「自分では作れないごほうび」が動かすカレー市場~外食は高級化、家庭は手軽さを追求~私たちの生活スタイルや価値観の変化が反映

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「自分では作れないごほうび」が動かすカレー市場~外食は高級化、家庭は手軽さを追求~私たちの生活スタイルや価値観の変化が反映

最近、カレー業界で興味深い二極化が進んでいるのをご存知でしょうか。外食では1000円を超える高級カレーが増え、家庭ではルーよりレトルトが好まれるという、一見矛盾した現象が起きているのです。

この背景には、私たちの生活スタイルや価値観の変化が反映されています。

外食カレーは「ごほうび」の時代

「物価高なのに、なぜ1000円以上のカレーが売れるのか?」その疑問に対する答えが、インタビューにあった「自分では作れないごほうび」というキーワードです。

確かに、家庭では再現が難しい特徴を持つカレー店が増えています。長時間煮込んだスープに、厳選したスパイス、産地指定の肉や野菜など、素材と調理技術にこだわったカレーは、まさに「外食ならでは」の価値を持っています。

忙しい日常の中で、「今日だけは特別なものを食べたい」という自分へのごほうび需要が、高級カレー市場を支えているのです。1000円という価格は、単なる食事ではなく、ちょっとした非日常体験への対価として捉えられているようです。

家庭カレーは「時短・簡単」が主流に

一方、家庭で食べるカレーはというと、その方向性は真逆です。従来のルーを使ったカレーから、レトルトカレーへと需要がシフトしています。

その理由は明快です。ルーを使ったカレー作りには、野菜の切り方から煮込む時間、後片付けまで、それなりの手間と時間がかかります。しかし、現代の忙しい生活では、その時間すら貴重なのです。

レトルトカレーなら、温めるだけで本格的な味が楽しめ、調理の手間も後片付けも最小限で済みます。しかも近年のレトルト技術の進歩により、品質は飛躍的に向上しています。「手作りの味」にこだわるよりも、「手軽で美味しい」ことを優先する価値観が広がっているのです。

二極化が示す私たちの生活スタイル

この二極化は、私たちの生活スタイルの変化を如実に表しています。

外食カレーの高級化は、体験やこだわりに対する価値観の変化を示しています。単に空腹を満たすためではなく、美味しさはもちろん、店の雰囲気やサービスを含めた総合的な体験にお金を払う傾向が強まっているのです。

一方、家庭カレーの簡素化は、時間の価値が高まっている現れです。忙しい毎日の中で、家事の負担をできるだけ減らし、自分の時間を確保したいというニーズが背景にあります。

カレー業界の対応

このような消費者の価値観の変化に、カレー業界も敏感に対応しています。

外食店では、より独自性の高いメニュー開発や、素材のこだわりを前面に押し出したプロモーションが活発です。一部の店舗では、2000円を超えるプレミアムカレーも登場し、新しい市場を開拓しています。

食品メーカー側も、レトルトカレーの品質向上に力を入れるとともに、多様なニーズに応えるべく、様々な種類のレトルト商品を展開しています。和風カレーやエスニックカレーなど、家庭では作りにくいテイストのものも充実してきました。

今後のカレー市場はどうなる?

この二極化の流れは、当面続くと思われます。むしろ、両極端の間にある中間的な市場(例えば、中価格帯の外食カレーや、ルーを使った家庭での手作りカレー)が厳しくなる可能性すらあります。

外食では、さらに高付加価値化が進み、一部のカレー店は「グルメ体験の提供者」として進化していくでしょう。家庭では、レトルトカレーの品質がさらに向上し、より本格的な味わいが家庭で手軽に楽しめるようになるかもしれません。

カレーが映し出す私たちの選択

カレー市場の二極化は、単なる食のトレンドではなく、現代の私たちの生活スタイルや価値観を映し出す鏡のようなものです。

時間があるときには手間をかけて料理を楽しみ、忙しいときには手軽に済ませる。時には自分へのごほうびとして、少し贅沢な外食を楽しむ。そんな使い分けが、これからのカレーとの付き合い方になっていくのでしょう。

皆さんは、どのようなカレーライフを送っていますか?たまには、自分への「ごほうび」として、高級カレー店を訪れてみるのも良いかもしれません。そして、忙しい日々には、品質の良いレトルトカレーに頼ることも、現代的な選択として誇っていいのではないでしょうか。

カレーは、私たちの生活に寄り添いながら、その時々の社会の姿を映し出し続けていくのです。

印度カレー店に20年目にして足を運んでみた

ということで、記事を書いている途中で、開店以来20年、通り過ぎるだけで、中にはいったことのなかったほぼ地元の南インド料理店に、ふらふらっと入ってしまいました。

ゴールデンクラウン

ゴールデンクラウンという名前のお店です。

商店街ではなく住宅街の中にあり、「やっていけるのかな?」と思っていましたが、20年がんばっているのですから、大したものです。

オーナーはインド人です。

ランチタイムは、950円~で、ご飯や、焼き立てナンは食べ放題ですから、横浜家系ラーメンが1000円超えの昨今のランチ相場を考えると、高価すぎるわけでもないと思います。

私のは1080円のランチでした。

1080円のランチ

野菜カレー、チキン&鶏肉カレー、ごはん、ナン、飲み物のセットです。カレーは数種類あって選べます。

「食べ放題」というと、お代わりをしないのは損であるという固定観念の持ち主である私は、よせばいいのに、でかいナンをお代わりしてしまいました

でかいナンをお代わり

年金世代に入ってきているくせに、「腹八分目」「糖質は摂りすぎない」という2つの禁を破ってしまいましたが、まあたまにはこういうこともあってもいいかなと。

最初のお店は、ランチだけと決めているのですが、今回はインド料理では個人的にお気に入りのシークカバブもいただいてみました。

シークカバブ

みなさんにとって、カレーの位置づけは、「自分へのご褒美」ですか、「手作り料理」ですか、「簡単便利」ですか。

カレーライスと日本人 (講談社学術文庫) - 森枝卓士
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