『ゆうひが丘の総理大臣』(望月あきら、オフィス漫)は陰翳に富む人柄を描くドラマ化もされたヒューマンタッチの学園漫画

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『ゆうひが丘の総理大臣』(望月あきら、オフィス漫)は陰翳に富む人柄を描くドラマ化もされたヒューマンタッチの学園漫画

『ゆうひが丘の総理大臣』(望月あきら、オフィス漫)をマンガ図書館Zで読みました。かつての学園ドラマの原作全17巻をすべて読めるのは大変ありがたい。1978年には中村雅俊を主演に、モデルに室生犀星を連想する同名のドラマも制作されました。

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ゆうひが丘の総理大臣の漫画原作とは

『ゆうひが丘の総理大臣』は、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で1977年12号~1980年16号まで連載された、望月あきらによる日本の漫画作品です。

単行本は全17巻で、1978年にはテレビドラマ化されています。

初版は秋田書店、復刻版第1巻がチクマ秀版社から出ていますが、現在はその17巻がすべて、無料でマンガ図書館Zに公開されています。


ストーリーをかんたんにご紹介すると、主人公は大岩雄二郎といい、角刈りに無精髭を生やし、くわえタバコ。そして養護施設出身いう設定です。

中学校の教師に赴任し、後輩の多野木念、百田桜子、伊井加一など同僚の先生や、百田てる学園長、東剛教頭、大宮や針山などの生徒たちと巻き起こすドラマツルギーを1話完結でまとめています。

難しい年頃の子供達と、細かいことはあまり気にしないソーリ先生とのやり取りには、昭和のマンガらしい温かさが感じられます。

マンガ図書館Zとは

『マンガ図書館Z』は、かつて単行本として販売されていた書籍を、オンラインで無料公開しているサイトです。

マンガを無料で公開というと、かつて問題になった漫画村を思い出します。

『マンガ図書館Z』は、Jコミ⇒絶版マンガ図書館⇒マンガ図書館Z、と名称を変えてきたサイトですが、一貫して「電子書籍版YouTube」を標榜しています。

漫画村もYoutubeも、著作権を無視した公開が問題視されている点で共通しています。

では、マンガ図書館Zはマンガ村とどう違うのでしょうか。

大丈夫なのでしょうか。

著作権利者が、事前許諾しなければ作品は公開されないそうです。

そこが、著作権者に無断で後悔していたかつての漫画村と違うところです。

実際には、その手違いで炎上したものもあったらしいですが、それはむしろ、著作権骨抜きのYoutubeなどよりも信頼が置けるということでもあるわけです。

マンガ図書館Zによると、同サイトに表示される広告収益は、著作権者側に支払っているそうです。

要するに、著作権者の許諾を前提にした二次利用です。

著作権側としてもビジネスになるわけです。

もっとも、その金額が少ないことは、しばしば著者自身がツイートしています。

まあ、そのために一から描いたものではなく、絶版になった過去の作品を「再利用」するわけですから、印税なんてなくてもともとぐらいのおおらかな気持ちで、一人でも多くの著作権者がサイトに発表していただけると幸甚です。

中村雅俊主演によるテレビドラマ化も

ゆうひが丘の総理大臣(1978年10月11日~1979年10月10日、ユニオン映画/NTV)という中村雅俊主演の同名の人気ドラマが有りました。

もちろん、原作は望月あきらによる漫画作品でしたが、中村雅俊のキャラクターに合わせてテレビドラマ独自のアレンジが行われました。

中村雅俊は、中学ではなく高等学校に赴任したアメリカ帰りの英語教師です。

これは、夏木陽介(『青春とはなんだ』)以来続いている、日本テレビの青春学園ドラマで共通した教師の設定です。

養護施設出身という設定は原作のままですが、施設で別れた妹(山本ゆか里)がいます。

教員は、多野木念(神田正輝)、百田桜子(由美かおる)、百田てる学園長(京塚昌子)、東剛教頭(宍戸錠)のほか、大坂直次郎(名古屋章)、上条伸吉(由利徹)、伊井加一(小松政夫)、山下健三(前田吟)、山森久子(木原光知子)らです。

大坂直次郎(名古屋章)と娘の道子(篠ひろ子)、さらに婚約者である山下健三(前田吟)との関係は、ソーリの孤独な出自による思いも絡んだストーリーが展開しており、学園ドラマというより、教師を主人公にしたヒューマンドラマとして仕上がっています。

生徒は、役名でいうと、原作に出てきた大宮次男(広松肇)や針山鉄平(佐野文敏)はそれほど大きな役割を果たさず、中心となっているのは、柴田良次(井上純一)、冬木健吉(草川祐馬)、山川平作(清水昭博)で、結核に罹患して中途降板した草川祐馬に代わり、前島正樹(松原秀樹)、木下藤吉(田鍋友啓)らが加わります。

クラスに必ずいる優等生は、遠藤壮一(長谷川諭)と岡田君子(斉藤友子)。

女生徒は、藤村春子(藤谷美和子)、小島ひろみ(清水恵子)、青田のり子(小川ユキ)、麻丘陽子( 島村聖名子⇒小川菜摘)、北川真弓(北村優子)らでした。

百田桜子先生の原作は、由美かおるよりもインテリタイプでメガネを掛けていました。

漫画の園長先生は、テレビドラマの京塚昌子とイメージとして近いと思います。

教頭は、宍戸錠が原作とは違って悪役でしたが、これも従来の青春学園ドラマの設定を踏襲しています。

伊井加一先生は、漫画のキザなキャラクターを、小松政夫がご自身の芸でさらにデフォルメしています。

ゆうひが丘の総理大臣のまとめ

原作にしろテレビドラマにしろ、『ゆうひが丘の総理大臣』は、従来の青春学園ドラマに出てくるような熱血教師ではありません。

したがって、ラグビーもサッカーもやりません。

どちらかというと、ちゃらんぽらんで行き当たりばったりです。

しかし、母親に捨てられた養護施設出身で培われた陰翳に富む人柄は、人との関わりに対しては真剣で温かい。

そんなヒューマンなモチーフです。

いずれ、テレビドラマについても改めてご紹介したいと思います。

以上、『ゆうひが丘の総理大臣』(望月あきら、オフィス漫)は陰翳に富む人柄を描くドラマ化もされたヒューマンタッチの学園漫画、でした。

ゆうひが丘の総理大臣 コミック全17巻完結コミックセット (少年チャンピオンコミックス) - 望月あきら
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