
「ラーメンを食べるのは体に悪い」「塩分と油は敵だ」——。私たちはあまりにも長い間、根拠のない「健康常識」という呪縛に縛られてきました。
一杯のラーメンを前にして、スープを飲み干すことに罪悪感を抱いていませんか?
しかし、その「我慢」こそがあなたの老化を加速させ、寿命を縮めているとしたらどうでしょう。精神科医・和田秀樹氏は、自身の著書『ラーメンと健康』において、これまでの「日本食=健康的、ラーメン=悪」という神話を真っ向から否定しています。
今回は、現代人が陥っている深刻な「栄養不足」を救う、ラーメンという「最強の栄養補完食」の真実に迫ります。
ラーメンは「悪物」ではない。頼れる最強の「栄養補完食」だ
世の中の健康本やメディアは、ラーメンをジャンクフードとして槍玉に挙げますが、それは医学的視点が欠如した偏見に過ぎません。
和田氏は、ラーメンを単なる食事ではなく、不足しがちな栄養素を効率的に供給する「栄養補完食」であると断言しています。
ここで重要なのは、和田氏が「補完食に『できる』」といった曖昧な表現を嫌っている点です。
彼は、編集者がつけた「できる」という弱腰なキャプションに対し、「ラーメンは栄養補完食『だ』と断言すべきだ」と怒りさえ露わにしています。
「ラーメンは悪物ではない。頼れる栄養補完食だ。健康のための食事制限こそが体力の低下を招き、寿命を縮めるのである」
現代の日本人が直面している真のリスクは、食べすぎではなく「栄養不足」です。タンパク質、炭水化物、脂肪、そして微量元素。これらを制限して「ひょろひょろ」になることこそが、老化を早める最大の要因なのです。
脳も体も活性化する「20種類以上」の食材の力
「1日30種類の食材を摂る」という目標を聞いたことがあるでしょう。しかし、現代の忙しい生活でこれを達成するのは至難の業です。ここで、ラーメンの圧倒的なポテンシャルが発揮されます。
和田氏が注目するのは、ラーメン一杯に詰め込まれた「食材の多様性」です。
- 現代のラーメン: スープだけで15種類近い食材(鶏ガラ、豚骨、魚介類、複数の野菜など)のエキスが溶け込んでおり、トッピングを加えれば1回で20種類以上の食材を摂取できる。
- そば: 麺、小麦粉、出汁の数種類。天ぷらを足してもせいぜい8種類程度。
- 牛丼: ご飯、牛肉、玉ねぎ、紅生姜の4〜5種類。
実は、食材の多様性は「脳の健康」にも直結しています。小学生を対象とした研究では、摂取する食材の数が多いほど成績が良いというデータも明らかになっています。
これは大人や高齢者にとっても同様です。
さらに、ラーメンには現代人に不足しがちな「微量元素」も豊富です。
例えば「亜鉛」の不足は味覚障害だけでなく、うつ病の原因にもなり得ます。多様な食材を一度に摂取できるラーメンは、まさに心身を整える特効薬なのです。
「減塩」が寿命を縮める? 10〜15gが最も健康という衝撃
「塩分を控えるのが健康の第一歩」という常識を、世界の権威ある医学データが打ち砕いています。世界で最も権威のある医学雑誌の一つ『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に掲載されたデータによれば、1日の塩分摂取量が「10〜15g」の人が、最も死亡率が低いことが示されているのです。
日本の厚生労働省が掲げる「7.5g」という目標値がいかに危険か、数字が証明しています。
- 驚愕のデータ: 摂取量を7.5gに抑えている人は、10g摂取している人に比べて、死亡率が40%も高まる。
「減塩神話」を盲信することは、文字通り命を削る行為に他なりません。 また、「油」への恐怖も捨て去るべきです。
油(脂肪)不足は、顔のみずみずしさを奪い、見た目の老化を早める直接の原因になります。特に年齢を重ね、脂っこいものが食べられなくなる高齢者こそ、意識的にラーメンのような食事で脂質を補うべきというのです。
歴史と医学が証明する「スープを飲み干すべき理由」
歴史を振り返れば、塩は生命維持の要でした。戦国時代、上杉謙信が宿敵・武田信玄に「塩を送った」のは、内陸部での塩不足が文字通り「死」を意味したからです。
この教訓は、現代の健康問題にも当てはまります。和田氏は、近年の熱中症増加の背景には、暑さだけでなく、過度な減塩ブームによる「塩分不足」があると考えています。
「スープを残す」という行為は、貴重なミネラルや多様な食材のエキスを捨てることに他なりません。これからは、スープに溶け出した20種類以上の食材のパワーを、安心して最後の一滴まで堪能してください。それは、あなたの体を守るための合理的な選択と言います。
「塩分は10~15gが最も死亡率が少ない」は要注意
ただし、塩分の摂取について言えば、医師としては、いくらラーメンフリークだからといって、ちょっと乱暴な主張ではないかと思います。
動画で言及されている研究は、世界的大規模疫学調査(PURE研究など)での報告が根拠になっていると思われます。
研究では、「塩分摂取量と死亡率・心血管疾患リスクはU字カーブ(J型曲線)を描く。極端に多い場合だけでなく少ない場合も死亡率が上がり、もっともすくない中央値が10~15g」というデータを指しています。
しかし、このデータはツッコミどころがあります。
すでに重篤な心不全、腎臓病、フレイル(衰弱)などを抱えている人は、そもそも食欲不振や栄養不良により塩分摂取量が低く測定されるので、死亡率が高く見えている可能性があります。
つまり、塩分が少ないから亡くなるのではなく、弱っているから塩分も摂れなかっただけなのですが、それは考慮されていない、要するに信用度の低いデータなのです。
ここは、心臓や血圧や腎臓等のコンデイションが気になる方は、真に受けないほうがいいと思います。
「我慢」を捨てて、しっかり食べる健康法へ
これまでの健康法は、何かを我慢し、制限する「引き算」の考え方ばかりでした。しかし、これからの時代に必要なのは、しっかり食べて栄養を満たす「足し算」のパラダイムシフトです。
和田氏自身、66歳にして週4〜5回ラーメンを楽しみながら、凄まじい量の執筆や仕事をこなし、若々しさを保っています。彼自身の存在が、この健康法の正しさを何よりも雄弁に物語っています。
和田医師は言います。
明日、あなたがラーメン屋の暖簾(のれん)をくぐる時、もう罪悪感を抱く必要はありません。そこにあるのは、あなたの細胞一つひとつを活性化させ、明日への活力を生み出す「最高のサプリメント」です。
長生きのために、そして何より人生を楽しむために、堂々とラーメンを召し上がってくださいと。

ラーメンと健康 「炭水化物=悪」ではない ラーメンと健康 「炭水化物=悪」ではない (角川新書) – 和田 秀樹

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