かりあげクン(植田まさし著、双葉社)は、平凡なサラリーマンのいたずら、皮肉、意趣返しなどコミカルに描く4コマ漫画です。

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かりあげクン(植田まさし著、双葉社)は、平凡なサラリーマンのいたずら、皮肉、意趣返しなどコミカルに描く4コマ漫画です。

かりあげクン(植田まさし著、双葉社)は、平凡なサラリーマンのいたずら、皮肉、意趣返しなどコミカルに描く4コマ漫画です。いたずらの体裁で、皮肉や仕返しなどをさりげなく同僚や上司などに行うかりあげクンの活躍も42年目を迎えます。

『かりあげクン』は、植田まさしさんが双葉社から上梓しました。

刈り上げている以外、これといった特徴もなく、エリートでもないサラリーマンが、皮肉や嫌味も込めたコミカルな振る舞いや仕返しでおなじみの4コマ漫画です。

植田まさしさんのプロフィールは、1947年5月27日東京都世田谷生まれ。

1971年『週刊漫画TIME』に『チョンボ君』を連載、プロデビュー。

1980年『週刊漫画アクション』に『かりあげクン』連載開始。

2016年『かりあげクン』で第45回日本漫画家協会賞、カーツーン部門大賞を受賞……、などとなっています。

『週刊漫画TIME』も『週刊漫画アクション』も、成人男性漫画誌ですね。

私の記憶では、『週刊漫画アクション』に、『がんばれタブチくん』だったと思うのですが休載になり、その代わりに『ほんにゃらごっこ』というタイトルで登場したのではないでしょうか。

最初は『かりあげクン』ではなかったので、かりあげクンが登場しないときもあったと記憶しています。

『うる星やつら』が、最初はユニークな宇宙人というテーマで、序盤はラムちゃんが出てこない回もあったので、それと同じですね。

うる星やつら(高橋留美子作、小学館)が、2022年10月よりフジテレビ“ノイタミナ”ほか各局にて放送予定と発表され話題です。
うる星やつら(高橋留美子作、小学館)が、2022年10月よりフジテレビ“ノイタミナ”ほか各局にて放送予定と発表され話題です。1980年代のファンタスティックラブコメとして一世を風靡した人気漫画は、令和の時代にどうお色直しされて登場するでしょうか。

『うる星やつら』で、ラムちゃんが登場しないなんて、それ以降の読者には信じられないことでしょうね。

当初の企画がかわるのは、よくあることです。

国民的漫画、サザエさんは磯野家を中心に多くのレギュラーメンバーが絡みますが、本作はもっぱらかりあげクンが仕掛ける役です。

ちょっとブラックな意趣返しもありますが、無言でなしとげるところにコミカルさや爽快感があります。

2022年9月28日現在、現在刊行されている67巻中、65巻がAmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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仕返しや皮肉、いたずらが全面的に拒否されているわけではない

単行本の『かりあげクン』は、最初からキャラクターが出来上がっています。

つまり、いろいろな人といろいろな絡みがあって人間的に変化していくというのではなく、目立たないけれど皮肉な意趣返しや地味ないじわるをすることで存在感のある男、というキャラクターは確立しているのです。

たとえば、第1回3話目の「くりごはん」

同僚が、かりあげクンの家に集まっています。

かりあげクン「クリごはん炊いたんだけどたべる人」

同僚3人「ハーイ、ハーイ」

同僚A「まてまて。あいつのこった。クリごはんたって、どんなもんだかわからんぞ」

同僚B「コメの一粒一粒、くりぬいてごはんだなんて言いかねないヤローだからな」

同僚C「(台所のかりあげクンに)オイオイ、本当にクリ入ってるんだろうな」

台所からかりあげクン「入ってるよー」

同僚C「ホラ、入ってるってよ」

同僚B「とにかく食べてみようぜ。文句はそれからだ」

同僚A「よーし。じゃあオレにはなるべくたくさんクリ入れてくれなー」

台所で、クリをイガごと入れて炊いていたかりあげクンが、「あいよー」と言いながらご飯をよそる、という落ちです。

つまり、「そういうやつだ」と思われているのです。

ところが、かりあげクンは、その上を行っているわけです。

しかも、本当に栗を使っているので、お金もかかっているのに、イガイガでは自分だって食べることは出来ないわけです。

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。

他者を陥れるだけではなく、自分だって一緒に沈むので、ブラックな皮肉や仕返しをするわりには、この同僚たちが家に遊びに来るように、誰からも「村八分」状態になっているわけではないのですね。

