石神賢介著『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書)は、著者が57歳で「やっぱり結婚したい」と一念発起した中高年男性の体験記

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石神賢介著『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書)は、著者が57歳で「やっぱり結婚したい」と一念発起した中高年男性の体験記

石神賢介著『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書)は、著者が57歳で「やっぱり結婚したい」と一念発起した中高年男性の体験記です。婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティーなど様々な手段を使って怒涛の婚活ライフに挑む実録ルポです。

著者は、バツイチ・57歳のフリーライター。

現代の婚活市場に飛び込む中高年男性のリアルな体験が、赤裸々かつコミカルに綴られています。

物語の中では、「クソ老人!」と罵られる、セクシー写真を送りつけられる、驚くほど高額な食事を奢らせられる―など、いい年して「星の王子さま」狙いの元少女、「婚活ビジネス」の女性たちとのエピソードが次々に展開されます。

また、婚活の様々なツールの特徴や実際の苦労、本気の恋から失恋までの心理描写、そしてコロナ禍という社会背景も交錯しながら描かれています。

巻末には、著者自身の苦労と経験にもとづく「超実用的 婚活次の一歩 攻略マニュアル」が付録され、婚活中の読者にとって実践的なアドバイスがまとめられています。

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割り勘問題


私が興味深ったのは、デートの際に、男性は女性におごるべきか、ワリカンでいいか、というくだりです。

本書によると、若い世代ではワリカンも抵抗感が無い人が多く、ある程度以上の年齢になると「男が支払うのが当然」と考える女性が多いようです。

中には、初デートで高級レストランを指定してくる人もいたそうです。

そういうときの、女性の言い分は決まっていて、「男性の本気度を知るために、あえて高い店を指定した」とか言うんですね。

いや、かりにコストで「本気度」がわかったとして、相性とはまた別ですよね。

いくら相手が本気でも、自分には合わないかもしれません。

別の言い方をすれば、最初は本気ではなかったのに、だんだん惹きつけられる、ということだってあるわけですから、何もそんなことで「本気度」を調べなくたっていいだろうと思います。

約束の時間にわざと遅れて相手の反応見る、なんて人もいるようで、そういう本気度調査をするような人は、こちらからお断りしたくなりますよね。

本書では、ワリカンを1円単位で求めてきた男性に、不満を口にする女性も登場します。

「お金に細かいヒトはなんか嫌」という気持ちは、わからなくもないですけど、逆にお金にこだわらない人だと、一緒に生活をしてから困ることもあるんですよね。

結婚相談所で、何度紹介されてもうまくいかない人って、簡単に言うと、自分の価値観を相対化したり、相手の立場に立って考えたりするのが苦手な、人としてワガママでおさないタイプが多いように感じますね。

いちおう著者の意見もご紹介すると、「男性は最初からワリカンを求めないほうが良い」というのことのようです。

いくつになっても後悔のないように実践


婚活した著者の結論は、こうなりました。

婚活に費やすエネルギーと時間をもっと自分自身の質の向上に使ったほうが、結婚しようがしまいが幸せにつながると思った。その結果、誰かと手を携えて生きるチャンスがあればなによりだ。」

「誰かと生きたい」という気持ちには多分に依存心が含まれている。依存心が強いと相手に期待する。相手への期待が大きいと、アテがはずれたときの失望も大きい。そして、たいがいアテははずれる。男女とも自分が生きるのに精一杯だ。おたがい相手の期待に100%応えることなどできない。
 それを思うと、自我が育ち切ってしまった中高年の場合、一人で生きていく自信があってこそ、自分以外の人間に費やす時間と余力があってこそ、誰かと一緒に生きることができるのではないだろうか。」

いや、こんなの、婚活しなくても、なんとなくわかるだろう、と思いますか。

でもねえ、私は、やはり決めつけずに実践して得た答えに意義があると思うので、この結論はそれはそれでひとつのご見識だと思います。

歳を取ってからでも、「自分の人生はこのままでいいのか」と、これまでチャレンジしてこなかったことにチャレンジすることは、私はあってよいと思っています。

なんだかんだ言って、この方はたまたま縁がなかっただけです。

こればかりは、縁と価値観の問題ですから、誰もが同じ結論とは限りません。

浅野ゆう子さんだって、57歳で結婚しましたよね。

平均年齢まで添い遂げれば、銀婚式を超えて真珠婚式までイケます。

元小結の龍虎さんだって、浜木綿子さんとの長い交際を、息子の香川照之に邪魔されて、50歳でほっぽりだされても、その後52歳で結婚して、成人まで育った子どもに見送られました。

結婚以外にもね、趣味のこととか生涯学習とか、たとえば70歳で司法試験受けるとかね。あってもいいのではないでしょうか。

終活を否定はしませんが、人間いつかは4ぬ、でもいつ4ぬかはわからないからこそ、そんなことばっかり考えても仕方ないんで、生きている間は、終生現役のつもりでいいのではないでしょうか。

何者かになりたい、何者かでありたいくせに、歳を言い訳にして努力せず、結果何者にもなれずに、自分にイライラしたり他人に嫉妬したりしている人を見ていると、つまらねえ人だなあと思います。

心に引っかかることがあったら、いくつになっても諦めずにチャレンジしてみましょう。

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