の近くに住む、少年少女の淡い恋愛を描いた短編小説です。

5人の少年少女による物語ですが、その中で中心人物になるのは、美登利(みどり)、信如(しんにょ)、正太郎という、3人が織りなす思春期の物語です。

主人公の美登利は、未来の遊女候補として、学校に通いながら遊女になるための教育を受けています。

彼女は、寺の息子である信如に、ひそかに好意を抱いていますが、素直になれずにいます。

物語は、遊郭の近くに住むそんな少年少女たちの日常と心の移り変わりを描いています。

中心人物が女性1人と男性2人という設定は、たまに使われますね。

ドラマでは、勝野洋、長谷直美、小倉一郎の『俺たちの朝』(1977年、東宝/日本テレビ)とか、


反町隆史、竹野内豊、広末涼子の『ビーチボーイズ』(1997年、フジテレビ)などを思い出します。


今上げた作品は共通点があり、いずれも、

1.主人公たちが自己発見の旅を通じて成長する様子を描く
2.友情や恋愛など、複雑な人間関係が物語の中心にある
3.主人公たちが置かれている、社会的な状況や制約が物語の展開に影響

しているわけですが、まさに異性を含んだ3人物語の原点が『たけくらべ』ということでしょう。

ただし、すでに青空文庫入りしている作品で、1895年に発表されていますから、ちょっと現代的には難しい表現もあります。

そこで、現代語訳版として登場したのが、本書というわけです。

スポンサーリンク

告白しなかった美登利と信如


主人公の美登利は14歳です。

未来の遊女候補として、学校に通いながら遊女になるための教育を受けています。

近所の子供たちの中では姉のような存在です。

吉原の売れっ子遊女を姉に持っていることから、気前もいいし性格も勝気です。

ところが、彼女は、寺の息子である信如にひそかに好意を抱いているものの、素直になれずにいます。

信如は、僧侶を父に持つ15歳の少年。

真面目ですが内向的で、生臭坊主の父を疎ましく思っています。

正太郎は、高利貸しの息子で、美登利を慕っています。

こちらは、喧嘩っぱやくて大人びた言動の13歳の少年です。

その他、鳶人足の親方の息子の長吉(16)や、人力車夫の息子の三五郎(16)などが登場します。

現代ですと、仲間は対等か、年長がリーダーシップをとりますが、この5人には「家柄」という上下関係がありました。

年長の長吉は信如を、三五郎は正太郎にへつらっています。

そういう時代だったのです。

美登利と信如の関係は、よくありがちなツンデレです。

まわりにひやかされたことで、信如は美登利を避けるようになり、美登利もそんな彼の態度に戸惑いを感じ、勝気な性格もあって、本心とは違う「憎まれ口」をきくような関係になってしまいます。

ある雨の日、大黒屋(美登利の家)の前で、下駄の鼻緒を切って困っていた信如。

その姿に気づいた美登利は、「顏は赤う成りて、何のやうの大事にでも逢ひしやうに、胸の動悸の早くうつ」ほど気持ちは高まりましたが、気の利いたことが云えず、声をかけずに黙って紅い友仙の布をおいておくものの、そのとき長吉が通りかかって下駄を貸してくれると提案したため、信如は結局その紅友仙を使うことなく去ってしまいました。

その後、14歳になった美登利は初潮に気づき、自分の身体が大人に変わっていくことで、今の時間や自分が失われていく「時の移ろい」に憂鬱になります。

活発だった美登利は大人しくなり、次第に学校を休むようになります。

現代のような自由さがまだない時代で、美登利は遊女に、信如は僧として生きていくことが決められていました。

最終的に、信如と思われる人物が僧侶の学校に入学する日に、美登利の家の門の下に、名乗らずに水仙の造花を飾ります。

これは、以前、花が美しく咲いている枝を1本折ってほしい、と美登利に頼まれたとき、信如は周りの目を恥ずかしがって、無愛想に枝を折り、美登利に投げつけたことを悔やんでいたためと思われます。

美登利は花を手に取り、それを一輪挿しに活けました。

大人になっていく子供たちの背中に、写る年月のはかなさと切なさが描かれています。

「一葉」の名前をもらったマジシャンも

ほろ苦い話です。

小学校や中学の頃、仲のいいグループで楽しい日常があり、この時間がずっと続かないかなあと思っても、そこは諸行無常で時は移ろう。

しかも、お目当ての人に結局告白できなかった。

そんな経験はありませんか。

きっと、「ある」人が多いからこそ、本作は今も残り、冒頭のように現代ドラマのモデルのような存在であったり、こうして現代語訳が出たりするのでしょう。

余談ですが、樋口一葉というのはペンネームで、本名は樋口奈津。

彼女のファンは多く、夏目漱石との縁談もあったとか。

慎ましくうつむき加減。異性と話す時は、はじめは下を向いていますが、話していると、のどの下を見せるように顔を突き出し、熱中してくると火鉢をグイグイ押してきたそうです。

これでは男性はたまらないだろうと書いているのは、『教科書では教えてくれない日本文学のススメ』(関根 尚著、学研プラス)という書籍ですが、こちらはまた後日ご紹介したいと思います。

マジシャンだった伊藤一葉(伊藤家晴、1934年6月19日~1979年9月30日)は、自らの芸名に、樋口一葉の「一葉」を頂戴したと述べています。

手品を見せた後に、「この件について何かご質問はございませんか」という一言を添え、それが流行した人です。


この方とか、ゼンジー北京さん、マギー司郎さんなど、昭和の終盤は、話術で楽しませるマジシャンがウケた時代ですね。

ただ、名前だけでなく、短命であることまで「樋口一葉」を受け継いでしまいました。

『たけくらべ』は、読まれたことありますか。

以上、たけくらべ(樋口一葉、オリオンブックス)現代語訳版は、お札にまでなった日本を代表する作家の代表作を現代語訳したものです、でした。

たけくらべ - 樋口一葉
たけくらべ – 樋口一葉

コメント