医療的ケア児支援法全会一致で成立。たんの吸引や人工呼吸器など必要な医療的ケア児と家族を支援するため必要な対応を求める法案

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医療的ケア児支援法全会一致で成立。たんの吸引や人工呼吸器など必要な医療的ケア児と家族を支援するため必要な対応を求める法案

医療的ケア児支援法が全会一致で成立したのはすばらしいことです。難病や障害で日常的に、たんの吸引や人工呼吸器などが必要な推計で2万人以上いるといわれる医療的ケア児について、子ども本人や、その家族を支援するため、国や自治体に必要な対応を求める法案は、参議院厚生労働委員会で全会一致で可決。11日の参議院本会議で可決・成立しました。

医療的ケア児支援法とはなんだ

医療的ケア児支援法というのは、文字通り医療ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止する目的で作られました。

医療的ケア児とは、障碍や難病で、たんを吸引したり、人工呼吸器を使って呼吸を行ったりなど、日常生活に医療的ケアを必要とする子どもです。

医療的ケア児支援法は、医療的ケア児を子育てする家族の負担を軽減。

医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止する目的で作られました。

障害や医療的ケアの有無にかかわらず、安心して子どもを産み、育てることができる社会を目指します。


法案は、子どもや家族が住んでいる地域にかかわらず、適切な支援を受けられることを基本理念に位置づけ、国や自治体に支援の責務があると明記し、必要な対応を求めています。

医療的ケア児に対しては現在、登校時に保護者の同伴を求められたり、看護師が必要であるにもかかわらず財政上確保できない自治体があるなど、支援の格差が広がっていたのです。

これまでの「努力義務」から、法的根拠のある「責務」に「格上げ」されたと毎日新聞も報じています。


これで、医療ケアの必要なお子さんは、堂々と進学できます。

医療的ケア児支援法成立と障碍・難病者

『朝日新聞デジタル』には、『政治動かした少女の訴え 「医療的ケア児支援法」成立』というタイトルの記事で報じられています。


 11日の参院本会議で可決、成立した「医療的ケア児支援法」は、たんの吸引や人工呼吸器といったケアを日常的に必要とする子どもと、その家族への支援を充実させる内容だ。この法律ができたきっかけのひとつは、ある少女の訴えだった。

 東京都立の特別支援学校に通う中学部1年の山田萌々華(ももか)さん(13)。この日は両親とともに国会を訪れ、傍聴席から採決を見守った。法案が全会一致で可決されると、横たわっているバギーから両手を振って喜びを表現した。


萌々華さんは、医師から「小学校への通学も可能」と言われていたのに、学校からは「受け入れ体制が作れない」と断られたそうです。

というのも、医療的ケアが必要な子どもが学校に通えるかどうかは、教育委員会や学校の対応により大きな差があるのです

つまり、同じ障碍のお子さんが、かりに学校に通えるお墨付きを医学的に与えられていたとしても、A市では学校に通えて、B市では認められない、ということが現実にあるということです。

そのように、済む地域にょって割りを食うようなことを是税するねらいが、今回の医療的ケア児支援法にはあります。

そして、れいわ新選組で当選した難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者、舩後靖彦参議院議員も、法案成立をツイートしています。


舩後靖彦参議院議員はもともと、大学を出て、時計や宝石を輸入する専門商社で、6億円を売り上げるトップセールスマンだったそうです。

結婚して子供も3人いる働き盛りの42歳で突然、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)になったといいます。

今は人工呼吸器を装着していて声を発することも難しいものの、自身の考えや思いを文章にして、代読者などを通じて発信しているそうです。

舩後靖彦参議院議員の思いは、「人はいつ障害を抱えるか分からないから、障碍者も健常者も分け隔てなく『円』の内側にいる、インクルーシブ(包み込む/包含する)な社会をつくることを目指したい」。

そのために、医療的ケア児支援法は不可欠なルール作りだったのです。

障碍・難病者の生きづらさを軽減できるよう期待

ただし、『毎日新聞』では、「支援法ができてもすぐに担い手不足が解消し家族の負担が減るわけではない。」「深刻なのは支援の地域間格差と親、特に母親の負担の大きさだ」とも指摘しています。


つまり、供給力不足。

この解決は、担い手の育成と手厚い報酬が不可欠です。

つまり、財政出動です。

法的な根拠を獲得したことなので、積極財政を求めるのは当然のことです。

本法律の施行に伴って、各自治体に地方交付税として医療的ケア児支援のための予算は配分されます。

それが十分な予算を持たないと、絵に描いた餅におわってしまいます。

実は、私も10年前の火災で、長男が身障者1級、要介護5、遷延性意識障害の診断を受けた時期があります。

長男は、人工呼吸器も使っていましたし、カニューレを入れるために喉に穴を開けていたので、そこからたん吸引も行っていました。

退院後のことを考えて、私は病院の看護師団より、たん吸引の特訓を受けました。

その後、長男は回復して、靴の中敷き以外の医療補助道具を必要としなくなったので、たん吸引は行わなくなりました。

ですから、今すぐやれ、と言われたら戸惑うかもしれませんが、だんだん思い出して、まだできるかもしれません。

というか、そういうことを行わなければならないような状況はたくさんですけどね。

それはともかく、家族ができることは限りがありますので、医療、介護の力で助けてもらわなければなりません。

この法案が、障碍・難病者の生きづらさを軽減できるよう期待しています。

以上、医療的ケア児支援法全会一致で成立。たんの吸引や人工呼吸器など必要な医療的ケア児と家族を支援するため必要な対応を求める法案、でした。

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