威張っている人に対する皮肉などは、快哉を叫ばれているのかもしれません。

第3話の「ジュータン」では、社長が、絨毯自慢をしています。

200万円もかけたといっているのです。

そんなものに200万もかけるのなら、社員の待遇にあてろよ、と社員なら思うでしょう。

そこで社長室に同行したかりあげクンは、つま先で絨毯に「なりきん」と描いて退出していきます。

もちろん、その「機転」を警戒されることもあります。

第7話目の「おさえ」では、上司が額縁を壁に飾ろうとして、社員に「オーイ、だれかおさえてくれー」と頼んでいます。

てっきり椅子に乗っかって飾るので、椅子をおさえてほしいということかと思いきや、最後のコマでは、2名の社員がかりあげクンをおさえています。

「スキ見せると何するかわからんからナ」という具合です。

第2回第1話「ネクタイ」では、1コマ目で、課長がネクタイ自慢をしているところから始まります。

同僚A「あれ!課長、いいネクタイですね!」

課長「デシシシテッドラピドスよ。1本6千円もしたんだぞ」

同僚A「へー、6千円か。差ァつけるなあー。それ1本でボクらがしてるネクタイの3本分じゃないすか。なあ、かりあげ。見てみろよ、ネクタイ6000円だって。よお、かりあげ」

と、かりあげクンの肩をゆすると、「なんだよ、うるさいなー」と言いながら振り向いたかりあげクンは、ネクタイを3本している、というオチです。

自分では元手をかけないいたずらもします。

第2回第4話「ソバ屋で……」では、卓上にある爪楊枝をたくさん持ち帰る客が1コマ目に登場。

課長「アーア。見ろよあれ。楊枝ネコババしてやがる。どこの会社のヤツか知らんけど、みみっちいことしやがって。お前たちも店のもの持っていくようなことはぜったいにしてくれるなよなよ。会社のハジだからな」

同僚A「エエそりゃもう」

という話をしているスキに、かりあげクンは課長の背広に、卓上の割り箸を何本も挟んでいる、というオチです。

いずれも、学生時代に読んでいた『週刊漫画アクション』を思い出し、面白いやら懐かしいやら、の心境です。

笑いとハラスメントのハザマ

ところで、本作については、Wikiに興味深いエピソードが出ています。

前述の通り開始当初から当時の流行や時事ネタを題材としてきたが、植田は近年ではどぎつい風刺や時事ネタなどをあまり使わなくなってきたとインタビューの中で話しており、前者については社会の規制が強くなったためだと分析しており、「昔と比べ、当時は風刺のつもりで描いていても、現代だとそれが“攻撃”だとか“差別”だとかに捉えられてしまう。[中略]そんな現代、風刺ものを描く人は相当にやりづらいでしょうね」と話している。また、植田は後者について、単行本化するまでにネタが古くなり、読者が理解できなくなるためだと述べており、普遍的な面白さを目指しているとも話している(植田まさし (2020年10月16日). 『かりあげクン』40周年、作者・植田まさし氏の矜持「ネクスト・イズ・ベスト」. インタビュアー:衣輪晋一. ORICON NEWS. 2021年1月7日閲覧。)。

