退職すると社会と切れてしまいボケてしまうのではないか。が、ベトナムの法定退職者を調べた早稲田大学は逆の結果を報告しています。

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退職すると社会と切れてしまいボケてしまうのではないか。が、ベトナムの法定退職者を調べた早稲田大学は逆の結果を報告しています。

早稲田大学とベトナムの国民経済大学に所属する研究者らが2025年に発表した論文「Does Retirement Improve Cognitive Functioning? Causal Evidence From Vietnam」という、ベトナムのデータを用いて退職と認知機能の因果関係を調査した研究報告が話題です。

定年で退職すると、社会と切れてしまいボケてしまうのではないか。

多くの方は、なんとなく心配されているかもしれません。

が、逆の結果が出たというのが今回の研究報告です。

簡単にまとめると、こういう研究結果が出たそうです。

研究結果
ベトナムの法定退職年齢(男性60歳、女性55歳)を基準にして因果関係を分析した結果、記憶力、会話力、生活管理能力などが向上する傾向が示されました。

都市部と農村部での影響の違い
退職による認知機能の改善効果は、都市部ではあまり見られなかった一方、農村部でより顕著に表れました

なぜ改善したか?
退職で時間が増え、運動・趣味・地域の集まり・交流が増えたため。脳が刺激されたようです。
農村部では、退職後に休息や運動にあてる時間の増加や、地域の集まりへの参加、メディアへの接触時間が増えることが確認されました。これにより、退職で生まれた時間を自己ケアや社会参加に充てることが脳の活性化に寄与していると考察されています。

なぜベトナムの高齢者を対象?
ベトナムは、法律で退職年齢が厳格化(男性60歳・女性55歳)されています。これを「自然実験」として使い、退職の影響だけを純粋に調べられたからです。他の国だと健康悪化で早く辞める人が混ざり、因果がわかりにくいのです。

「引退=ボケる」という通説への反証
仕事を辞めることが直ちに認知機能の低下を招くわけではなく、むしろ退職後の過ごし方によっては脳にプラスの影響を与えることが示唆されています。

といっても、これは「退職」したら自動的に認知機能がよくなるわけではなく、退職後の過ごし方が大切なのです。

論文で認知機能が上がった理由(ベトナムでの研究事例)


論文で指摘されている改善の要因は、「仕事を辞めたことそれ自体」というよりも、「退職によって得られた時間や環境の変化」にあります。

自由時間と健康管理の増加
退職によって生まれた時間を使い、休息や運動など自分の体をケアする時間が約6.7%増加したとされています。

地域社会とのつながり
農村部など地域の絆が強いエリアでは、退職後に地域の集まりに参加する割合(約4.9%増)やご近所付き合いが増え、孤立せずに積極的な交流が保たれました。

知的刺激や多様な活動
メディア(テレビ・新聞・ラジオなど)に触れる時間が約28.5%増えるなど、仕事以外での多様な刺激や活動が脳の働きを維持・向上させたと分析されています。

つまり、過度な労働ストレスから解放され、健康的で社会的な生活を送ることができたからこそ認知機能の改善が見られたといえます。

一方で「仕事を続けること」のメリット

従来の研究や一般的な知見では、「定年後も適度に働き続けることが認知症予防や健康維持に役立つ」とする報告も数多く存在します。

今回の研究報告があったからといって、それが否定されたわけではありません。

日常的な知的・社会的刺激
職場で人と会話する、課題を解決する、スケジュールを管理するといった作業自体が脳のトレーニングになります。

生活リズムの維持と役割意識
定期的に外出して働くことで生活リズムが整い、社会的な役割や生きがい(モチベーション)を感じやすくなります。

重要なのは「仕事の有無」よりも「どう過ごすか」

日本や欧米など他の国における「退職と認知機能の関係性」は、「退職が脳に良い影響(改善)を与える」とする最新の研究成果と、「脳を使わなくなって衰える(低下)」とする従来の定説が混在しており、国や個人の属性(性別・経済力・退職後の活動)によって結果が大きく異なることが分かっています。

そうした国内外の膨大なデータを総合すると、「仕事そのものが脳を守っているのではなく、退職によって生まれた時間をどう使うか(社会的孤立を避けられるか)」が本質であるといえます。

結論として、「仕事を辞めるか/続けるか」の選択そのものよりも、生活の質や環境が、認知機能に与える影響は大きいという話です。

今回の研究が示しているのは、「仕事を辞めると必ずボケる」という一般的なイメージに対して、「退職後に生まれた時間を健康管理や地域交流などに有効活用できれば、むしろ脳の働きにプラスに働く」という新たな視点です。

仕事を続けること自体が悪いわけではなく、ストレスを溜め込みすぎず、人間関係や自分のケアを大切にできる環境で過ごせるかどうかが重要です。

退職された方は、健康管理や地域交流などに有効活用できていますか。

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