国や自治体が生活保護基準額を引き下げた処分の適法性を争った生活保護費の基準額引き下げ処分取り消し訴訟が話題になっています

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国や自治体が生活保護基準額を引き下げた処分の適法性を争った生活保護費の基準額引き下げ処分取り消し訴訟が話題になっています

生活保護費の基準額引き下げ処分取り消し訴訟が話題になっています。国や自治体が生活保護基準額を引き下げた処分の適法性を争う行政訴訟です。これはどのような裁判だったのか、そして生活保護給付をどう見るか、についてまとめてみました。

この争いは、民主党政権下で決定された生活保護基準見直しに基づき、2013年8月に安倍政権が生活保護費の基準額を最大10%引き下げたことに端を発しています。

民主党政権の負の遺産であることは確かですが、自民党政権は積極的にそれを取り消さず、「“悪夢の民主党政権”のせいにすればいいや」と、この引き下げを強行しました。

それに対して、原告側が取り消しを求め、今回最高裁で取り消しが認められました。

ですから、今回の原告側の勝訴は、日本共産党系の弁護団がついたもので、民主党系の議員はSNSでもダンマリです。

立憲民主党は、年金生活者、障碍者、生活保護受給者などの味方にはなり得ないことを私は改めて感じました。


この裁判については、以前もご紹介した、筋肉弁護士の桜井やすのりさんが、わかりやすく解説している動画をシェアします。

筋肉弁護士の解説要約


2012年に、自民党が政権を奪還した際、2013年から生活保護引き下げを実行した。

引き下げる主な理由として、デフレ(物価調整)が挙げられたが、実際には2011年頃から日本はインフレ傾向にあり、裁判官は事実認識に誤りがあったとまず指摘。

そもそも、生活保護基準は、物価や賃金だけでなく、その時代の社会背景や文化を総合的に考慮し、人々が幸せに生きるための最低限の費用を確保すべきである(憲法第25条)。

#たとえば、この10年で、貧乏人であろうがスマホを持たなれば生活に支障をきたすようになったのもその一例。つまり通信料等が増えている。

自民党は、この総合的な考慮の観点が欠けていたため、「生活保護基準の引き下げ」は合理性を欠くと最高裁は判断した。

よって、判決は当然のことである。

生活保護が気に食わない国民がいるようだが、生活保護は、社会が機能し、人類が存続していくために不可欠な制度である。

外国人の不正受給はわずかに過ぎないし、どんな決まりを作ろうが、悪いことをするやつはかならず出る。

それを口実に、生活保護制度自体を否定すべきではない。

「努力しない奴に金をばらまくな」という意見もあるが、個人の能力差は相対的には小さく、生活困窮は、個人の努力不足だけが原因ではないことを理解すべきだ。

「働かざる者食うべからず」という国民もいるが、自分の生活は、自分の努力だけでなく、おおもとは生まれた「ほしのもと」や環境によるものである。つまり、五体満足が恵まれていることに気づけ。

だいいち、生活保護というセーフティーネットがなければ、社会の治安維持が困難になり、少子高齢化をさらに加速させる。

つまり、生活保護給付を否定する国民は、結局自分にとって困ることになると気づいてほしい。

……動画の後半は、健康保険制度への言及が続きますが、こちらはまた別の話なので今回は割愛します。

セーフティーネットは必要

私は、筋肉弁護士の意見に賛成します。

生活保護の問題に限らず、その人の「努力」や「成功」は、いったい何に基づくものなのか、という部分で、もっと我たちは謙虚で冷静にならなければならないと思います。

五体満足で「働かざる者食うべからず」と言える、その幸運さに気づくべきだということです。

「俺は、自分の努力で一流大学に合格したんだ。悔しかったらみんなも努力すればいい」

という人がいます。

そりゃ、勉強してテストに合格できる点数をとれるようになったのは、その人自身の努力です。

でも、その人自身の功績は、そこだけです。

その努力をできる「ほしのもと」は、その人の手柄ではありません。

「一流大学」を目指すための前提となる知能は遺伝の要素を否定できず、家庭環境も「親ガチャ」です。

だいいち、いくら勉強したって、試験の日に病気になったり交通事故にあったりしたら、合格できません。

実際に、その日のコンディションが合否の明暗を分けることはあります。

つまり、「運」の要素もあります。

要するに、「ほしのもと」「その時時の運」……それらを全部ぐり抜けた奇跡的な人だけが、「一流大学」という自己実現を達成しているわけです。

努力努力って言うけど、どんだけ幸運なんだってことです。

ですから、人間なんてもともとのスタートに、それだけの違いがあったわけではないだろう、と筋肉弁護士は言われているわけです。

また、これまでは順調な人生だったけど、何かの間違いで、これから生活保護を必要とする立場になってしまうかもしれません。

そんなときのためにも、私は、誰もが、どんな環境や「ほしのもと」でもこの社会で暮らせるセーフティーネットは必要だと思っています。

学校では教えてくれない生活保護 (14歳の世渡り術) - 雨宮 処凛
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