静岡タリウム母親毒殺未遂事件(2005年)を漫画化したのは『ザ・女の事件 毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~/ザ・女の事件Vol.2』

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静岡タリウム母親毒殺未遂事件(2005年)を漫画化したのは『ザ・女の事件 毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~/ザ・女の事件Vol.2』

静岡タリウム母親毒殺未遂事件(2005年)を漫画化したのは『ザ・女の事件 毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~/ザ・女の事件Vol.2』 (スキャンダラス・レディース・シリーズ)です。『ザ・女の事件【合冊版】Vol.2-3』にも収録されています。

静岡タリウム母親毒殺未遂事件(2005年)は、タリウム母親毒殺未遂事件、静岡女子高生母親毒殺未遂事件、女子高生母親毒殺未遂事件、静岡の女子高生によるタリウム殺人未遂事件などとも呼ばれています。

2005年10月31日、静岡県伊豆の国市県立高校1年生の女子生徒(16)が、母親に毒物(タリウムなど)を与え殺害しようとした疑いで逮捕された事件です。

女子生徒は、ブログで犯行の経緯を日記風に記録していました。

その実在の事件を漫画化したのは、『ザ・女の事件 毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~/ザ・女の事件Vol.2』(ユサブル)。

水城瞳さんの作画で、スキャンダラス・レディース・シリーズというシリーズ名がついています。

本記事は、Kindle版をご紹介します。

ザ・女の事件【合冊版】Vol.2-3 (スキャンダラス・レディース・シリーズ) Kindle版でも収録されています。

【収録作品】
『ご近所ママ友の娘を殺した女』なせもえみ
『母親のエゴの果てに虐待凍死させられた9歳少女』小牧成
『シングルマザー愛児4人軟禁放置一酸化炭素中毒死事件』水木瞳
『ママ友格差無惨~お受験幼女殺害事件~』なせもえみ
『毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~』水木瞳

例によって、本作単冊では220円ですが、合冊版では2022年10月21日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

AmazonUnlimited加入者なら、他の作品も読めて、追加料金もない合冊版で読まれることをおすすめします。

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犯行に使われたタリウムは毒劇物法で指定されたキケンな劇物

静岡タリウム母親毒殺未遂事件は、事件名通り、娘(長女)が母親にタリウムを入院させるまで少しずつ飲ませ続けたものの、それが見つかって逮捕されたものです。

母親は、筋力低下や呼吸障害で意識不明の重体となりました。

長女の自宅の部屋からは、プラスチック容器に入った粉末のタリウムが発見されました。

調べによると、長女は逮捕される2ヶ月前の8月中旬~10月20日ごろにかけて、ネズミの駆除などに使われる劇物のタリウムを自宅などで母親に摂取させ、筋力低下や呼吸障害に陥らせています。

母親は接種すると次第に体調を崩し、10月2日には救急車で搬送され入院。

同20日には家族が三島署に相談。

「相談」ということはつまり、家族も長女の仕業とわかっていたのでしょう。

翌21日、長女も薬物を飲んで体調を崩して入院しています。

狂言自殺か、新しい毒物を自分で試したのか、母親に接種させるために自分も入院したのかは不明です。

退院後に逮捕されました。

タリウムは、消化管、中枢神経系及び末梢神経系に影響を与え、脱毛を生じるそうです。

大量に摂取すると、心血管系、腎臓及び肝臓に影響を与え、死に至ることもあるといいます。

経口摂取すると腹痛や吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、脱力感、痙攣、筋肉痛、麻痺、せん妄、意識喪失などを生じるとされています。

淋病、梅毒、結核の治療に使われてきたものの、薬用量と中毒量の差が小さいことから、次第に治療薬としては使われなくなったそうです。

致死量は約1グラム。

要するに、素人がむやみに手を出してはならない、毒劇物法で指定されたキケンな劇物です。

18歳未満には販売が禁止されていますが、高校生でも簡単に手に入ってしまったのはどうしてか。

「薬局のおじさんは「医薬用外劇物」の表示に気付かず、必要な書類を通す事無く」手配してしまったとブログには書かれています。

本当だとすれば、薬局の責任も免れません。

「毒のブログ」には疎外感を書き連ねていた!?

