巣鴨子供置き去り事件を漫画化した『ママとぼくだけの家』(天ヶ江ルチカ、ぶんか社)は、長男を母親思いの少年として描きました

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巣鴨子供置き去り事件を漫画化した『ママとぼくだけの家』(天ヶ江ルチカ、ぶんか社)は、長男を母親思いの少年として描きました

巣鴨子供置き去り事件を漫画化した『ママとぼくだけの家』(天ヶ江ルチカ、ぶんか社)は、長男を母親思いの少年として描きました。母親は、10歳にもならなかった長男に姉弟の面倒を見させて育児放棄。5人の子供のうち2人が亡くなりました。

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巣鴨子供置き去り事件とはなんだ

巣鴨子供置き去り事件とは、東京都豊島区巣鴨のマンションで1988年に発覚した、母親が子供4人を置き去りにした保護責任者遺棄事件です。

父親が蒸発し、かつ婚姻届も、長男の出生届けも出さなかったために、長男は非嫡出子の「無戸籍」者の上に就学できない状態に。

その上、母親は恋人のもとにへ入り浸るようになったため、次々無戸籍の姉弟が生まれ、家に残されることになりました。

しかし、母親は僅かなお金を渡すだけで育児放棄。

家のことを、小学校就学相当の年齢である長男にまるなげしました。

子供たちは、長男を含めると二男三女(年齢は事件発覚時)。

長男(14歳)
長女(7歳)
次男
次女(3歳)
三女

そのうち、次男は生後まもなく亡くなります。

三女については、長男の遊び友達らに暴力を受けて2歳で死亡。

遺体は、雑木林に埋められたといいます。


大家から、不良の溜まり場になっているとの通報を受け、巣鴨署員と福祉事務所の相談員が訪問して事件が発覚。

母親は、保護責任者遺棄致死の罪で逮捕・起訴され、懲役3年執行猶予4年の有罪判決を受けます。

一方、長男は三女の死にかかわっていたことから、傷害致死および死体遺棄で、東京家庭裁判所に送致。

状況を考慮され養護施設に送られたといいます。

長男はともかく、母親が「懲役3年」で実刑判決ではなかったことは、正直不可解でした。

育児放棄が原因で、子が2人も亡くなっているのに……。

事件は『誰も知らない』のモチーフに

2004年に公開された是枝裕和監督の日本映画『誰も知らない』は、この事件がモチーフになっているといわれています。


キネマ旬報やフランダース国際映画祭(英語版)で最優秀作品賞を獲得。

主演の柳楽優弥は、第57回カンヌ国際映画祭で史上最年少および日本人として初めての最優秀主演男優賞を受賞しました。

本作は、同年の日本映画でも高い評価を得た作品の1つといわれていますが、ストーリーは、長男が姉弟思いであることが描かれています。

もちろん、本作品はモチーフとしただけで、あくまで事件とは別個のオリジナル作品です。

なぜなら、事件では三女殺害にかかわったとされる長男が姉弟思いというのは、やはり重なりません。

一方、巣鴨子供置き去り事件を漫画化した、今回ご紹介する『ママとぼくだけの家』(天ヶ江ルチカ、ぶんか社)は、「この作品は実在の人物、事件を基に構成・脚色したフィクションです」との断り書きがありますが、タイトル通り、長男を母親思いとして描いています。

つまり、母親に言われたから妹の世話をした、というストーリーです。

私は、事件の経緯を考えると、本作のほうが「実在の人物、事件」に沿っているような気がします。

ネグレクトで家をかえりみなかった母親なのに、「ママとぼくだけ」という逆説めいたタイトルの付け方は、長男の気持ちがリアルに表現されていると思うからです。

もちろん、それをもって『誰も知らない』の価値を問うものではありません。

繰り返しますが、『誰も知らない』の場合、事件はあくまでも設定のヒントで、兄妹愛を描いたオリジナル作品だと思います。

育児放棄の毒親だからこそ長男は慕った!?

舞台は1980年(昭和55年)。

巣鴨のアパートに転居してきた「ママとぼく」。

しかし、夫が突然蒸発した上に、婚姻届も長男の出生届も出していなかったことがわかった母親は、引越し業者の若い男とさっそく仲良くなってしまい、長男を就学もさせずに遊び呆けます。

しかし、長男は言うことを聞いて、家で留守番をし、母親が自宅で出産した妹の面倒も見ます。

ママの言うことを聞いて、ママを守ると、長男はかたく心に決めているのです。

民生委員も訪問しますが、追い返してしまいます。

そのうち、母親は、またお腹が大きくなりますが……

実際の事件と違うのは、三女は出てきません。

母親がどうなったかも明らかではなく、あくまでも長男が主人公で、長男が母親を絶対とする生き方を貫くストーリーになっています。

いうまでもありませんが、育児放棄は「毒親」の真っ先に枚挙される要件です。

毒親に育てられた子は、毒親にも関わらず親思いで、親に対する執着も強いことがあると言われます。

毒親であればあるほど、子は自分への愛情を求めるために、親思いになるのかもしれません。

ですから、本作は「フィクション」とされていますが、リアリティーを感じました。

どこで読める?

『ママとぼくだけの家』(天ヶ江ルチカ、ぶんか社)は、『コインロッカー・ベイビー~昭和子ども虐待事件~』に収録されています。

他には、
『コインロッカー・ベイビー』
『舵子、荒波をゆく』
『わかれっぱ 東北身売り哀史』
などが併録されています。

本書は、AmazonKindle読み放題リストに含まれています。

つまり、Kindle会員なら0円で読めます。

また、めちゃコミックなどでは、現在(2022年2月11日現在)一話無料で読むことができます。


ご関心のある方は、ぜひご覧になってください。

以上、巣鴨子供置き去り事件を漫画化した『ママとぼくだけの家』(天ヶ江ルチカ、ぶんか社)は、長男を母親思いの少年として描きました、でした。

コインロッカー・ベイビー~昭和子ども虐待事件~ (ストーリーな女たち) - 天ヶ江ルチカ
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