『「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~』(藤田素子、ぶんか社)は、当時24歳の女性が3歳の娘を橋から川に落として溺死させた事件を漫画化

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『「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~』(藤田素子、ぶんか社)は、当時24歳の女性が3歳の娘を橋から川に落として溺死させた事件を漫画化

『「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~』(藤田素子、ぶんか社)は、当時24歳の女性が、3歳の娘を橋から川に落として溺死させた事件を漫画化しています。本作の単話版とともに、『ストーリーな女たち ブラック Vol.1 虐げられる女』に収録もされています。

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予防注射もきちんと行っている母親だったのに……

『「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~(単話版)』(藤田素子、ぶんか社)は、当時24歳の女性が、3歳の娘を橋から川に落として溺死させた事件を漫画化しています。

タイトルは、「ママ、バイバイ」と言う娘の発語を聞きながら、橋から川に落としたと供述したことからつけられています。

女性は懲役9年の実刑判決でした。

当時の事件報道から引用します。

3歳長女を橋から落とし殺害…容疑の女逮捕 新潟・燕 – 産経ニュース

新潟県警燕署は20日、3歳の長女を橋から川に落とし殺害したとして、殺人の疑いで、同県燕市の女(24)を逮捕した。捜索中の警察官が川に浮いている長女を発見、既に死亡していた。逮捕容疑は19日夜、市内にある川の橋の欄干から、長女を川に落として殺害した疑い。署によると、女が20日に訪れた病院で「娘がいなくなった」と話したため、病院側が交番に通報して発覚した。(2014年11月21日)

実母が3歳の娘を川に落として殺してしまう。

当然、ネットでは非難の嵐です。

【新潟】3歳長女を橋から落とし殺害…容疑の女逮捕 | ガールズちゃんねる - Girls Channel -
3歳長女を橋から落とし殺害…容疑の女逮捕 新潟・燕 - 産経ニュース新潟県警燕署は20日、3歳の長女を橋から川に落とし殺害したとして、殺人の疑いで、同県燕市の女(24)を逮捕した。捜索中の警察官が川に浮いている長女を発見、既に死亡していた。逮捕容疑は...

ガールズちゃんねるのコメントから引用します。

2. 匿名 2014/11/21(金) 19:33:30
同じ目に遭わせてやりたい。
親に川に投げ捨てられるなんて、どんなに悲しかったか

4. 匿名 2014/11/21(金) 19:34:05
子供の感情を想うだけで胸が痛くなる。
判断能力の有無がどうとか言って母親の罪を軽減しないでほしい

8. 匿名 2014/11/21(金) 19:34:30
また育児ノイローゼかな?

10. 匿名 2014/11/21(金) 19:34:50
またかよ。
胸糞悪い!!

11. 匿名 2014/11/21(金) 19:34:56
こうなる前に誰か異変に気づいてサポートしてあげられなかったのかな。

15. 匿名 2014/11/21(金) 19:35:16
ゴミを捨てるかのように「人間」を捨てたこの女、悪魔。
3年間という短い生涯を「実母」の手によって終わらせられたなんてかわいそうすぎる。
地獄へ落ちろ。

19. 匿名 2014/11/21(金) 19:35:31
人間の出来る事じゃない…。
悪魔としか、考えられない!!

犯行に対する非難はもっともです。

ただ、この手の事件にありがちな、若いママが無責任に育児放棄した挙げ句に手に余って……という事件かというと、そうとはいいきれません。

当時のニュースでは、親子を知る医師が、「お母さんは、お子さんの予防注射もきちんと行っていました」とコメントしています。

では、なぜこの女性は、そんな結末をたどるに至ったのか。

その経過を、漫画では丹念に描いています。

周囲は適切なサポートを行っていなかった

漫画は、若い母親・加藤きよみ(24)が、3歳女児の検診で来院することになっていた病院に、「子供がいなくなった!」と駆け込んできたところから始まります。

かつての、秋田児童連続殺害事件を思い起こさせます。

『慟哭!!秋田連続2児童殺害~鈴香事件~』(画:桐野さおり/原作:有田万里、ユサブル)は2006年に起こった2児童殺害事件の漫画化
『慟哭!!秋田連続2児童殺害~鈴香事件~』(画:桐野さおり/原作:有田万里、ユサブル)は2006年に起こった2児童殺害事件の漫画化です。女子児童と男子児童が立て続けに遺体で発見され、それが女子児童の母親の犯行だった事件です。マスコミで話題になりました。

