
千原靖賢(せいけん)こと千原せいじの騒動から僧侶について考える
天台宗で得度した僧侶である千原靖賢(せいけん)こと千原せいじが、メディア出演でトラブルを起こし、僧侶としての立場自体に疑問を抱かれています。そこで今回は、僧侶とはなにか、僧侶をどう見るべきかということについてまとめてみました。
最近、SNSで大炎上、というほどではありませんが、話題になっているのが、千原せいじと河合ゆうすけの「言い争い」です。
千原せいじ、河合ゆうすけ氏との対談での「お前いじめられっ子やったやろ?」発言、炎上が収まらず 千原せいじのYouTubeの登録者が9000人減少・・・(動画あり) https://t.co/y1ZFKQiYax
— ツイッター速報 (@tsuisoku777) July 22, 2025
千原せいじが、「お前いじめられっ子やろっ」て言って、議論にならなくなったという話です。
何ひとつ有意義な内容はないので、この争い自体は今回は触れません。
それよりも、千原せいじに対する批判の中に、「こいつは僧侶でさえなかった」「僧侶ビジネス」といった罵倒があったので、今回は「僧侶とは何か」について、まとめます
得度すれば僧侶(見習い)になる
【報告】千原せいじ「和尚さんになりました」 天台宗の得度式で「千原靖賢和尚」にhttps://t.co/Z5qPvCiZH6
せいじは「私、天台宗の和尚さんになりました。名前を、千原靖賢(せいけん)と申します」と報告。「得度式なんてもちろん初めてやから…得度式をしただけで気持ちが落ち着いた」と話した。 pic.twitter.com/xoPSiCpFXB
— ライブドアニュース (@livedoornews) May 3, 2024
千原せいじがキレてお前いじめられっ子やろって言う前の、河合ゆうすけとの会話動画見て欲しいんだけど、河合ゆうすけも同じレベルで失礼だと思うんよね。千原せいじだけ燃えるのは、千原せいじが日本仏教協会って一般社団法人の広告塔やってるせいの気がする。同じ仏教のカルト宗教真如苑とかキレそう pic.twitter.com/Fe0zB15EHZ
— 暇空茜 (@himasoraakane) July 25, 2025
上のOGPで、天台宗の僧侶は、こう解説しています。
1,得度したら僧侶の卵(見習い)になり、授戒を受けて僧侶となる(千原せいじが授戒したかどうかは不明)
2.千原せいじが除名されたという日本仏教会なる組織は任意団体で、千原せいじは役職を解任されたと言うが、僧籍があるかどうかは関係ない
ということです。
つまり、千原せいじは、天台宗の僧侶見習い、もしかしたら正式な僧侶であるということです。
「僧侶ですらなかった」というSNSの投稿は誤り、という話です。
今回のトラブルで、宗派から厳重注意を受けたことが報じられていますが、むしろ、得度で僧籍を持っているからこそ厳重注意を受けたわけで、「僧侶ですらなかった」ら、注意も受けるはずがないですよね。
僧侶や住職にはどうやってなるのか
さて、宗門の仕組みですが、宗派によって違いがあり、私は天台宗は具体的には知りません。
ただし、どんな宗派でも共通して言えるのは、寺には大雑把に言うと、寺を預かる住職と、修行中の僧侶、出家していない在家信者によって構成されています。
得度習礼という儀式を受けると、僧侶(修業をする人)になります。
浄土真宗以外は、出家して僧侶修行を行います。
しかし、千原せいじもメディアに出ているので「在家」のようですね。
このへんは、天台宗の決まりなので、どうなっているのかは私にはわかりません。
いずれにしても、旧オウム真理教のように、得度したら寺に全財産寄付しろ、なんてことはありません。
たぶん、習礼の費用が数万~10万ぐらい、衣装(法衣とか袈裟とか)が全部で20万ぐらい、得度に送り出してくれる寺との関係を作るために、寺の法話会に参加するお布施代とか、寺をあっせんしてれる仏教塾の学費などもかかりますね。そうすると全部で50万ぐらいか。
最近は、定年退職して、何もすることのないオヤジ連が、読経のアルバイトができるのではないかと、安易に得度する人が増えているそうです。
でも、いい加減な気持ちだと、高いカネかけて得度しても続かないでしょうけどね。
そして、僧侶の世界では、「教職」という資格があり、それを取得すれば住職になれる資格ができます。
たとえば、浄土真宗では、大学や大学院で仏教史と仏教哲学、宗教学、真宗学、真宗史などの単位を取得するほかに、布教法、法話、読経などの実技科目を仏教系大学や仏教塾で単位取得することが、住職習礼の条件です。
で、ご縁があれば、住職習礼を受けて、住職になります。
事実上、高等教育を受けていないと、住職にはなれません。
大学に行ってない人は、仏教塾や、大学の科目履修生になってそれらの単位を取得します。
まとめると、住職は数ある僧侶の一人であり、その中でも特定の寺院を管理・運営する役職にある僧侶であると言えます。
そして、住職が指導者的立場にあり、他の僧侶は住職の指示のもとで修行や寺院の活動に携わります。
僧侶ビジネスってなんだ
もうひとつ、千原せいじの得度は、僧侶ビジネス目的だという声もあるようです。
それが事実だとして、千原せいじがどんなビジネスを考えているのかは知りませんが、そもそも僧侶というだけで金儲けができるというのはおかしな話です。
何度も書いていますが、仏教というのは、成仏するために、自分の心の中の煩惱をなくす営みです。
その修業をするために、僧侶になるのです。
つまり、修行僧というのは、世間的には別に偉いわけではなく、あくまで本人が自分の内心のために好き好んでヤッてるだけなんです。
ふだん、「宗教なんて」とコバカにしておきながら、僧侶を位の違う人であるかのように崇めるメンタリテイは注意が必要です。
そういう買いかぶりが、おかしな霊感商法やカルト教団にひっかかる原因なんです。
もちろん、仏門に入ったことによって、ためになる法話ぐらいは話してくれるかもしれませんが、それ以上でもそれ以下でもなく、特別な人のように思わなくていいのです。
仏教や僧侶については、そこを理解することで、おかしなカルト教団にも引っかからず、不当に蔑むこともなく、いざというときは我たちの心を助けてくれることもある、社会の意義あるポジションとしての見定めができることでしょう。
住職と僧侶の関係について、ご理解いただけましたか。

空白の七年の真相: 弘法大師空海の二十五歳得度・三十歳受戒説 『大梵音』 – 大柴清圓


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