『一文字隼人―仮面ライダー2号伝説』(佐々木剛著、白夜書房)は、仮面ライダー2号を演じた思いなど1998年時点での自伝的書籍

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『一文字隼人―仮面ライダー2号伝説』(佐々木剛著、白夜書房)は、仮面ライダー2号を演じた思いなど1998年時点での自伝的書籍

『一文字隼人―仮面ライダー2号伝説』(佐々木剛著、白夜書房)は、仮面ライダー2号を演じた思いなど1998年時点での自伝的書籍です。佐々木剛さんは1982年に火災による大やけどを経験。40年後の現在も、ライダー2号として多くのファンに愛されています。

『一文字隼人―仮面ライダー2号伝説』は、まさにその役を演じた佐々木剛さんが、白夜書房から上梓した書籍です。

藤岡弘、さんのケガで登場した仮面ライダー2号は、その後私生活で苦労したものの、現在は居酒屋『バッタもん』を開業。

自ら玉子焼きを焼いてファンと語り合う日々を送りながら、仮面ライダー関連の仕事も続けています。

本書は、仮面ライダー2号をどんな思いで演じていたか、火災後はどのような暮らしだつたかなど、興味深い内容で構成されています。

1998年の発行ですから、書籍を入手するのはむずかしいかもしれませんが、ここでは本書から、佐々木剛さんの壮絶な半生を振り返ってみたいと思います。

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最初ら変身ポーズを

仮面ライダーは、石ノ森章太郎さんの原作・東映制作による特撮テレビドラマシリーズです。

1971年4月に放送が開始され、昨年12月に放送された映画『仮面ライダービヨンド・ジェネレーション』まで、テレビドラマ、映画、アニメ、小説など、もういくつのバージョンが制作されたかわからないほど多くの「新版」が50年にわたって制作され続けています。

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元祖『仮面ライダー』は、1971年4月3日~1973年2月10日まで、NET(現テレビ朝日)で放送されました。

そこに登場した仮面ライダーは2人。

本郷猛・仮面ライダー1号の藤岡弘、さん。

一文字隼人・仮面ライダー2号の佐々木剛さんです。

藤岡弘、さんがケガをしたため、第14話から一文字隼人が登場。

藤岡弘、さん復帰後は、第2号は南米へ旅立った設定になっていますが、たまに帰ってきて、ダブルライダーとして悪役のショッカーと戦っています。

古いファンは、この元祖『仮面ライダー』と、1号・2号がストーリー展開に絡んでくる、風見志郎(宮内洋)の『仮面ライダーV3』までを「元祖」とする見方もあります。


このOGPのインタビューでは、変身ポーズを最初にとったのは仮面ライダー2号の佐々木剛だったことが明かされています。

仮面ライダーについては、今更説明の必要もない、人気特撮番組ですが、目玉になっているのは変身ポーズ、

その元祖に当たるのが、ライダー2号・一文字隼人なのです。

仮面ライダーはバイクに乗っていますが、佐々木剛は当初バイク免許がなかったので、新たに変身ポーズを編み出したそうです。

佐々木剛さんは、記事でこう語っています。

「変身ポーズをとったのは、2号が世界で最初ともいわれてる。あのポーズは殺陣師(たてし)さんが考えてくれたんだけど、俺、最初の時に間違えたんだよ。
本当はジャケットのチャックを開けて、ベルトを出して変身ポーズをするのに、あの時は変身ポーズに入ってから『あ、ベルト見せてねえや』って思って、慌ててベ ルト見せて、それからまた変身ポーズに入ったの。

でも、監督も変身ポーズをちゃんとわかってなくて『はい、OK!』って撮影終了。だから、あの時だけ二段モーションになってるんだよ。なんか伝説の二段モーションっていわれてるみたいだけどね(笑)」

