こども食堂という言葉が生まれて10年余りが経ちました。数が増えるにつれ運営の持続性や「誰のための場所か」という課題が浮上しました。

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こども食堂という言葉が生まれて10年余りが経ちました。数が増えるにつれ運営の持続性や「誰のための場所か」という課題が浮上しました。

こども食堂」という言葉が生まれて10年余りが経ちました。2016年に全国で319か所だったこども食堂は、今や想像を超える規模に成長しています。子どもたちの食と居場所を守ろうという草の根の取り組みは、確かに社会に根付きました。

しかし、数が増えるにつれて、運営の持続性や「誰のための場所か」という問いが、改めて浮かび上がってきています。

1万2千か所、公立小学校の7割に迫る

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの2025年度調査によると、全国のこども食堂は確定値で1万2,602か所に達しました。
https://musubie.org/news/press/30036

公立の小学校・義務教育学校を合わせた1万8,545校の7割に近づいており、全国の小学校区の約4割にこども食堂がある状態になっています。

2016年には319か所だったこども食堂が、たった3年で3,700か所を超え、今や1万2千か所超となりました。

児童館が全国に約4,000か所であることを考えると、この規模がいかに大きいかがわかります。

ボランティアと寄付によって支えられた民間の活動が、ここまで広がったことは社会的な意義のあることです。しかし、同時に「量の拡大」が新たな課題を生み出しています。

運営の3大課題、資金・人材・食材

むすびえが2025年に実施した「こども食堂の実態・困りごと調査」によると、運営での困りごとの上位は「運営資金不足」47.2%、「必要な人に支援を届けるための周知・広報」47.2%、「運営スタッフ・ボランティア不足」42.2%、「後継者不足」32.3%、「食材・物品の不足」32.0%でした。

特に深刻なのが物価高騰の影響です。

2024年の調査では、「物価上昇による影響を感じている」という回答が88.5%と9割近くを占め、食材・物品の寄付として「もらうとうれしいもの」の第1位は「米」(80.1%)でした。

食材費が上がっても、無料または低額で提供し続けなければならない。

寄付や助成金に頼る構造の中で、運営者の負担は年々増しています。

「始めたはいいが、続けられない」という事例が出始めているのも、この問題の表れです。

「貧困の場所」というイメージが阻む壁

もうひとつの根本的な課題が、こども食堂に付きまとう「貧困のイメージ」です。

「あそこに行くのは、お金に困っている子どもだ」という目で見られたくない。

そう感じる子どもや保護者が、本当に必要であっても利用を躊躇するケースがあります。

支援が必要な人ほど、偏見や烙印を恐れて来られないという逆説が生じているのです。

こども食堂の内容を「知っている」と答えた人は2024年度調査で49.4%と、まだ半数に届いていません。

認知度の低さもまた、必要な子どもへのアクセスを阻んでいます。

「貧困対策」から「地域のインフラ」へ

この課題を乗り越えるために、多くのこども食堂が意識的に「誰でも来られる場所」へとシフトしています。

「食事提供」と並び「こどもの居場所づくり」を活動目的として挙げたこども食堂は84.3%に上り、「地域づくり・まちづくり」や「多世代交流」も6割を超えるこども食堂が活動目的として挙げていました。

特に2023年以降に活動を開始したこども食堂では、「地域づくり・まちづくり」や「子どもの遊び場づくり」が上位に挙げられていました。

貧困家庭だけを対象にするのではなく、地域の子どもも大人も高齢者も集まれる「みんなの食卓」として機能させることで、貧困のレッテルを薄め、本当に必要な人が来やすい環境をつくる。

この転換が、各地で起きています。

制度の裏付けなき拡大の限界

こども食堂は、自治体への届出を要しない民間活動です。だからこそ自由に始められた反面、公的制度による安定的な支援の枠組みが整っていません。

こども家庭庁は、2024年度補正予算で「こども食堂等を広域的に支援する民間団体の取り組みへの支援」として19億円を計上しましたが、全国1万2千か所を支えるには十分とはいえません。

運営を支える地域ネットワーク団体が活動している市区町村は、全国の3分の1にとどまっています。

残りの3分の2では、各食堂が孤立したまま運営を続けているのが実態です。

ボランティア依存にそもそも問題あり


子ども食堂の根本的な問題点は、貧困や孤食という社会構造的な課題の「対症療法」にとどまっており、行政の福祉政策を代替する役割を担わされながらも、法的・財政的な基盤が民間ボランティアの善意や持ち出しに依存している点にあります

そして、「行きやすい場所」というイメージの定着も不可欠だと思います。

子どもの食と居場所を守る取り組みが、次の10年も続くかどうかは、社会全体がこの問いにどう向き合うかにかかっていますが、みなさんはいかがお考えですか。

こども食堂の現状と貧困問題: 今、問われている 子供たちの食 - 佐藤 渚
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