赤と黒 (原作/スタンダール、作画/バラエティ・アートワークス)は19世紀フランスの社会秩序と個人の野心、情熱を描いた歴史小説

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赤と黒 (原作/スタンダール、作画/バラエティ・アートワークス)は、19世紀フランスの社会秩序と個人の野心、情熱を描いた歴史小説

赤と黒 (原作/スタンダール、作画/バラエティ・アートワークス)は、19世紀フランスの社会秩序と個人の野心、情熱を描いた歴史小説です。まんがで読破シリーズ(全59巻)の第12巻として漫画化されました。よみやすい内容になっています。

スタンダールの『赤と黒』は、19世紀前半のフランスを舞台にした小説で、野心的な若者ジュリアン・ソレルの社会的昇進と恋愛を描いています。この作品から得られる教訓は多岐にわたります。

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王政復古のフランスにおける身分社会の矛盾を描く

身分や階級社会という矛盾は、いつの時代も形を変えて人間社会に存在します。

紀元前のインドでは、ゴータマ・シッダールタ(釈迦牟尼)が、自分は安泰の身分(王子)なのに、当時の封建社会に疑問を抱き、それが仏教へとつながりました。

弁護士だった、アメリカのエイブラハム・リンカーン大統領は奴隷社会に反対。「人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させないために、われわれがここで固く決意することである」という民主主義の基礎を主張。

日本では、下級武士の子弟として「士族階級の壁」に悩んでいた福沢諭吉が、アメリカの出自にとらわれない社会に触れ、「天は人の上に人を作らず」の名言を残し、明治維新以来の近代化に影響をもたらしました。

学問のすすめ(原作/福沢諭吉、作画/バラエティ・アートワークス)は、人間の自由平等、独立の思想に基づいた啓蒙書の漫画化
学問のすすめ(原作/福沢諭吉、作画/バラエティ・アートワークス)は、人間の自由平等、独立の思想に基づいた啓蒙書の漫画化です。従来の封建道徳を鋭く批判。誰もが自由な立場から実用的学問を身につけ、社会に貢献する人間像を求めています。

そして、本書の主人公、木こりの息子であるジュリア・ソレルがモデルとしたのは、ナポレオン・ボナパルトです。

ナポレオンは、軍、憲法、議会などを制定するなど、フランス革命で確立された国家の近代化を実践してヨーロッパ各国に影響を与えた歴史的人物です。

本書によれば、ナポレオンは、「財産もない無名の青年が、自らの努力と情熱で世界の頂点にたった。人生は生まれや階級で決まらないということを示してくれた」と表現されています。

本作のタイトル「赤と黒」とは、ナポレオン将軍の「赤い軍服」と、貴族の着る「黒い服」のことです。

つまり、「赤」とは、身分社会を否定し、実力でのし上がる価値観を意味します。

王政復古した、つまり「黒」の時代に戻ってしまったフランスで、また「赤」としての立身を考えたジュリア・ソレルの野心、情熱を描いた心理的かつ社会的な小説です。

ジュリアン・ソレルの野心と挫折

ナポレオン・ボナパルトが没落し、フランスは王政復古、つまり封建社会の時代に戻っています。

ナポレオンに憧れ、

材木業の息子であるジュリアン・ソレルは、端正な顔立ちで、野心家の人物。

しかし、下層階級の出身で、王政復古により武勲による立身の望みを失いました。

その不満から、「自分は本来、もっと社会で成功スべき人間なのだ」という自己愛が肥大化しています。

そのジュリアン・ソレルは、レナール町長の息子の家庭教師として雇われます。

ジュリアン・ソレルは、最初は乗り気ではアリませんでした。

神学校で僧侶になり、貴族と同等の扱いを受ける司祭を目指すつもりだったからです。

「赤の時代が終わったのなら、司祭の黒で頂点に立つ」と考えたジュリアン・ソレル。

日本も、中世までは仏教の僧侶は公務員でした。宗教家は、洋の東西を問わず“特別な人”扱いされるんですね。

ジュリアン・ソレルは町長夫人とフリン関係に陥り、自分はイケてるんだと自信をつけます。

しかし、ジュリアン・ソレルを好きだった使用人がヤキモチをやき、2人の関係を密告したために、ジュリアン・ソレルは町長家にいられなくなります。

そして、ジュリアン・ソレルは当初の志通り、神学校に進みます。

その才智で成績はよかったのですが、校長が副校長との派閥抗争に敗れ、校長派だったジュリアン・ソレルも巻き添えを食らい将来の道が絶たれます。

その校長の紹介で、今度はパリのラ・モール侯爵の鞄持ちになりますが、やはり何が何でものし上がる、という意気込みが奏功したか、ラ・モール侯爵の娘のマチルドは、そんなジュリアン・ソレルに夢中になります。

そして、2人は関係。

ラ・モール侯爵は、爵位を手に入れ、ジュリアン・ソレルに与えます。

ついにジュリアン・ソレルは、正真正銘の貴族になってしまいました。

しかし、ここでまたしても神学校の仕組んだ罠にかかり、トラブルを起こしてしまいます。

侯爵ですから、陪審員の買収も造作もないことでしたが、土壇場で彼はプライドからそれをひっくり返してショ刑されてしまいます。

本作から得られる教訓

本作から得られる教訓は多岐にわたりますが、特に以下の点が挙げられます:

1. 社会階級と野心:ジュリアン・ソレルは貧しい家庭から出て、高い社会的地位を目指します。彼の野心は、当時の厳格な階級制度の中での個人の地位向上の可能性と限界を示しています。
2. 愛と偽善:ジュリアン・ソレルの恋愛関係は、愛と情熱だけでなく、計算と偽善が絡み合っていることを示しており、人間関係の複雑さを浮き彫りにしています。
3. 理想と現実:ジュリアン・ソレルはナポレオンを崇拝し、彼のように成功を収めたいと願っていますが、ナポレオンの時代が終わり、再び貴族の時代が戻ってきたことで、彼の理想と現実との間には大きなギャップがあります。
4. 個人の運命:ジュリアンの最終的な運命は、彼の野心と社会の制約との間の緊張関係を反映しており、個人の選択が運命にどのように影響を与えるかを考えさせられます。

これらの教訓は、今日においても人間性、社会構造、個人の目標と社会の期待との関係についての洞察を提供しています。

『赤と黒』は、その時代を超えた普遍的なテーマを扱っているため、現代の読者にも多くの示唆を与える作品です。

以上、赤と黒 (原作/スタンダール、作画/バラエティ・アートワークス)は、19世紀フランスの社会秩序と個人の野心、情熱を描いた歴史小説、でした。

赤と黒 (まんがで読破) - スタンダール, バラエティ・アートワークス
赤と黒 (まんがで読破) – スタンダール, バラエティ・アートワークス

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