たしかに、かりあげクンの仕返しやいたずら、仕打ちが、ともすればブラックだったり、ハラスメントに抵触の疑いがあったり、ということはありますね。

ただ、これは表現活動を行う上で、究極の葛藤ではないかと思います。

人権配慮やコンプライアンスというのは、社会の倫理的な進歩です。

いってはあれですが、発展途上国にはむずかしいことです。

ただ、あまりそこに重きを置きすぎることで、表現の自由に閉塞感が発生することでしょう。

ビートたけしさんが、ツービート時代、こういうネタがありました。

1980年に、社会科の問題が印刷会社によって漏れ、不正に合格した早稲田大学商学部入試問題漏洩事件を風刺したものです。

当時、謝礼金として印刷所の職員に500万円を渡していたといわれますが、ツービートはネタに使うに当たり、「300万」にしました。

たけし「入試漏洩事件。金払えば入試問題がわかっちゃう」

きよし「とんでもないよね」

たけし「早稲田なら300万、明治なら200万、日大なんて100万くれるんですから」

きよし「くれねーよ」

ビートきよしさんは、うなずきトリオに入っていましたが、漫才の「間」がわかっている人だと私は思ってましたよ。

私はこのネタ、40年経っても笑えます。

ちゃんと偏差値順になっているので、「日大なら100万」とくるのかと思ったら、「100万くれる」と。

日本大学が、マンモス大学であることをおちょくっているわけです。

実際には、いくらなんでも「くれる」わけないし、大学としてはスキャンダルなのに無関係な大学がネタに使われてしまっているわけだし、これがいわゆるFランだと洒落にならないわけですが、日大というところにセンスを感じます。

同時期、そのまんま東さんと大森うたえもんさんのツーツーレロレロなる弟子の漫才コンビが、やはり大学ネタを演ってましたが、失礼ながら高千穂商科大学(現高千穂大学)をおちょくるネタだったので、人によっては「そんな大学あるの」という感じで、洒落にならになかったですね。

それはともかくとして、これは、日本大学や在籍する学生さんに対しては失礼なネタです。

かりあげクンは、こんなに弁は立たないですが、いたずらでこういうブラックなのは朝飯前でしょうね。

ただ、今はむずかしいでしょう。

でも、日大生で、本気になって抗議する人はどれぐらいいるのかな。

「マンモス大学だから、そういうネタにされることはあるかも」という見定めが、学内外にあるかもしれません。

松竹新喜劇で、池乃めだかさんの身長を筆頭に、体のネタもギリギリでしょうね。

1960年代の東宝の屋台骨を支えたと言われる人気シリーズ『続・社長紳士録』(1964年、東宝)。

『続・社長紳士録』(1964年、東宝)は当初最終作となるはずだった作品なので華やかな大団円フィナーレで締めくくり
『続・社長紳士録』(1964年、東宝)といえば、東宝の屋台骨を支えたとまでいわれている人気シリーズ「社長シリーズ」の、最終作となるはずだった作品である。最後のつもりで作り上げた作品であるだけに、華やかな大団円フィナーレで締めくくっている。

京塚昌子さんが、芸者の役で出演しています。

接待の場面ですが、三木のり平さんとの掛け合いシーン。

「関取みたいだ」
「それで相撲の解説でもしてんだろう」
「どいてくれよ、向こうが見えないから」など、いくら酒の上とはいえ、京塚昌子さんの体型に対するハラスメント連発ですが、京塚昌子は全く意に介しません。

『肝っ玉母さん』など、テレビドラマでは「いいお母さん」の役を演じていましたが、こんなイキイキした京塚昌子さんをそうそう見たことはありません。

これも、今ならアウトでしょうが、たぶんそうなったら京塚昌子さんも迷惑でしょう。

「せっかく自分にとっては『おいしい』ところなのに」

と思うのではないでしょうか。

ミゼットプロレス興行が行われなくなったのも同様の憾みを感じます。

本来、笑いというのは「毒」のあるものですから、人々の価値観はもう少し緩やかでもいいように思います。

ですから今は、かりあげクンの「毒」を楽しみましょう。


本作は一部、無料で読むことも出来ます。

1日1ページずつ見ていったら、生涯閲覧し続けることができるかもしれませんね。

以上、かりあげクン(植田まさし著、双葉社)は、平凡なサラリーマンのいたずら、皮肉、意趣返しなどコミカルに描く4コマ漫画です。でした。

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