「国会図書館デジタル化で障がい者3.4万人の仕事を創出!」というニュースが話題になりました。私はいい話だと思っています。

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「国会図書館デジタル化で障がい者3.4万人の仕事を創出!」というニュースが話題になりました。私はいい話だと思っています。

「国会図書館デジタル化で障がい者3.4万人の仕事を創出!」というニュースが話題になりました。私はいい話だと思っています。山田太郎参議院議員(自民党)が提案・推進する政策案で、国会図書館に所蔵されている膨大な書籍をデジタル化し、その作業の大部分を障害者雇用で担おうという構想です。

一見すると別個のテーマである「書籍のデジタル化」と「障がい者雇用」。

しかし、これを同時に実現しようというアイデアには、デジタル時代の公共政策としての可能性、そして社会的包摂という観点での新しさがあります。

本記事では、この提案が意味することを2つの側面から考えてみます。

国会図書館所蔵書籍のデジタル化とは何か?


国立国会図書館には、およそ4000万点を超える資料が所蔵されています。

その中には、戦前からの書籍、地方自治体が発行した資料、雑誌、新聞、博士論文など、貴重な文献が数多く含まれています。

しかし、これらの大部分は紙のままであり、閲覧のためには東京(永田町)か関西館(京都・精華町)へ足を運ばなければなりません。

すでに国会図書館は一部の資料をデジタル化し、インターネット公開・館内閲覧の形で提供しています。

私は、都内住まいですが、国会図書館は往復で2時間。

また本の検索・貸出・複写の一連の手続きに時間がかかります。

あとは稀ですが、借りたいと思った書籍が貸出中ということもあります。

そこで、最近は、デジタル化されたものをインターネット経由で利用していますが、大いに助かっています。

デジタル化されたデータは、PDFでダウンロードできるのですが、PDF自体を保存したり、そこからテキストテータを抽出したりできますから、参考・引用する場合も大変便利です。

いずれご紹介しますが、NotebookLM(Google)というAIシステムが、PDFデータの文書を要約したり、内容を解説してくれる音声データを作ったりしてくれるので、研究者やジャーナリストらにとってはみちがえるほど利用の効率が高まります。

しかし、デジタル化された書籍はまだごく一部にすぎず、著作権処理の困難さや予算・人員の制限もあり、まだまだ完全デジタル化の道は長く続きます。

そこで提案されているのが、「大規模な雇用を通じて、急速にデジタル化を進める」ことです。

たとえば、古書を一冊ずつスキャンし、文字を読み取り(OCR)、目次情報や検索メタデータを付与するという工程には、手作業も多く含まれます。

これを、就労支援施設(障害者がはたらく施設)などに委託することで、スピードアップと社会的意義を同時に達成しようというのが提案の要点です。

このようなデジタル化は、国民すべてが「知の公共インフラ」にアクセスできる社会を目指すうえでも、大きな意義を持ちます。

先程書いた、借りたいと思っていてた本がすでに借りられていた、ということもデジタルなら解消できます。

利用者の目的から見ても、学術研究、地域史の調査、文化保存、教育現場での活用など、あらゆる分野にメリットがあります。

そして、もうひとつのメリットが、障害者の雇用創出です。

障害者の雇用創出

山田議員の試算によると、国会図書館の書籍約1200万冊を10年でスキャン・デジタル化するには、3.4万人の人員が必要になるといいます。

そして、その多くを障がい者就労支援の枠組みで担うことで、雇用創出とデジタル化を両立しようというわけです。

ここで重要なのは、障がい者の就労には多様な形があるということです。

特に「就労継続支援B型」という作業雇用形態では、工賃が非常に低い水準(時給数百円)であることが社会問題になっています。

これは「働いても生活できない」という構造を生んでいます。

一方で、スキャニング作業やOCRチェックなどは、マニュアル化しやすく、場所に縛られず、集中力や几帳面さを活かせる仕事でもあります。

つまり、適切な研修や支援があれば、障がいのある人が、健常者に対するハンデなく生産できる分野です。

つまり、障害者でもそれ相当の報酬も可能であるということです。

某水脈とかいう元ヘイト議員に、「生産性がない」などとバカにされることもなくなるのです。

ですから、このような仕事に公的資金を投入することで、「福祉から就労へ」の移行や、社会的な生産性向上も期待できます。

つまり、支出の一部を見返りの期待できる“投資”として再定義できます。

これでもう、障害者に理解のない連中に、「障害者に金を使うのは金をドブに捨てるようなもの」などという無駄遣いよばわりはさせません。

なぜ今、「公共と雇用」を結びつけるべきか?

この提案の背後には、「日本のデジタルインフラは遅れている」という現実があります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が飛び交う一方で、公的文書や図書館資料の多くはいまだにアナログのままです。

そして、障がい者の就労率もまた、民間平均と比べて依然として低いままです。

この2つの問題を「重ねる」ことで、相乗効果を生み出そうという構想は、公共政策の知恵といっていいでしょう。

もちろん、課題もあります。

著作権処理の煩雑さ、予算の継続性、現場での支援体制、業務品質の確保など、制度設計は慎重であるべきです。しかし、これらを「できない理由」ではなく「どうすれば可能か」という前向きな視点で議論することが、これからの社会には求められています。

図書館の未来、雇用の未来

実はこの件、私は事前に耳にしておりました。

妻が、ある作業所に見学に行った時に、その構想を聞いてきたのです。

山田議員によると、「207億円の予算を確保し、事業を始動」(公式サイト)しているとのこと。

プロジェクトはすでに動き出しているということです。

書籍は過去の知を保存し、未来へ手渡すメディアです。

それが、今、障がいのある人の「仕事」としてもう一度命を吹き込まれようとしている。

国会図書館の蔵書をスキャンする一冊一冊が、誰かの手によってなされるならば、その作業は単なる「デジタル作業」ではありません。

それは、知の社会化と包摂の象徴となるでしょう。

この取り組みが続けられるかどうかは、政治の意思と、私たちの関心にかかっています。

知のアクセスと、働く機会をすべての人に。

このプロジェクトが周知されてさらに大きな予算と支援体制で続くよう、期待したいと思います。

みなさんは、図書館のオンラインシステムは利用されたことはありますか?

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