歯は磨くだけでいいのか(蒲谷茂著、文春新書)は、がんや糖尿病には気をつけても、見落としがちな口の中の健康について解説

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歯は磨くだけでいいのか(蒲谷茂著、文春新書)は、がんや糖尿病には気をつけても、見落としがちな口の中の健康について解説

歯は磨くだけでいいのか(蒲谷茂著、文春新書)は、がんや糖尿病には気をつけても、見落としがちな口の中の健康について解説しています。虫歯や歯周病は、万病に間接的に関係あることい゛忽せに出来ないものの、完全な予防が可能な部位なのです。

『歯は磨くだけでいいのか』は、医療ジャーナリストの蒲谷茂さんが文藝春秋社(文春新書)から上梓しました。

本書では、歯が悪くなるのは老化現象ではなく、虫歯菌や歯周病菌によるものであることを指摘。

歯のコンディションと健康が表裏一体であることを説明しながら、その予防と治療法について紹介しています。

厚生労働省の調査によると、令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況では、外来患者数を傷病別にみると、高血圧性疾患が64.7万人で最も多く、外来患者数全体の9%を占めています。

次に多いのは歯肉炎及び歯周疾患の46.9万人、その次が脊柱障害の41.9万人となっています。

おそらく、たんなる虫歯を加えれば、さらに患者数は増えるでしょう。

がんや糖尿病には気をつけても、見落としがちなのが、口の中の健康です。

しかし、「風邪は万病のもと」といったのは昔のことで、今や「歯周病は万病の元」という言葉があります。

歯周病は、30歳以上の成人の約80%がかかっている病気で、様々な全身疾患と関係性があります。

歯周病の原因となるのは、「歯周病菌」とよばれる細菌群です。

これらの細菌は、血管から全身へと入りこんだり、口腔から気管を通って肺に炎症を起こすことがあります。

近年、さまざまな全身疾患との関連性が明らかになってきています。

ただ、万病にいたる前に、虫歯や歯周病は完全な予防が可能です。

本書によれば、これらを制することで、逆にがんや糖尿病を防ぐことができ、ボケ防止にもなるといいます。

さらに、無理せずダイエットができたり、転ばないようなバランス感覚を保ち続けることもできるとも。

何より、長寿の人々は、みな歯が丈夫です。

ということで、本書では歯の健康についてまとめられています。

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歯磨きだけでは限界がある

『歯は磨くだけでいいのか』では、まず虫歯と虫歯菌、歯周病と歯周病菌について説明しています。

虫歯菌は、歯についた糖を餌にして酸をばらまきます。虫歯菌自体が毒素ではないのですが、その酸が歯に穴を開けてしまいます。それが虫歯といいます。

歯がだめになると噛むことができなくなりますから、抗酸化力をもつ唾液が十分に出なくなったり、食べ物を咀嚼できないことで栄養をとれなくなったりして、健康を損ねる間接的な原因になるといいます。

一方、歯周病菌はもっと深刻です。それ自体が血中に入り毒素をまきちらして病気を作り出す直接の原因になります。

糖尿病、肺炎、血に菌が混じる菌血症、敗血症、動脈硬化、心筋梗塞など、歯周病菌患者の割合が有意に高くなっていることを、疫学調査を根拠に説明しているので説得力があります。

そうした菌を排除するための歯磨きは大切です。ただ、歯は平板ではないため、どんなにきれいに磨いたつもりでも磨き残しが出てしまいます。ほんの少しでもそれがあると歯垢になり、虫歯菌や歯周病菌が住みつく膜状のバイオフィルムを作ります。その段階になると、いくら歯ブラシを使ってもとれなくなるそうです。

歯を磨いても虫歯や歯周病の人が絶えないのは、歯磨きだけでは限界があるというのです。

では、虫歯菌や歯周病菌を持ってしまった人はどうすればいいのか。そのバイオフィルムを落とすことが肝要といいます。

「実は、このバイオフィルムを完全に取り去る方法がPMTCという機械的歯面清掃法です」
 PMTCはスウェーデンで開発され、いまでは日本でも一般的な技術になっている。
「私は、このPMTCによるクリーニングをするために3カ月に1回歯科医院に適っています」
 1回の料金は2000円~3000円。医師の判断で保険の適用もあり、その場合はもっと安くなる。
 また、すでに歯周病がかなり進んだ人には、3DSという方法もある。
 これはその人の歯に合わせたトレーを作り、中に滅菌剤を入れて歯にはめ、虫歯菌や歯周病菌を根絶やしにする方法だ。保険適用できないため、総額で約3万円かかるが、完全除菌できる強力で確実な方法として覚えておいて損はない。(『週刊大衆』3月25日号の著者インタビューより)
『歯は磨くだけでいいのか』では、蒲谷茂氏が各地のPMTC、3DSを実施している歯科を取材しています。

ネットで検索しても出てくるので、歯科選びの参考にされるといいと思います。同書では、歯科の選び方も箇条書きでまとめています。

  • 患者の話を聞く姿勢があるか
  • 歯科衛生士が歯科衛生士の仕事をしているか
  • 治療の計画を知らせるか
  • 定期検診をしてくれるか
  • 検査をしてくれるか
  • 治療は個室で
  • 記録がきちんと保管されていること

虫歯をいきなり削り始める歯科は論外だそうです。

同書が勧めるPMTCは歯科衛生士の仕事です。「歯科衛生士が歯科衛生士の仕事をしているか」というのはそのことを含んでいます。

余談ですが、メディアの「病院選び」というと、すぐに「名医」が取りざたされるのですが、病院選びの基準はそこだけではないということですね。

「看護師の自治(裁量)」が確立されているか

今回の歯科でいえば歯科衛生士、内科や外科の一般の病院であれば「看護師の自治(裁量)」が確立されているか、という点も見ておくべきです。

さて、私の歯は、親知らずを含めた32本すべての歯がまだ残っています。しかし、32本中28本が既治療、もしくは未治療の虫歯にかかった歯です。要するに私の口の中は、虫歯菌におかされてしまっているのです。いくら自分の歯といっても、かなり赤信号に近い黄色信号状態です。

私ほどではなくても、虫歯のある方、歯周病の方は、この『歯は磨くだけでいいのか』を読まれて、口の中のコンディション改善について参考にされることをお勧めします。平易な書き方とともに、医療ジャーナリストの患者視点が、医療分野の話でありながら飽きさせない内容になっています。

以上、歯は磨くだけでいいのか(蒲谷茂著、文春新書)は、がんや糖尿病には気をつけても、見落としがちな口の中の健康について解説、でした。

歯は磨くだけでいいのか (文春新書) - 蒲谷 茂
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