「嘘をついている人は時系列を逆で話すことが難しい」。それは設定に矛盾が出ないようにする追加の負担がかかるためです

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「嘘をついている人は時系列を逆で話すことが難しい」。それf設定に矛盾が出ないようにする追加の負担がかかるためです

「嘘をついている人は時系列を逆で話すことが難しい」(ナゾロジー)という内容の記事の記事が話題になっています。一見するとテクニック本のようにも見えますが、実際には心理学の実験研究に基づいた話です。

本記事では、そのポイントをできるだけわかりやすく整理してみます。

なぜ「逆順」で話すと嘘がバレやすいのか

今日の情報源です。

人は本当の体験を話すとき、記憶をたどりながら自然に思い出します。多少あいまいでも、「その場の情景」や「感情」と結びついたエピソードとして再生されます。

一方で、嘘は「作り話」です。あらかじめ筋道を組み立てておき、それを崩さないように注意深く話します。そのため、

  • 設定に矛盾が出ないようにする

  • 余計なことを言わないようにする

  • 相手の反応を気にしながら調整する

といった“追加の負荷”がかかります。

ここでポイントになるのが「認知負荷(cognitive load)」です。人間の脳が同時に処理できる情報量には限界があります。嘘をつくときは、この負荷がすでに高い状態になっています。

そこに「では、今の話を最後から順番に話してください」と求めるとどうなるでしょうか。

研究の内容

この手法を実験的に検証したのが、心理学者のAldert Vrijらの研究です。論文は学術誌Law and Human Behaviorに掲載されました。

実験では、参加者の一部に「本当の出来事」を語ってもらい、別の一部には「嘘の出来事」を語ってもらいました。そして、通常の順番(最初から最後)で話してもらう場合と、逆順で話してもらう場合を比較しました。

結果は次の通りです。

  • 逆順で話すと、嘘をついている人のほうが明らかに困難を示した

  • 話の矛盾や言い直し、沈黙が増えた

  • 観察者の嘘の見抜き精度が向上した

つまり、「逆順で語らせる」ことによって、嘘をつく人の認知的負荷がさらに高まり、ほころびが出やすくなることが確認されたのです。

ただし万能ではない

ここで大切なのは、「逆順=確実に嘘がバレる」という意味ではない、という点です。

この研究は主に実験室環境で行われています。現実の場面では、

  • 本当の記憶でも緊張すればうまく話せない

  • もともと記憶力に差がある

  • トラウマやストレスが影響する

といった要因も絡みます。

また、訓練された詐欺師や熟練の嘘つきであれば、逆順への対策を取る可能性もあります。

したがって、この方法は「確実な嘘発見装置」ではなく、「判別の精度を少し高める補助手段」と理解するのが妥当です。

なぜこの研究が面白いのか

この研究の面白さは、「嘘のしぐさ」や「目線」などの曖昧なサインではなく、脳の情報処理の仕組みそのものに着目している点にあります。

従来よく言われる「目をそらすと嘘」「まばたきが増えると嘘」といった俗説は、科学的には支持が弱いとされています。それに対して、逆順想起は「認知負荷」という理論に基づいています。

つまり、

嘘は“悪い性格”の問題ではなく、“脳の処理能力”の問題として考える

という視点転換があるのです。

日常でどう使うべきか

とはいえ、日常生活で誰かを試すように「じゃあ逆から言ってみて」と迫るのは、人間関係を壊しかねません。

この知見はむしろ、

  • 自分が嘘をつくとどれほど負荷がかかるかを理解する

  • 証言の信頼性を冷静に評価する視点を持つ

  • 刑事司法や調査面接の技術を知る

といった文脈で役立つものです。

まとめ

この記事の内容は、実在する心理学研究に基づいたものです。逆順で話すことが難しいというのは、単なる経験則ではなく、「認知負荷の増大」という理論的背景があります。

ただし、精度は限定的であり、万能の嘘発見法ではありません。あくまで「一つの有効な方法」として理解するのが適切です。

科学ニュースは刺激的な見出しになりがちですが、その背後にある研究の枠組みや限界まで知ると、より落ち着いた目で読むことができます。今回の記事も、そのような視点で読むと、十分に参考になる内容だと言えるでしょう。

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