「若者の飲み会離れ」が叫ばれて久しかったのですが、忘年会への参加意欲が20代が全年代で最も高い結果が出たという衝撃の話

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「若者の飲み会離れ」が叫ばれて久しかったのですが、忘年会への参加意欲が20代が全年代で最も高い結果が出たという衝撃の話

近年、「若者の飲み会離れ」が叫ばれて久しかったのですが、どうやら状況は変わりつつあるようです。Job総研による2025年の調査では、忘年会への参加意欲が20代で71.0%と、全年代で最も高いという結果が出ました。これは従来の常識を覆すデータと言えるでしょう。

今の若い人というと、「自分の時間」を大切にして、ノミュニケーションを好まないイメージがありましたが、、そうではないデーがあるという報告記事が話題です。

筆者の黒坂岳央さんは、その主要因を、コロナ禍による反動と考察しています。

リモートワークで希薄になった、職場での人間関係を構築したいという若者の切実な渇望が背景にあると分析しています。

対照的に、40代・50代の管理職層は、ハラスメントリスクへの警戒から、逆に参加に消極的であり、この上司のリスク回避行動と若手の関係構築の渇望が、現代の職場のコミュニケーションギャップを生んでいる現状を指摘しています。

パンデミックがもたらした「関係性の飢餓」

今日の情報源は『アゴラ』で、黒坂岳央さんの署名記事です。


記事によると、忘年会に参加意欲があるのは全体で60.1%。年代別の参加意欲は以下の通りです。

20代:71.0%
30代:57.8%
40代:55.1%
50代:48.3%

著者は、「「忘年会は上司の説教の場」と敬遠されがちだった20代が、最も積極的に参加を望んでいるという事実は、従来の常識を根底から覆す。」と、驚嘆しています。

この変化の主要因は、確かにコロナ禍による反動にあるのでしょう。

現在20代前半の方は、大学生活の重要な時期をリモート授業で過ごしました。

20代後半の方も、社会人としての最初の数年をリモートワーク中心で送ってきたことになります。

私たち人間は本来、社会的な動物です。

特に職業人生のスタート時期には、先輩との何気ない会話や、同僚との雑談を通じて、社会人としての振る舞いや仕事の作法を自然に学んでいくものです。しかし、リモートワーク中心の環境では、そうした「暗黙知」の伝達が困難でした。

画面越しのコミュニケーションでは、どうしても用件中心の会話になりがちです。

オフィスで起こる偶然の出会いや、仕事以外の話題から生まれる信頼関係といった「副次的なつながり」が失われていたのです。

この不足体験が、対面での交流に対する強い欲求として表れているのではないでしょうか。

ネットの不毛な「コミュニケーション」

もうひとつ、私が再三書いていますが、ネット(SNS)の「つながり」のトゲトゲしさです。

たとえば、政治の話というと、極端なポジショントークばかり偏執狂のように書き込まれ、自分が違う意見だと袋叩きに合う。

せっかくの便利なツールが、逆に人間への信頼を失わせてしまいかねない契機となっており、その反動として、生身の人間と腹を割って話したい、という欲求が生まれるとも考えられます。

ノミュニケーション再考~手段と目的の逆転~

これまで「ノミュニケーション」(飲み会を通したコミュニケーション)というと、特に若い世代から「強制された付き合い」として否定的に捉えられる傾向がありました。確かに、終身雇用が当たり前だった時代の「会社中心主義」的な飲み会文化には問題も多かったでしょう。

しかし、現在の20代が求めているのは、かつてのような「会社への帰属意識を高めるための飲み会」ではないようです。むしろ、リモートワークでは得にくい「本音で話せる関係性」を構築するための手段として、忘年会を捉えているように思えます。

その一方で、40代・50代が忘年会参加に消極的である背景には、ハラスメントリスクへの警戒感があると分析されています。今は、不用意な言動が、セクハラやパワハラといわれかねないので、最初からかかわらないようにと考えるわけです。

記事は、職場についての関係を対象にしていますが、会社以外の付き合いでも、この年代の「飲み会嫌い」はあります。

慎重姿勢と世代間ギャップ

たとえば、学校時代の同級生のコミュニティなら、出世したか、家庭を持ったか、といった「人生の成果」の違いが見えてしまいます。

世代の違う人との飲み会では、年齢的に自分に伸びしろがないことを実感させられるなど、彼我の差を感じたくないという理由から、消極的になりがちです。

しかし、ここに現代の深刻な世代間コミュニケーションギャップが生じます。

一方では、人間関係を築きたくて仕方ない若手世代がおり、他方では、リスクを恐れて距離を置く世代がいる。このねじれ現象は、組織や一般社会における、世代間人間関係の風通しを悪くする要因にもなりかねません。

求められるのは「意味あるつながり」

今回の調査結果が示しているのは、若者が単純に「飲み会が嫌い」なのではなく、「意味のない付き合い」を拒否しているという事実です。

逆に言えば、意味のある人間関係を築く機会であれば、有意義な時間なら、積極的に参加したいと考えているのです。

会社以外にも、プライベートな、クラス会とか、サークルとか、〇〇の集まりといったことがあるかもしれませんが、ただ義理や惰性で飲み会に参加するのではなく、その時間が果たして自分にとって有意義なのか、どんな関係を築きたいのか、ということを考えて、出欠を決められたら良いと思います。

忘年会の予定は入っていますか。

忘年会 (文春新書 540) - 園田 英弘
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