
古賀千景参議院議員の、「自衛隊に行く子は経済的に厳しい」という発言が大問題になっています。古賀議員は、防衛省の子供向け防衛冊子が、近隣諸国の児童に与える影響を問題視したうえでの発言と釈明しましたが、小泉進次郎防衛相は「自衛官の子供たちへの配慮に欠ける」と即座に反論しました。
古賀議員は発言を撤回・謝罪したものの、日教組出身の議員による、自衛隊員への職業的偏見としてSNS上で強い批判を集めています。
最初に問題提起すると、私はそうは思いません。留保をつけます
いえ、古賀議員が問題発言ではない、という意味ではありません。
ことさら「日教組出身(だから)」と強調する箇所です。私は違うと思うな。
日教組だろうが、全教(共産党系)だろうが、教育合同労組(社民党系)だろうが、ハチノアタマだろうが、だめなものはだめなのです。
だって、日教組に入っていようがいまいが、そんな事関係なく、(教員出身の)議員がこんな事言うのはおかしいでしょ。
それを「日教組の」とつけることで、日教組さえ叩けばいいという、たんなる政治闘争に矮小化してほしくないと思いました。
経済的階層で一括りにした「格付け」
【言及】小泉防衛大臣、立憲・古賀議員の発言に改めて非難「自ら志願した方々への冒涜」https://t.co/qRHdTrNaKu
波紋が広がっているのは、古賀議員の「自衛隊に行く子どもたちって経済的に厳しい子どもたち」という発言。15日の国会中に小泉氏は反論したが、16日にも改めて非難した。 pic.twitter.com/CHs4FkJiPu
— ライブドアニュース (@livedoornews) June 16, 2026
結論から書きますが、今回の問題の本質は、
「自衛隊に経済的に厳しい家庭出身者が一定数いる」という事実の指摘自体ではなく、「自衛官という職業を経済的階層で一括りにし、志や多様な動機を無視した乱暴なステレオタイプ化」にあります。
歴史的に、自衛隊入隊者は東北・九州などの地方出身者や、所得が相対的に低い地域からの比率が高い傾向があり、「経済的徴兵制」的な指摘は昔からあるのは事実です。
佐藤正久さん(自衛隊出身の元参議院議員)のように、「経済的な理由で、(授業料のかかる)大学ではなく、(給料の出る)防衛大学校に行った」とカミングアウトしている人もいます。
全否定するつもりはありませんが、レッテル貼りは看過できない。
私自身、経済的な理由で合格した東北大学を諦め、防衛大学校・防衛医科大学校への進学を迷った経験があります。しかし、すべてがそのような動機であるはずがありません。… https://t.co/2OXXSFflmJ— 佐藤正久 (@SatoMasahisa) June 15, 2026
つまり、「貧困家庭出身者」はたしかにいるのです。
一方で、「東大・京大・一橋・早慶などの難関大学に通う学生の家庭は、一般的な家庭よりも世帯年収が高い(裕福である)」という傾向を示すデータも、明確に存在します。
この発言は良くないな。
東大京大一橋早慶に行く家庭は他より裕福というのはデータで結論が出ている。
遺伝と環境が全てということを前提に、生産的な議論をしないと。 https://t.co/2PyhUlyUxD— 筋肉弁護士 (@kinnikuben) June 15, 2026
特に、東京大学が隔年で実施している「学生生活実態調査」や、JASSO(日本学生支援機構)の調査、教育社会学の研究などで、この傾向は顕著に裏付けられています。
残念ながら、「ほしのもと」と「環境」が、その人の人生観についてまわることは否定できません。
ただし、だからとって単純に、金持ちは東大、貧乏人は自衛隊とはならず、だからこそ、本人の頑張りや保護者や周囲の支援で、そうでない層が入学することもあります。
だから、人生は面白い。
実際には、統計的には大別すると中間層が最多という分析もあります。
最低所得層は、そもそも健康・学力など入隊基準を満たしにくい構造もあるため、人口比を下回るケースも指摘されています。
rocket-boys.co.jp
私も中学卒業時に、海上自衛隊の試験を受けた経験がありますが、一緒に受けた同級生は不合格で、彼はそれでも都立高校の普通科に入ってましたよ。
だから、少なくとも私の頃(1970年代)は、自衛隊は低学力では入れないとわかりました。
防衛大学校は、学費無料+学生手当(月15万円超+ボーナス)が出るため、「親に負担をかけず大学に行ける」「給与をもらいながら安定した道を選べる」という合理的な選択をする人は、極貧層でなくても確かにいます。
高卒中心の一般曹候補生でも、就職難や求人倍率の低い地域では魅力的な選択肢になります。
普通の大学に行っている人だって、奨学金受けまくっているんですから、防衛大が逆に金をくれるというのは、貧困層でなくても魅力的にキマっているじゃないですか。
免許取得や、スキル習得を目的とする人も少なくありません。これらは「貧困だから仕方なく」というより、単純に「機会としての魅力」です。
国防意識、災害救助への憧れ、身体を動かす仕事、 camaraderie(仲間意識)、福利厚生など。すべてを「貧困だから」で一元化するのは現実を歪めています。
ま、これだけ書けば、古賀議員の発言が一面的であることは明らかでしょう。
で、問題は、なぜこの人がこんな事を言ったのか、という話です。
ここから先は、あくまで私のかなりの主観です。
私が認識した問題の核心
私が認識した問題の核心は、ある世代の、教員なる職業を選んだ人にありがちな、「何者かになりたかったけれど、何者にもなれなかった」ジェラシーとコンプレックスのなせる偏見ではないのかと思いました。
教員養成系は旧師範学校で、戦後になって「大学」に組み込まれました。
ですから、私が高校の頃も、各学部の中で教育学部がもっとも入りやすかった(難易度が低かった)「事実」があります。
法学部にも理学部にも医学部にも入れないから、教育学部でも入るか。
一般の学部でも、上場企業もキャリア公務員も望むべくもないから、教員免許でもとるか。
これは、偏見とはいいきれません。デモシカ教師って言葉もあるぐらいです。
「デモシカ教師(でもしか先生)」とは、「教師にでもなるか」「教師にしかなれない」という消極的な動機で教職を選んだ人を指す言葉です。戦後から高度経済成長期にかけて教員が不足し、採用枠が急増した時代背景から生まれた皮肉まじりの俗語・スラングです。
人間は、自分にコンプレックスがあると、人間の格付けをして、自分の「下」をでっちあげたがるものです。
ですから、自衛隊に対する一面的な傾向を、さも自衛隊全てに一般化して、「下」を作りたかったんだろうなあと思いました。
もちろん、その一方で最初から前向きに、真面目に教師を目指す人もいます。
いずれにしても、それは個人の生き方の問題で、どの経済的階層が真面目な教員志望で、どの階層がデモシカ教師か、なんて括ることはできません。
今回の自衛隊員についても同じです。勝手に括るなよ、ということです。
この千景議員、年齢から見ても、「デモシカ教師」世代の人でしょうね。
国会議員になったんだから、いい加減心を入れ替えたらいいのに。
私は、そんな矮小な先生に教わりたくないなと思いました。
これは私の主観ですよ。
古賀議員の発言、いかがお考えですか。

シン読解力: 学力と人生を決めるもうひとつの読み方 – 新井 紀子


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