本庄保険金殺人事件は実際にあった事件（1999年）。漫画化したのは『実録！女たちの猟奇事件簿』（ストーリーな女たち）です。後に逮捕された男性が、マスコミからお金を取ってインタビューに応じたことでも話題になった事件です。
『14人目:トリカブト事件』というタイトルの漫画が、安武わたるさんがぶんか社から上梓した『実録！女たちの猟奇事件簿』 （ストーリーな女たち）にあります。
トリカブト事件というと、1986年のトリカブト保険金殺人事件を思い出しますが、本作は別の事件です。
ただし、実際にあった事件を漫画化しています。
収載されている『実録！女たちの猟奇事件簿』は2022年8月8日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
実際の事件を漫画化した実録物
本書『実録！女たちの猟奇事件簿』は、タイトル通り、女性が主犯、もしくは共犯となった凶悪猟奇事件を描いたストーリーです。
具体的な場所や発生年、容疑者の実名などは書かれていませんが、実際の事件を漫画化した実録物です。
その目次です。
1人目:セレブ妻
2人目:秋田子殺し母
3人目:中国人妻…
4人目:スナックママ
5人目:赤い自転車の女
6人目:歯科医嫁殺人
7人目:皇族詐称事件
8人目:埼玉女児虐待
9人目:介護殺人事件
10人目:代理ミュンヒハウゼン症候群事件
11人目:マリオネット殺人
12人目:ネットアイドル
13人目:父子保険金殺人
14人目:トリカブト事件
15人目:主婦連続殺人
16人目:悪魔祓い殺人
17人目:大阪姉妹餓死
18人目:裁判官ストーカー
19人目:女教師事件簿
20人目:千葉長男殺人事件
すでに、セレブ妻（新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件）と、トリカブト事件（本庄保険金殺人事件）、皇族詐称事件（有栖川宮詐欺事件）についてはご紹介しました。
今回は、この中から「14人目:トリカブト事件」をご紹介します。
1999年に、トリカブトの毒を使って保険金目的の殺害を行った事件です。
トリカブトというのは、キンポウゲ科トリカブト属の総称である有毒植物の一種です。
名前の元になった雅楽衣装の姿も、青紫の美しい色も魅力的なキンポウゲ科のトリカブトですが、即効性のその毒は葉っぱ1ｇで致死量に至るそうです。昭和61年、沖縄で実際に起こった「トリカブト保険金殺人事件」もこの植物を実際に使ったそうです。 pic.twitter.com/axfMwfULjW
— 光惟 (菓子暦) (@cwjkd) September 16, 2019
アコニチン系アルカロイド （アコニチン、メサコニチン、ヒパコニチンなど）の毒を持ち、食後10～20分以内に、口唇や舌のしびれから手足のしびれ、嘔吐、腹痛、下痢、不整脈、血圧低下などを起こします。
致死量（アコニチン2～6mg）でけいれん、呼吸不全（呼吸中枢麻痺）に至って死亡します。
トリカブト事件というと、1986年に起こったトリカブト殺人事件を思い出しますが、描かれているのは埼玉本庄保険金殺人事件（1999年）と思われます。
おそらくは、当該事件の容疑者も、その1986年の事件を参考にしたのではないかと思われます。
さて、これをどのように使ったのか、漫画から事件を振り返りましょう。
愛人の全面自供で逮捕へ
漫画の被疑者は八田要（50）。
アナリナ・ササキ・カワトウ（34）、森本千佳子（37）、舘さゆみ（32）が、八田の愛人とされる3人の愛人たちという設定です。
いずれも仮名です。
「八田要」が死刑確定後、冤罪であると再審請求しているためではないかと思います。
最初の被害者は、八田の経営するスナックの客、佐々木修二さんでした。
八田は佐々木さんに、職も家も世話してツケもOKとしました。
そして、店のフィリピン人ホステスであった、アナリナのビザ取得のための偽装結婚をさせました。
人のいい佐々木さんは、職も家も世話してもらい、ツケもOKということに恐縮して、偽装結婚の相手になっても謝礼はとらなかったそうです。
しかし、それは八田の好意というより、店から離れられなくなる仕掛けだったのですが。
八田は最初、佐々木さんを過労死させようと、休まず働かせて連日酒を飲ませたそうです。
しかし、佐々木さんは死ななかったので、舘さゆみはトリカブトの根を刻みアンコに混ぜた菓子と、葉を煮出したコーヒーを2年間口にさせます。
が、それでも佐々木さんは亡くならなかったので、癇癪を起こした八田は致死量のトリカブトで殺害してしまいます。
そして、遺体は川に投げ捨てます。
騙して遺書も書かせていたので自殺として処理され、3億近い保険金が八田のもとに入ります。
次のターゲットは、やはり店の客2人。
1人は61歳、もうひとりは40歳でした。
ホステスと偽装結婚させて保険に加入させ、毎日毒物を飲ませて身体を弱らせる手口です。
61歳には2億、40歳にはなんと10億です。
ただ、このときはトリカブトではなく、61歳の男性にはアセトアミノフェン入りの風邪薬や鎮痛剤などを、サプリメントと言い募って無理に飲ませ、40歳の男性には覚醒剤入りコーヒーも飲ませたそうです。
61歳の男性が死亡した翌日、40歳の男性が入院。
覚醒剤入りコーヒーで幻覚を起こし、警察に保護されたことで薬物による保険金殺人を疑われました。
以来、ワイドショーなどが連日報じましたが、八田要は有料記者会見として、合計203回開催。
マスコミは1000万円以上払ったと書かれています。
結局、16歳から愛人だった舘さゆみが葛藤の末全面自供したため、事件の真相は明らかにされ、さゆみは殺人に手を貸しながら、「矯正の可能性も認められる」と、無期懲役の判決になりました。
本作によれば、八田はさゆみに、「すべて自分がやったと言わないとオレの愛を失うことになる」との手紙をよこしたものの、一方で自分の妹からは、「八田の言うことを聞くなら絶縁」と厳しく叱責され、自分の間違いに気づいたそうです。
トリカブトとニリンソウ
ところで、トリカブトというのは、ニリンソウは形状が似ているといわれます。
おはようございます。ニリンソウです。花が無いとトリカブトと間違えてしまいます。 pic.twitter.com/Z4Ylox7EV4
— サマンサ ラジオ (@samansacat) April 30, 2021
花が無いとトリカブトと間違えてしまうともいわれます。
若葉は山菜として食べられますが、若葉の時期はトリカブトの若葉と似ているため見分けるのが困難なのです。
よく見れば葉の色や光沢、切れ込みなどの違いがあるんですけどね。
ニリンソウは、古くから東北地方や北海道で山菜として食され、アイヌの人々にとっても重要な食糧でした。
ニリンソウも無毒というわけではなく、プロトアネモニンという毒が含まれています。
この成分は皮膚を刺激するので、肌の弱い人は、採取時に気をつける必要があります。
食べられるのは地上に出ている部分全体。
あまり若いものよりも、ある程度生長して、花の咲いているもののほうがよいとする人もいます。
トリカブトと間違えないよう気をつけましょう。
なお、本書『実録！女たちの猟奇事件簿』収載の漫画は、『4人目:スナックママ』というタイトルの福岡スナックママ連続保険金殺人事件もご紹介しています。
以上、本庄保険金殺人事件は実際にあった事件（1999年）。漫画化したのは『実録！女たちの猟奇事件簿』（ストーリーな女たち）です。だした。
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