静岡タリウム母親毒殺未遂事件を起こした高校1年生の女子生徒(当時)は、小学校のときには、飼育係として小動物をかわいがっていたそうです。

卒業文集には、「大切にすればするほどなつくので、毎日のように世話をした」と、ウサギの飼育当番だった思い出を綴っています。

ところが、中学の卒業文集では、「好きな芸能人」の欄に「有名人(あまり有名ではないかもしれないが)ならグレアム・ヤング」と、英国の毒殺犯の名を挙げています。

すでに中学の時点で、毒を使ってみたいという欲望が起こっていたのでしょうか。

彼女は成績優秀であり、中学でも学年で10位以内に入っていました。

高校は、地域でも有数の県立進学校の理数科に進学。

化学部に所属します。

化学、毒物に関する知識は非常に豊富だったそうです。

ネット上で薬物の情報を収集し、ブログで犯行の経緯を日記風に記録していました。

今更伏せても公然としているので明かせば、楽天ブログです。

男性名のハンドルネームを名乗っていました。

楽天ブログは、アメーバブログやSSブログのようにユーザーが足跡をつけ合うため、利用者同士のつながりがあるのですが、当時楽天ブログを利用していた私は、あいにく化学はさっぱりですし、そもそも興味が無いので、おそらくは接点はなかったと思います。

毒を人に使ってみたいということは、相手が誰であろうがそれ自体「悪いこと」であるにもかかわらず、ブログに書き止め公開するという了見はよくわかりません。

学校生活では、とくに目立つ生徒ではない、つまりいじめっ子でもいじめられっ子でもなく、文化部の部長もつとめていたといいますが、ブログにはいじめられていたことを示唆する記述もあり、少なくとも本人の中では疎外感はあったようです。

たとえば、長女のブログには、「彼らは何時も僕をからかっていました」「僕の英語の参考書は無くなったままだし、教室では孤独です」などと書いています。

まあ、いじめというのは、いじめた方は深く考えずに行い、そのうち忘れてしまうものですが、いじめられた方は深く傷つき、いつまでも覚えているものです。

部長も、なり手がいなくて押し付けられたかもしれませんしね。

毒の日記ブログを公開するのも、そうした寂しさや虚しさを埋める承認欲求だったのかもしれません。

では、母親をターゲットとしたのは、母子の確執があったのかというと、それもとくに言われてはいません。

ただ、「父は小遣いをくれるから好きだけど、母にはあまり親しみを感じていなかった」という供述はあります。

むずかしい年頃なので、親に対する反発もあったのかもしれません。

それとも、昨今よくある「誰でも良かった」のたぐいか。

少女の部屋からは、切り刻まれた動物の死骸や解体標本、グレアム・ヤングの著作『毒物日記』、ナチスの写真などが見つかっています。

翌年5月1日の審判で家裁支部は、医療少年院に送る保護処分を決定。

裁判長は、「幼児期からの発達上の問題があり、後天的に形成された人格のゆがみも認められる」として「相当長期間の矯正教育が必要」との処遇勧告を付けました。

長女が、なぜ母親を狙ったかについては不明。

犯行の動機は、「タリウムを試したいとの思いから母親に飲ませたところ、予想以上に重い症状が出たため狼狽や後悔したものの、犯行の発覚を強く恐れる気持ちから、殺意をもって投与した」と指摘。

