
高市早苗総理の「公約違反」がさっそく問題になっています。といっても、野党側というより、保守の側からの「こんなはずじゃなかった」批判です。高市首相が参議院本会議で、特定技能2号について「受け入れ人数の上限を設定していない」と答弁したことが大きな議論を呼んでいます。
特定技能2号は、日本の人手不足分野(計11分野)で熟練した技能を持つ外国人に付与される在留資格です。
1号の上位資格で、在留期間の更新上限がなく、家族の帯同や将来的に永住権申請も可能です。
2023年にほぼ全ての分野へ対象が拡大されました。
「家族の帯同や将来的に永住権申請も可能」ということで、「純血主義」の古き良き日本が良いと思っている人には、とても容認できない発言なのでしょう。
先日は、別姓のみ表記を法制化し、事実上「選択的夫婦別姓」を認めたことといい、「話が違うじゃないか」というわけです。
ま、高市早苗さんの過去の政治活動や言動を冷静に見れば、このくらいの掌返しは容易に想像できたと思うのですが、それは今回措くとして、移民問題自体は、どう考えたらいいでしょう。
「鎖国」すれば、日本の経済は確実に縮小する
長谷川豊さんという移民反対論者が、「AIで人手は足りるから、外国人労働者は余剰であり不要。日本に入れるな」と述べています。
え?
いやいや。
人口は減りますが、そもそもAIが進み、2040年には440万人の事務職員が余ります。
全体として人手は不足どころか余剰となります。
経産省の調べです。
出来れば新しいニュースに目を通す事をお勧めいたします。https://t.co/P41OjDcpIf https://t.co/UmIn1KyeVl— 長谷川 豊 (@y___hasegawa) February 26, 2026
確かに、最近の経産省推計(2040年就業構造)のように、生成AI・ロボット活用を前提にすると、事務職で約440万人もの余剰が生じると試算されています。
ただし、それは産業が現状のままでのシミュレーションで、AIでできることが増えることによる未来の新産業⇒雇用創出までは、現時点では誰も想像つかないはずです。
何より、日本人が高齢化している上に、移民締め出し(人口減少)の本当の深刻さは、供給側(生産力)より需要側(消費力・市場規模)の縮小にあるからです。
簡単に言えば、消費者の頭数が減れば、物が売れなくなり、経済が縮小するということです。
人口減少という将来の懸念は、「人余り」ではなく、それどころか「市場の縮小と活力の喪失」という、より根深い問題を引き起こします。
厚生年金と健康保険は天引きですから、多くの外国人はそれらを支払っており、ネトウヨが問題にする「不正受給」を差し引いても、収支は日本のプラスです。
外国人留学生の迎え入れもね。
鎖国論者の覚悟は?
以前も書きましたが、たとえ国全体の経済力や人口が縮小しても、鎖国した「古き良き日本がいい」という意見は、私は否定しません。
ただし、本当にその覚悟があれば、の話です。
そういう人に限って、鎖国した弊害を感じると、別のことに責任や鬱憤のはけ口を求める他責思考に陥るので、私はその無責任さこそが個人的に我慢ならないですね。
かつて安倍総理は、移民反対という建前に反する、改正出入国管理法を2018年に成立させ、安倍総理は事実上移民政策を推進しました。
安倍信者は、「これは良い移民政策だ」などと屁理屈で容認したり、「そこだけは認められない」と、参政党や日本保守党に支持層が散ったりしましたが、あれは別に褒めるでもなく批判するでもなく、誰が時の総理大臣でもそうしたであろう時代の必然であったと私は思います。
ですから、今回の高市発言も、その流れをくんだものでしょう。
介護は「日本人締め出し」とは事情が違う
ただ、長谷川豊さんはこうも反論します。
その通りです。
あくまで全体的な話をすると、今の日本の特定技能などの入国条件は(一部の不良外国人を除き)そこそこ厳しいんです。結果
ハッキリ言うと外国人の方がはるかに
勤勉
文句言わない
細かい残業代とか請求してこない
笑顔
遅刻しない… https://t.co/HejFa5AmRS— 長谷川 豊 (@y___hasegawa) February 28, 2026
外国人労働者を、排外主義で締め出したいわけではない。これは差別や偏見からのものではない。
むしろ、外国人労働者の方が、日本人よりも真面目だと思っている。
だからこそ、日本人よりも、給料が安くてよく働く外国人を入れたら、日本人の失業者はますます増えてしまうから移民反対なのだと。
これは、主に中小製造業やサービス業の一部で見られる経営者の視点ですが、介護分野では状況がかなり異なります。むしろ逆の側面が強く出ています。
厚生労働省推計では2025年時点で約32-38万人、2030年代にはさらに拡大。介護報酬の制約で施設の人員配置基準を満たせず減算(収入減)になるケースが頻発しており、外国人なしでは多くの施設が回らないのが現実です。
2024年末~2025年にかけて特定技能在留者は急増(前年比+49%超の分野もあり)。医療・福祉分野全体で外国人労働者が28%以上の伸びを示しています。
特定技能は「日本人と同等以上」が原則で、基本的に日本人より低く抑えられることは制度上ありません。
つまり、介護では「低コストで大量投入 → 賃金抑制」という構図が成り立ちにくいので、長谷川さんの話は嘘とまでは言いませんが、本当に人を必要としている分野ではあり得ない論理なのです。
みなさんは、今回の高市総理の移民政策推進発言、いかが思われましたか。

移民と日本社会 データで読み解く実態と将来像 (中公新書) – 永吉希久子


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