では、その佐々木剛さんの歩みをまとめてみます。

劇団NLT⇒新国劇を経てテレビドラマの売れっ子に

佐々木剛さんは、1947年5月7日生まれ。新潟出身。

1965年に高校卒業後、日活のスターだった赤木圭一郎に憧れ映画俳優になろうと東宝芸能学校に入りますが、滝沢修の演技に影響され、新劇に転向します。

劇団NLT俳優教室1期生として入団。

このとき一緒だったのが、仮面ライダー1号の藤岡弘、さんです。

その後、佐々木剛さんは新国劇の研究生に進みます。


同期には石橋正次がいますが、その後、佐々木剛さんの人生に石橋正次が大きな役割を果たすことになります。

佐々木剛さんは、1969年の『柔道一直線』(東映、TBS)出演以来、テレビドラマの売れっ子になります。

1971年、『仮面ライダー』を演じていた藤岡弘、さんが、バイクの事故で大腿骨骨折の大怪我をします。

後任には、当時売れっ子だった佐々木剛さんに白羽の矢が立ちますが、劇団NLTの後輩である藤岡弘、さんの初主演作品を、ケガに乗じて奪うことは出来ない、と最初は固辞。

結局、藤岡弘、さんがケガで休んでいる1クールだけ、という約束で引き受けたといいます。

ところが、佐々木剛さんは、仮面ライダー必携のバイクの免許を持っていなかった。

そこで、バイクでの変身ではなく、変身ポーズを取るようになったそうです。

その後、藤岡弘、さんが完全復帰するまで、結局9ヶ月、39話『仮面ライダー』を撮影しました。

藤岡弘、さんのケガもかなり重かったんですね。

スーツアクターも兼ねた仕事は、かなりハードだったようです。

……と、ここまでは、仮面ライダーの思い出話です。

ところが、ここから佐々木剛さんの私生活での苦労が始まります。

ホームレスまで転落して、やっと俳優にカムバック

順調だった俳優生活で、プライベートでも妻との間に3人の子供をもうけ、人生は幸せの絶頂でした。

ところが、1982年、佐々木剛さんは妻と酒を飲み泥酔したままアパートで就寝。

部屋の石油ストーブの火がタオルに引火すると、瞬く間に炎が広がり、アパートは半焼、隣の家は全焼したのです。

なんだ、自業自得じゃん、なんて簡単に言われたら悲しいですね。

当時のストーブなら、どこの家でもそうなるリスクはあったのです。

佐々木剛さんは、全身に大やけど(70%)を負い、九死に一生で生還は出来たものの、火傷の痕で俳優生活は諦めざるを得ず、入院と度重なる手術で借金の額1000万円。

佐々木剛さんは、焼き芋売りで生計を立てるようになったものの、役者を諦めざるを得なくなり自暴自棄で酒に溺れ、家庭も崩壊。

ドラマ時代の寵児だった仮面ライダー2号は、車の中で寝泊りするホームレスに転落してしまいました。

しかし、その後、石橋正次さんらが、俳優としてカムバックすることを勧め、舞台のチャンスを作ってくれました。

それで少し自信を取り戻した佐々木剛さんは、日光江戸村の住み込み役者に。

生計を建て直し、借金を返済する頃には、別れ別れになっていた息子との再会も経験できました。

この頃、私は佐々木剛さんを久しぶりにテレビで見ました。

日光江戸村に、別れ別れになった息子さんが訪ねて来た番組でした。

佐々木剛さんは、息子さんを見た瞬間、泣いていました。

徐々に経済的にも精神的にも元気を取り戻した佐々木剛さんは、借金も返済した2011年、劇場版『仮面ライダー』でライダー2号の声を演じ、やっと表舞台に再登場。

元仮面ライダーとして表舞台に復帰しました。

火災の罹災者を勇気づけるカムバック

佐々木剛さんは、現在「バッタもん」という居酒屋を開業しています。

ファンと語らう場を作っておきたかったためといいます。

しかし、従業員はおらず、佐々木剛さん自身が料理も作ります。

人経費が出るほど利益がないからだそうです。

それでも、やっと俳優として当時を語れる立場にまで戻れた、というのは嬉しいでしょう。

事故から、ちょうど30年かかってのカムバックでした。

1982年……火災
1992年……舞台カムバック
2011年……映画カムバック
2012年……居酒屋「バッタもん」を開業してファンの前に登場

火災というのは、これだけ恐ろしいものなのです。

ですから、佐々木剛さんの復帰は、素晴らしいことなのです。

火災の罹災者を勇気づけるものでもあると思います。

私も2011年、火災を経験しました。

火災事故わずか数行の記事で「放火の犯人」を決めつけるネット民の悪癖は当事者に大変迷惑な影響を及ぼすことを考えて欲しい
火災事件が増える季節です。14日夜に発生した長野県佐久市臼田の歯科医宅火災は、4名のお子さんが焼死した痛ましい結果となりましたが、Web掲示板ではいつものようにわずか数行の記事で「放火の犯人」を詮索する興奮ぶり。倫理観と民度を心配しています。

妻子が意識不明の重体。

妻は心肺停止。

火災(2011年)で心肺停止から生還した妻が最後の脳検査(MRI)クリア。奇跡的に一命をとりとめましたが無事生還できました
火災(2011年)で心肺停止から生還した妻が最後の脳検査(MRI)クリア。奇跡的に一命をとりとめましたが無事生還できました。2年間も検査を続けるのは稀有なことだそうですが、それだけ妻の当時の状態が重篤で、かつ社会復帰した例は少ないそうです。

子どもたちは脳死一歩手前の深昏睡。

商店街にある店舗兼用住宅でしたので、家財道具だけでなく、仕事の資料も含めて仕事場も全焼しました。

私はたまたま、実家に行って帰りはスーパーに買い物に寄ったために、その場にいなかったのですが、家族と家屋がそういう状態ですから、では明日から仕事に戻ります、ということができるわけがありません。

にもかかわらず、半月程度で、「落ち着きましたか?」などと様子を聞くお馬鹿さんがいたのには呆れました。

生涯、落ち着けないかもしれない状態だろう

にゃろぅ

ざけんな!

佐々木剛さんは、復帰まで30年かかったわけですが、うーん、私が同じ時間かかるのだったら、目の黒いうちは復帰できないかも(涙)

いずれにしても、私は他人様よりも、佐々木剛さんのカムバックの価値を理解できるので、今回レビュー記事を書かせていただいた次第です。

以上、『一文字隼人―仮面ライダー2号伝説』(佐々木剛著、白夜書房)は、仮面ライダー2号を演じた思いなど1998年時点での自伝的書籍、でした。

一文字隼人―仮面ライダー2号伝説 - 佐々木 剛
一文字隼人―仮面ライダー2号伝説 – 佐々木 剛

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