独身の生き方を選んだら心底ホッとしました(内向型の頂点著)は、FIREムーブメントを達成した著者の女性経験と結婚観(独身観)を綴ったものです。著者自身の境遇に基づいた「利用されやすい人間性」から、境界性人格障害の女性に煩わされる日々を中心に振り返っています。
本書の著者は、以前、FIREムーブメントを達成した半自伝をご紹介したことがあります。
【ほぼ漫画】億り人のひきこもり生活(内向型の頂点著)Kindle版は、40代で「億り人」になって早期リタイアした人の自叙伝です。お金の心配がなくなった内向型人間である著者の、存分にひきこもれる生活を、イラストと文章によるフルカラーで公開しています。https://t.co/QfzgaYkOnX pic.twitter.com/v1ER5X9fOm
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) November 24, 2024
このKindleは、漫画の部分も多かったのですが、今回はほぼ文章です。
著者が、「もう年頃だから結婚しなければ」と、人並みのプレッシャーを感じながら、何人かと付き合ったもののうまくいかず、ある時期から、独身を選び、自分自身の幸せや充実感を追求することの大切さに気づいた経験を綴っています。
つまり、嫌なら無理に結婚なんてする必要はない。
独身生活の楽しさや利点、そして他人の期待に縛られずに生きることの解放感について述べています。
とくに、そのきっかけとなった、境界性人格障害の女性に煩わされる日々については、独立した章で語っています。
なぜ、婚活がうまくいかなかったか。
キーワードは毒親でした。
父親や兄からの虐待があり、著者は自己肯定感が低くなり、ヒトに舐められるタイプだった。
母親は、「弱者の政党」に入れ込んでいたため、著者はいつしか、困っている人、弱っている人を見捨てられない性分になってしまった。善人でなければいけないという価値観が刷り込まれてしまった。
その結果、タチのわるい女性に捕まり、ナメられても、「自分がこの人を幸せにしなければならない」と考えてしまい、逃げられなくなってしまった。
とくに、境界性人格障害の女性には、肉体的・精神的・経済的にボロボロにされてしまったそうです。
なかなか理想の人が見つからない理由は……
『独身の生き方を選んだら心底ホッとしました』に
低評価が増えてきたので
おいおい挿絵を入れようかと思います pic.twitter.com/7PSGzevQhf
— 内向型の頂点@平穏FIRE (@fuantensyoku) May 9, 2024
著者は、何人かの女性と交際したものの、いずれもうまくいきませんでした。
著者いわく、前述の性格から、結婚は本当はあまり気が進まなかったので、無意識のうちに結婚しなくてもいいような相手を選んでいたのではないかと振り返っています。
これはもしかしたら、交際が実らない人に、ありがちなことかもしれません。
なかなか理想の人が見つからないのではなく、そもそも理想になり得ない人を無意識のうちに選んでいるのではないか。
結婚生活への覚悟とか変化を、実は恐れているから……
人並みに結婚を求めないことへの罪悪感と、一方で、どうしても結婚したいわけではない本音の妥協点として、一応変な人と付き合って、「付き合ったけどだめだったから仕方ない」と自分を納得させる。
私自身も振り返ってみました。
まあ、あまり言ってもアレですが、「怖いもの見たさ」に変な人とわざわざ付き合っているのではないかといわれたことはあります。
私も、ヒトサマにはナメられるタイプで、しかもタチの悪いやつに関わっても、逃げるのがあまりうまくありません。
その意味で、著者とかぶるところはあるかもしれません。
本書の見どころは、境界性人格障害(本書にはそう書いてあります)の女性との交際。
具体的なことは本書を読んでいただくとして、おおまかなところでは……
彼女は約束した時間に、わざと大幅に遅れて愛情を試す。
自分の言う事を聞きそうとわかると、かさにかかってわがままな要求をする。
口ごたえすると、想像を絶する逆ギレをする。
たとえ自分が危険にさらされるようなことでも、相手を困ることなら喜んでする。(追い越し車線の交差点でいきなり左折を命じる。従わないと車中をめちゃめちゃにする)
自分が経済観念がなく預金がないので、相手も無一文にしようと無駄遣いのたかりをする。
暴力は日常茶飯。流血もめずらしくない。突然怒り出す。
友達の悪口が大好き。自分がまともでないのに気づいているから、他の人達の印象を下げることによって、相対的に自分がまともであるようにしたかった。
なぜ彼女は、著者に対してそんな狂った態度を取り続けるのか。
著者いわく、彼女は自己嫌悪を著者に投影しているからだろう、と書いています。
つまり、彼女は彼女自身の人格に対して怒っているが、その矛先として著者に肩代わりさせているのだと。
これを読んで、少し私の考えは変わりました。
「そこまでわかってて、彼女にそこまでやらせたのは、あんたの責任もあるんじゃないの?」
「犠牲者」をやってるから相手を追い詰める!?
要するに、著者は彼女に対して無抵抗に服従することで、彼女の鏡になってしまったのです。
だから、彼女は著者をいじめればいじめるほど、自分の醜さを知ることとなり、さらに自己嫌悪に深く陥ってしまったのです。
著者は、彼女に虐げられているようで、実は逆に彼女を追い込んでいたのではないでしょうか。
DV離婚した方には申し訳ないのですが、DVにも似たような場合があると聞いたことがあります
つまり、DVをする人の一部は、日常のすべてがならず者というわけではなく、妻との一部のやりとりをきっかけに狂ってしまう。
なんて書くと、「実際にDVにあってみたらそんなこと言えないだろう」とお叱りを受けるかもしませんが、言うまでもなく、DVはその行為について民事的にも刑事的にも「シたものが100%悪い」のです。
ただ、法的責任とは別に、相手の鏡になることは、意図や自覚にかかわらず、相手の心の何処かを刺激している可能性がある、ということをいいたいのです。
この女性に限らず、著者が女性といい関係を築けない最大の原因は、自分が悪者になりたくなくて、無抵抗になるから、相手を自己嫌悪に陥らせているのではないかと思いました。
……ということは、著者と「かぶる」私も、そういう面はあったのかもしれません。
考えさせてくれる一冊です。
みなさんは、過去の婚活や夫婦生活、または異性との関係で、奇妙なご経験はありますか。
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