登場人物こそ仮名ですが、事件に忠実に、克明に描かれています。

きよみは、DV夫と離婚。

きよみの両親も離婚していました。

毒親育ちで、家庭に恵まれないがゆえの不幸な生き様は、事件を起こす人の「セオリー」なのでしょうか。

きよみは、夫のことを相談に乗ってくれていた男性と同棲しながら子育てします。

しかし、娘の愛ちゃんは発達遅滞でした。

さらにアトピーや喘息。さらに睡眠障害でもあります。

手がかかり目が離せないため、2人は愛し合うこともできないばかりか、男性は睡眠すらとれないため、昼間に寝られるよう夜勤にシフトチェンジ。

きよみは、燕市の社会福祉課に相談しますが、相談員は「魔法の言葉」と称して、娘に「ママはあなたが好きよ」と言って7秒抱きしめろ、とアドバイスしています。

定型児ではないのに、そんな気休めではなんの解決にもなりません。

きよみは叫びます。

「もう私、いっぱいいっぱいなんです。もうムリ。ムリムリムリ」

そんなきよみを、母親は「世間様がなんて思うか」と一方的になじるだけで、助けてくれませんでした。

追いつめられたきよみは、とうとう……。

突き放すだけの母親に問題はなかったのか

こういうストーリーと事件を聞くと、人は、「母親が遊びたい盛りだったから鬼畜になった」と評します。

でも、「恋人を優先させたバカな母親」という単純な話でまとめるべきでないと私は思いました。

むしろ、同棲相手との時間をもっと取れていたら、このような事件は起らなかったかもしれません。

この事件で、描かれていた気になる点を枚挙します。

両親が離婚
きよみ自身も離婚
娘の愛ちゃんは発達遅滞

ここまでは、漫画でも読めばわかるように描かれています。

そこに私がもう一つ付け足すと、このきよみ自身にも発達障害があり得ます。

なぜなら、発達障害は遺伝する場合があることと、男性への依存心が強いのは、自分の能力に限界があることを本人がわかっていたと思われるからです。

ですから、単純な「男狂いからの犯行」と決めつけるものではないのです。

つまり、きよみにとって、発達遅滞の娘の子育てを一人で行うのは、能力的に難しかったのだろうと思います。

漫画では、目がとろんとした顔に描かれており、作者もそこに気づいていたように私には見えました。

ということは、保育関係者が、もう少し有用なサポートをできなかったのか、という思いもあります。

きよみは燕市の社会福祉課に、育児疲れを訴えて相談したわけです。

この手の事件にありがちな、自分の不作為を隠蔽したわけではないのです。

率直にSOSを出していたのです。

きよみが片親という境遇もあります。

両親が離婚すると、家庭や家族のあり方を経験できませんから、その子弟も離婚してしまうことがあります。

そして、若すぎる結婚も、離婚家庭の子弟にありがちなことです。

きよみも、21歳の出産は若すぎたのでしょう。

漫画では、きよみを責め立てる母親が描かれていますが、そもそも遠因はその母親自身になかったのかを見る必要があると思います。

そして、きよみは夫のDVで離婚したことになっていますが、発達障害の子弟を成した夫婦は、それが原因で離婚する場合があります。

おいおい、決めつけるなって?

そんなこと、特別支援学校の保護者なら薄々気づいていますよ。

このような悲劇が2度と起らないようにするためにも、公的機関を含めた周囲がサポートする社会であってほしいと思います。

本作は、AmazonUnlimitedの読み放題リストに入っています。

以上、『「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~』(藤田素子、ぶんか社)は、当時24歳の女性が3歳の娘を橋から川に落として溺死させた事件を漫画化、でした。

「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~(単話版) (ストーリーな女たち) - 藤田素子
「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~(単話版) (ストーリーな女たち) – 藤田素子

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