『腐敗水点滴わが子三人殺し事件』は、2008年に発覚した母親が入院中の娘の点滴に腐敗した水を混ぜ殺害を企てた事件をマンガ化

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『腐敗水点滴わが子三人殺し事件』は、2008年に発覚した母親が入院中の娘の点滴に腐敗した水を混ぜ殺害を企てた事件をマンガ化

『腐敗水点滴わが子三人殺し事件』は、2008年に発覚した母親が入院中の娘の点滴に腐敗した水を混ぜ殺害しようとしたとした事件をマンガ化したものです。5人の女児を産み、そのうち3人を死に至らしめ、1人を殺しかけた事件の背景に何があったかを確認できます。

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腐敗水点滴わが子三人殺し事件とはなんだ

『腐敗水点滴わが子三人殺し事件』(桐野さおり作、ユサブル)を読みました。

2008年に発覚した、母親が入院中の娘の点滴に腐敗した水を混ぜ、殺害しようとしたとした事件をマンガ化したものです。

5人の女児を産み、そのうち3人を死に至らしめ、1人を殺しかけました。

その信じられない闇の胸中が漫画で表現されています。

あらすじ

どこにでもある家庭でしたが、とにかく両親、とくに母親に可愛がられていた加害者の女性。

おこられたことはなく、いつも「〇〇ちゃんはすごい」と、両親に褒められて育ちます。

姉もいるのですが、姉と同じことをしても、妹の女性だけが褒められる“えこひいき”も公然と行われました。

末っ子は可愛いといいますが、ありがちな「あやまち」ですね。

溺愛が後の大事件の伏線になります。

父親の勤務していた会社が倒産。

父親は独立開業して転居します。

慣れない土地だったからか、両親は交通事故にあい、母親は死亡、父親は腰と両足骨折の大怪我を負います。

女性は落胆し、こう考えます。

「いくら頑張ったって、褒めてくれるお母さんはもういない」

女性の父親が再婚したため、女性は姉と一緒に家を出ます。

そして、進学校に在籍しながら、大学を諦め結婚。

長女、次女と恵まれましたが、あるとき次女が肺炎で入院します。

これが、事件のトリガーとなります。

女性は泊まり込みで看病していましたが、長女を義両親に預けていたこともあり、早く退院させたいと懸命に看病します。

ここまでは問題ありません。

ところが、彼女は、他の入院患者の母親たちや看護師から、一所懸命世話をしていることを褒められます。

尊敬の眼差しや称賛の声は、何でも褒めてくれた母親が亡くなって以来のこと。

喪失していた充足感でした。

一方、義両親は二世代住宅を建てて、女性一家と同居。

1人だけ他人の女性は、家庭で疎外感を覚えるようになります。

そんなとき、また次女が肺炎で入院します。

そして、また周囲からは献身的な看病の称賛。

義両親や夫も、自分を気遣ってくれます。

子どもに「もっと入院してもらいたい」気持ちになった女性は、ICUで不眠不休の看病を続けながら、看護師の目を盗んで点滴に異物を混入するようになります。

4ヶ月後、次女はそれが原因で亡くなりなってしまいます。

では、母親の彼女は、取り返しのつかないことをしたと後悔するか。

しませんでした。

周囲からの温かく自愛に満ちた視線は、女性を落胆させるどころか、ますます気持ちよくさせていくのです。

三女が生まれると、「子どもがミルクを飲まない」として点滴を求め、またしても腐敗水を点滴に混入させて死亡させます。

同情の目を向けられた女性はいっそう心地よくなっていき、四女にはわずか生後7ヶ月で同じことを繰り返します。

しかし、同じことが続けは周囲は疑問を感じます。

生まれて間もない五女にも同じことをしようとしていた女性について、病院はその一部始終を防犯カメラで撮影していました。

「殺すつもりなんてまったくありませんでした。ただ…看病する姿を周囲の人に見てもらいたかった。誰かに“よくやってるね”“頑張ってるね”って言ってもらいたかっただけなんです」というのは女性の言い分です。

精神鑑定により、女性は代理ミュンヒハウゼン症候群の可能性があるとされました。

「子どもに病気を作り、かいがいしく面倒をみることにより自らの心の安定をはかる、子どもの虐待における特殊型」だそうです。

日本小児科学会から、わかりやすい文書が公開されています。

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/abuse_8.pdf

ご関心のある方はご覧ください。

称賛だけで育てた溺愛の子どもの成れの果て

なぜ、このような事態に至ったのか。

本書も、否定的に紹介していますが、一部には、「心から愛した母を突然失ったことによって生じた、思春期の深い傷と寂しさがこの犯行の根底にある」とする専門家の分析もあります。

まあ現象的にはそうかもしれませんが、問題はどうしてそうなったかです。

さらにその原因を探れば、「心から愛した母」こそが実は毒親であり、娘の異様な行動原理を構成する下地を作ったと私は見ています。

女性の考え方には、

  1. 称賛欲求
  2. 褒めて育てることへの疑問

という2つの問題点を私は強く感じました。

称賛欲求の落とし穴

私は、10年前に火災を経験し、妻子が火災で九死に一生を得たときも、4年前に母親が食思不振で生命が風前の灯になったときも、あとになってから、公益性のあるキーワードやテーマで「こうだった、ああだった」と振り返ることはしても、リアルタイムの闘病記や看病記は書きませんでした。

理由は、リアルタイムの看病記が、称賛欲求に陥ってしまうことを用心したためです。

人間は弱いものですから、リアル看病記というのは、往々にして、不特定第三者に、同情してもらえそうな自分に都合の良い「窮状」だけを選りすぐって発信し、「温かい励ましのコメント」を求めがちです。

しかし、状況説明が十分ではない、もしくは虚偽の情報を前提とした、つまり虚構に対する「あたたかい励ましコメント」は現実的には意味をなさず、コメントしていただく読者に対しても大変不誠実です。

何より、それによって、「耳障りの良いコメントしか受け付けなくなっていく」つまり、ブロガーとしてのリテラシー後退につながってしまうことを私は危惧しました。

「褒めて育てろ」は本当に正しいのか

「子どもは褒めて育てろ」という子育て関連書にも、私はかねてから疑問を抱いていました。

もちろん、尊厳を傷つけるような貶めは不要であり論外です。

が、褒められることでしか認識や判断ができない子どもに育ててしまったら、常に称賛欲求を求め、批判的意見に対峙できない人間になってしまうでしょう。

人間の度量の大きさは、価値観の幅の理解で決まると思っておりますので、間違いの指摘はもちろん、否定的意見も受け入れられる人間になることが大切です。

それには、子どもに対しても、事実と道理でありのままに、「だめなものはダメ」「間違いは間違い」という是々非々で正当な評価をしてやることが必要だと私は思います。

まとめ

私は医学のことはわかりませんが、溺愛という点で、立派な毒親だったのではないかと思います。

いずれにしても、溺愛の子どもなんて、ろくなものになりません。

本書は、紀伊國屋電子書籍Kinoppy、AmazonKindle、マンガ図書館Zなどで読むことができます。

以上、『腐敗水点滴わが子三人殺し事件』は、2008年に発覚した母親が入院中の娘の点滴に腐敗した水を混ぜ殺害を企てた事件をマンガ化、でした。

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