刑事責任能力はあるが、刑事裁判までは必要ないと判断しています。

どうコメントしていいか悩んでしまうような「闇」の日記とともに…

本作の女子高校生の名前は野原涼子。

母親が幻覚を見始め、主人公が「実験はすこぶる順調だ」とつぶやくシーンから始まります。

そして、酢酸タリウムが、少量を定期的に投与するだけで死を招くことができる劇薬であることを説明しています。

開設したブログのハンドルネームは川本祥平。

「なかなかいい名前」と自画自賛し、リアルでも自分を「僕」と名乗ります。

6月27日
日記を書き始めようと思います。学校の人はこの事を知らないので、嫌な事とかも全て書くつもりです。

これは漫画の創作や脚色ではなく、実際に楽天ブログで公開された記事内容です。

学校の人が知らないから「嫌な事」を書くというのは、あんに「いじめ」「不愉快なこと」などを受けているとの思いが日常的にあることを示唆しています。

家族は、祖父母、両親、兄2人の7人家族、ただし長男だけは県外の大学に通うため下宿生活、という設定もリアルと同じです。

本作では、長女である女子高校生は、母親を「俗物」と軽蔑しています。

ボーイフレンドはできたのかとか、高校生活が一番いいときだといった話を聞かされ、

「男とか青春とか、そんなことしか言わない。私はそんなものに何の興味もない。というより、自分が『女』という生き物だということが嫌だ」と言います。

漫画では、姑による嫁いびりも少しだけ描かれています。

7月3日
今日は本の紹介します。 グレアム・ヤング毒殺日記 尊敬する人の伝記、彼は14歳で人を殺した。酒石酸アンチモンカリウムで、毒殺した。

7月7日
晴れのち雨そして快晴、この間買った酔い止め薬の通常使用量の8倍の量を飲み干しました。なんか浮かんでいる気がします。ふわふわして地に足が着いてない感じがします。

7月11日
頭が痛いです。エフェ錠の副作用でしょうか?周りで女子の甲高い声が響いているのが聞こえます、其の音が耳に入る度に、後頭部に鈍い痛みが走ります。

7月14日
道を歩いていた野良犬を蹴ったら、キャンキャン喚きながら、地べたを這いずり回った。あはは、まるで本当の犬みたい。

7月16日
今日は図書館に行って本を借りてきました。「死体を語ろう」や「日本列島毒殺事件簿」、「薬物乱用の科学」、「有機科学入門」等を借りました。

7月18日
お昼頃、買い物をしに歩いていたら道端に血まみれの猫の死体が落ちていました。頭が潰れていて、中から脳髄がはみ出していました。

7月19日
ネット上の性別は、戸籍上のものとは違うものが使われることが多いのでしょうか?だとしたら、僕の罪も少しは許されると思います。

7月23日
そんな事は在りえないけれども、もし、一度だけ生まれ変われるとしたら、僕は植物になりたい。大きな喜びは無いけれど、代わりに深い悲しみも無い。

どうコメントしていいか悩んでしまうような「闇」の日記が続きます。

学校生活も描かれていますが、同級生からは、毒好きの「ブッキー(不器用)な女」という陰口を叩かれています。

でも、彼女は何も言えません。

現実でも川本祥平になりたい。

何も言えない現実の私にはもううんざり、と嘆いています。

部屋の中には、動物の腹を割いた標本が並んでいます。

次兄は母に、「臭うから注意してれ」と苦情が入っています。

そんなとき、ブログにはこんな事が書かれました。

8月24日
酢酸タリウムが届きました。薬局のおじさんは「医薬用外劇物」の表示に気付かず、必要な書類を通す事無く僕に其れを渡してきました。

そして、翌日の25日には、「昨日から母の具合が悪い」と書かれています。

さっそくヤッたのです。

「具合が悪くて当たり前。日々母が口にするものに毒を混ぜて僕がそうさせているのだから」

9月12日には、「2,3日前から脚の不調を訴えていたけど、遂に殆ど動けなくなってしまいました。二階にある僕の部屋まで来る事も出来なくなりました。」と更新。

9月26日には、「明日、母は入院します」と書いています。「残念な事に母は余り良い保険に加入していないため、生活は少しばかり苦しくなるでしょう」というのは、社会保険のない時給か日給の仕事をしていたのでしょうか。

10月某日には、帰省した長男に「目つきが怖い。寒気がする」と言われたことを書いています。

漫画によると、入院でタリウムを盛られなかった母はいったんは体調を戻し退院。

ストレスによる多発性神経症と診断されています。

しかし、長女はまたタリウムを盛り、母はすぐに再入院。

長女は、病院まで行ってタリウムを飲ませようとしたところ、遂に母にバレてしまいます。

そして……。

母は一命を取り地めたわけですが、長女がシャバに戻ってきたとき、どう迎え入れるのでしょうか。

以上、静岡タリウム母親毒殺未遂事件(2005年)を漫画化したのは『ザ・女の事件 毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~/ザ・女の事件Vol.2』 、でした。

ザ・女の事件 毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~/ザ・女の事件Vol.2 (スキャンダラス・レディース・シリーズ) - 水城 瞳
ザ・女の事件 毒殺女子高生~母親に毒を盛り続けた私~/ザ・女の事件Vol.2 (スキャンダラス・レディース・シリーズ) – 水城 瞳

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