『銀河鉄道999』のメーテル役(声)だった池田昌子さんの訃報が話題です。同作は『銀河鉄道の夜』の事実上のリメイク作品でもあります。

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『銀河鉄道999』のメーテル役(声)だった池田昌子さんの訃報が話題です。同作は『銀河鉄道の夜』の事実上のリメイク作品でもあります。

『銀河鉄道999』のメーテル役(声)だった池田昌子さんの訃報が話題です。同作は『銀河鉄道の夜』の事実上のリメイク作品でもあります。両作品をつなぐ思想や、宮沢賢治さんと松本零士さんについての共通点についてもまとめてみます。

私は、池田昌子さんというと、子供の頃の昼メロドラマのヒロインというイメージが強いのですが、やはり代表作は、松本零士さんの漫画・アニメの金字塔『銀河鉄道999』でしょう。

ところで、文学作品には『銀河鉄道の夜』という、タイトルが酷似する作品があります。

たまたまタイトルが似ているのか?

いえいえ、松本零士さんは、同作に強い感銘を受け、「いつか自分も銀河を走る列車の物語を描きたい」という願いを持っていたことを告白しています。

タイトル自体も、この作品へのオマージュとして付けられたものです。

両作には、「死と生」というテーマにおいて、共通する精神性が流れています。

『銀河鉄道の夜』
ジョバンニが親友カムパネルラと共に、死者の魂を運ぶ列車に乗り、「本当の幸せとは何か」を問いかけます。

『銀河鉄道999』
鉄郎がメーテルと共に、「永遠の命(機械の体)」を求めて旅をしますが、その過程で「限りある命の尊さ」に気づいていきます。

どちらも「宇宙を走る列車」というファンタジックな設定を借りて、「生きることの意味」という非常に重厚で哲学的なテーマを扱っています。

浄土真宗的感性とSF的リアリティ


このブログでも再三ご紹介してきましたが、宮沢賢治さんの実家は、浄土真宗の大谷派の門徒でしたが、宮沢賢治さん自身は法華経に心酔し、実家を出て東京の法華経系の教団に属していたことがあります。

ところが、作品には、明らかに浄土真宗の教えがモチーフとして使われていて、三つ子の魂百までも、と思わずにはいられません。

たとえば、『銀河鉄道の夜』も、浄土真宗の教えである往相と還相が描かれています。

銀河鉄道の夜(原作/宮沢賢治著、漫画/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)は、銀河鉄道の旅を描いた童話の漫画化
銀河鉄道の夜(原作/宮沢賢治著、漫画/バラエティ・アートワークス、Teamバンミカス)は、銀河鉄道の不思議な旅を描いた童話の漫画化です。孤独な少年ジョバンニが、友人カムパネルラと銀河鉄道に乗車し、不思議な乗客と旅をする物語です。

それに加えて松本さんは、自分の作品に「SL(蒸気機関車)」という力強いメカニックを組み合わせました。

これは、松本さんが上京する際に乗った夜行列車の体験が混ざり合ったもので、賢治の文学的世界観に、松本さん独自のSF的なリアリティが融合した結果と言えます。

そして、松本零士さんもまた、宮沢賢治さんと同様に、その精神性の根底には浄土真宗的な感性が深く流れていると考えられます。

松本さん自身が特定の宗教的実践を強調することは少なかったものの、彼の描く宇宙観や死生観、そして彼のルーツを辿ると、真宗的な「救い」や「凡夫の自覚」に通じる要素が色濃く浮かび上がります。

松本さんが描く「先祖代々の恩讐」や「受け継がれる命」というテーマは、真宗の門徒が大切にする「亡き人を縁として今の生を問う」姿勢と重なります。

人間の「愚かさ」をどう定義し、どう救いを見出すか

科学との融合性がある生命観の釈迦仏教に比べて、浄土真宗は修行を求めず、阿弥陀如来という客観的に実在しない仏に帰依するメイド・イン・ジャパンの宗門です。

外国人の仏教者が、「これでも本当にブディズムなのか」と驚くそうです。

しかし、日本では圧倒的に信徒が多い宗門であり、とくに知識人において、親鸞の書物である『教行信証』や『正信偈』などは、宗教というより哲学書としての評価がきわめて高い。

それは端的に言えば、「煩悩具足の凡夫(人間は徹底的に愚かな生き物である)」という揺るぎない持論に尽きると思います。

人は、自分とひとさまとをすぐに比較し、やきもちを焼き、でも努力はせず他責と誹謗中傷ばかり一人前で、自分だってめぐり合わせ次第では過ちを犯すかもしれないのに、ひとさきを叩くときは正義の味方のように居丈高になり、目標をもってもすぐに挫折し、達成したらしたで所期の志を忘れ余計な欲望が増長し、自分を守るためにはひとさまを裏切ったり嘘をついたりすることも辞さず……なんてことを突きつけられます。

こんにちの、脳科学者や心理学者や社会学者など、学術的に考察する手法を知っている人ならともかく、鎌倉時代の僧侶がそのような人間観を確立するのがすごいと思います。

そういうことを、正面から向き合って受け止める人にはウケるのですが、自分の弱点と向き合うことが嫌いな人にとっては、癪に障る書物だと思います(笑)。

ただ、少なくとも松本零士さんは、その人間の「愚かさ」をどう定義し、どう救いを見出すかということに、作品の方向を求めていたように思われます。

『銀河鉄道999』、ご覧になりましたか。

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