事故物件怪談 恐い間取り(松原タニシ著、二見書房) Kindle版
事故物件怪談 恐い間取り(松原タニシ著、二見書房)は、著者が「事故物件」に住み続けながら体験した恐怖を綴った実録怪談エッセイです。実際に住んだ10件以上の事故物件「大島てる物件」での体験を、間取り図とともに紹介しています。
本書は、お笑い芸人・松原タニシが、実際に「事故物件」(過去に自殺や殺人などの事件が起きた部屋)に住み続けながら体験した恐怖体験を綴った実録怪談エッセイです。
著者は、テレビ番組『北野誠のおまえら行くな。』の企画で事故物件に住むことになり、その後も自ら進んで各地の事故物件を転々とするようになります。
本書では、彼が実際に住んだ10件以上の事故物件での体験を、間取り図とともに紹介しています。
大島てる物件とは何だ
松原タニシ原作映画化第2弾
映画『事故物件ゾク 恐い間取り』
今年夏公開決定前作に引き続きメガホンをとるのは
ホラー映画の名匠・中田秀夫監督さらに今年5月
『事故物件怪談 恐い間取り』シリーズ
新刊発売も決定映画も新刊もお楽しみに#事故物件ゾクhttps://t.co/JUQ2epTfHx pic.twitter.com/ASz4NNwZze
— 松原タニシ (@tanishisuki) January 21, 2025
事故物件というと、いわゆる大島てる物件などともいわれます。
「大島てる物件」とは、事件や事故でシ者が出た不動産物件をマーキングし、情報を公開しているウェブサイトのことを指します。
平成17年に開設された、いわゆる投稿型事故物件登録サイトです。
2021年10月に国土交通省がガイドラインを発表し、「事故物件に関する告知義務の明確化」が行われました。
しかし、それでもあり得る不動産業界における事故物件の情報開示の不透明さを問題視し、一般の人々が事故物件の情報を自由に閲覧できるようにしました。
裁判記録や報道記事を元に情報を掲載することもあります。
しかし、事故物件という定義はそもそも曖昧であり、警察署や消防署による正式な記録に基づいて登録しているわけではありません。
しかも、匿名の自由投稿ですから、デマ、登録漏れなどもあります。
サイトを見ると、事故があったという投稿のコメントに、「以前からの住人だがそんな事実はない」という反論が入っていることも少なくありません。
そもそも、「事故物件」というのは、サイトによっては、シ亡事件・事故だけでなく、「過去に火災などの災害を受けている物件」なども含まれるとしています。
たとえば、20台の消防車が来た、かつての我が家の火災はどう見ても「事故物件」に該当するはずですが、一部を建て直したことで、該当箇所に印はついていませんでした。
また、私が現在住む家の隣は、やはり火災で1人亡くなっているのですが、こちらもシ者が出ても建て直したことで、印はついていません。
ということは、事件・事故後に、修繕や建て直しをすれば「なかったこと」になるようです。
また、不動産賃貸情報としても、シ者が出た後、1度誰かに貸せば、次の募集からは「事故物件」として告知する必要もないそうです。
しかし、そんなことをいったら、火災で無修繕はありえず、ボヤでもない限り、燃えていないところも含めて大幅なリフォームや建て直しは避けられません。
火災でなくても、大家の判断で、たとえば首吊りのあった借家は、それを機に全面リフォームなんてこともあるかもしれません。
要するに、「事故物件」といいながら、その場所の事故それ自体を正確に反映していないのです。
では、なぜこうしたサイトが人気があるのかというと、ひとつには、賃貸物件は、なぜか相場より安い場合がありますが、大家や仲介業者が明らかにしないことについて、借り手が「そんなことがあったのなら借りなかった」という齟齬が絶えないからだろうと思います。
そして、事故が霊的な力によるのではないか、もしくは事故でその家屋に何らかの因縁がついているのではないか、という神秘主義・非合理主義的な関心もあるのだろうと思います。
松原タニシは、価格のやすさと、その神秘主義から、事故物件を転々として、それを本書にまとめたわけです。
不動産業界の事情についても言及
亀梨和也主演で大ヒットした『事故物件 恐い間取り』の続編『ゾク事故物件 恐い間取り』の特報が解禁!!殺人、火災、自殺…いわくつきの事故物件で再び恐ろしい出来事に見舞われるー。2025年夏公開pic.twitter.com/ggUFnHUo9b
— ホラー映画取締役 (@torishimaru) January 21, 2025
本書は、各事故物件の「間取り」が描かれており、読者はその場の状況をイメージしやすくなっています。
特に、怪異の発生場所や異変が起きた部屋の特徴が具体的に示されることで、より恐怖が増す構成になっています。
著者は、事故物件の家賃の相場や不動産会社の対応など、実際に住むことで得た知識も紹介しています。
「事故物件の情報開示の義務」や「幽霊が出ると評判の部屋がなぜなくならないのか」といった不動産業界の事情についても触れられており、怪談としてだけでなく、社会的な視点でも興味深い内容となっています。
2020年には、亀梨和也主演の『事故物件 恐い間取り』として映画化されました。
映画版では、怪談とホラー要素が強調されていますが、原作はよりドキュメンタリー寄りの作風です。
「事故物件とはどんなものなのか?」という実態に迫る内容も含まれており、ホラー好きだけでなく、不動産や心理学に興味がある人にとっても興味深い作品です。
ちなみに、たとえ事故でなく自然シであっても、孤独シは事故物件になるそうです。
孤独シは、近年増加傾向らしいですし、そうすると事故物件はもっと増えてくるのではないでしょうか。
みなさんは、事故物件を斡旋されたり、事故物件に住まれたりしたことはありますか。
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