ダウン症の赤ちゃんだから外聞悪くて嫌と、育児放棄した親に代わって特別養子縁組に迎えるご家庭を特集したニュースが話題

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ダウン症の赤ちゃんだから外聞悪くて嫌と、育児放棄した親に代わって特別養子縁組に迎えるご家庭を特集したニュースが話題

ダウン症の赤ちゃんが生まれたからと、育児放棄した親に代わって特別養子縁組に迎えるご家庭を特集したニュースが話題です。産みの親の自己愛は人として許せないし、勿体ないことをしたなあという思いもあります。生みの親に同情するコメントもおかしいですよ。

障害があることが家庭に恵まれない原因になってはいけない

ABCのニュース、『障害のある子をわが子に 特別養子縁組で育む家族の姿 生まれて良かったというメッセージを』が話題です。


生んだものの、ダウン症だから育てられないと放り出された赤ん坊を、特別養子縁組で引き取ったご家庭2組に取材しています。

最初のケース。

引き取った母親は、「こんなちっちゃい子が、ここにやって来てくれたんやと思ったら、本当にそれだけで愛おしい」

いきなり結論ですが、子と言うのはそういうものです。

このお母さんは、健全な方だと思います。

ただし、特別養子縁組で引き取ったということは、健常児なら良いが障害児なら要らない、親子関係もなかったことにしたい、という親が存在するということです。

しかし、戸籍上のつながりを切られてしまうと、将来、その子が自分のルーツを知りたくても、それは困難なことになります。

つまり、特別養子縁組制度というのは、子捨ての証拠隠滅という側面を持っています。←それが全てとは書いていませんよ。

2組目のご夫婦は、すでに実子が大きくなってからの50代での縁組です。

「障害があることが家庭に恵まれない原因になってはいけない」

全くそのとおりです。

実の母親は、死にたいほど悩んで特別養子縁組を選んだ、という描き方もされていますが、あとに書くように、それで同情はできません。

そもそも、それは親の勝手な心境であり、子には何の責任もないし、何の関係もないことです。

特別養子縁組とは、実親が一方的に縁を切る制度

まず、養子縁組制度について、かんたんに触れておきます。

通常の養子縁組というのは、引き取られた子は戸籍に「養子」と記載されます。

養子縁組した後、実子が生まれても、あくまでも第一子は実子という扱いです。

養子はどこまで言っても養子で、長男とか、長女とか、嫡順にはカウントされません。

つまり、通常の養子というのは、子の福祉の観点から、親が代わるのではなく、あくまでも実親はいて、親がもうひとり増えるという解釈です。

余談ですが、田中真紀子さんは、田中角栄さんの長女です。

が、田中角栄夫人に娘の連れ子があったために、「次女」と思っている人もいますよね。

配偶者の連れ子は、婚姻しただけでは田中角栄さんの戸籍上の子にはなりません。

その子を養子縁組して、はじめて子になります。

しかし、なったとしても「養女」であり、その後に生まれた眞紀子さんは「長女」なのです。

実親というのは、それだけ重いんですよ。

一方、特別養子縁組というのは、「生みの親」を戸籍に記載せず、引き取った親を実の親として記載する制度です。

親が代わり、かつ子と実親との関係を、なかったことにするわけです。

実の親を消すシステムです。

それによって、子は自分のルーツをたどることが困難になります。

引き取るんなら実親を消してもらいたい、という引き取る引き取る親の都合。

育てられない子なので、親子関係はなかったことにしてほしいという実親の都合。

子が第一という観点でない以上、どっちもどっちですね。

もちろん、それで子が幸せになるのなら、全くケチを付けるものではありません。

が、親の側の都合が、垣間見える制度であることは否定できません。

子を捨てる親に同情するのも「自己愛」

解せないのは、この記事に対するコメントです。

簡単に言えば、生みの親の「苦しみ」に同情しているのか、決して責めていないのです。

でも、その「優しさ」は、実は自分もそうするかもしれないという気持ちがあるからではないのですか。

何がいいか悩ましいです。
障がいのあるお子さんを育てられないと決める生みの親の葛藤を思うと言葉が見つからない。
養子にだしたから安心、楽になったわ!とはならない、だろうから苦しいと思う。罪悪感に苛まれるだろうね。
正解がわからないけど
養子に出すのだから、親はその罪悪感を甘んじて受けないといけないのかな。

子育て自体に正解はないわけで。
少なくとも登場したお子さんは笑顔で過ごしている。
それが一番じゃないかな、と思います。

きっと当事者にしか分からない葛藤があると思う。手放しても地獄、手元に置いても地獄なんだろうね。まれに、悲観して心中されれ方もいますしね。みんなが幸せになれたらいいのにね。

追い詰められて、障害のある子を手離す友人を見て、私は決してワガママとは思いませんでした。
子供の幸せを本気で願って離した手はとても温かいと思います。


確かに、子供を愛せない親のもとにいるよりは、大事に育ててくれる人のところに行ったほうが良いというのは一理あります。

しかし、それだけで特別養子縁組にすることはないでしょう。

繰り返しますが、特別養子縁組というのは、完全に実の親が子からトンヅラしたことを意味します。

何より、健常児じゃなきゃ嫌だ、というメンタリティを、なぜコメントでは問題にしないのでしょうか。

そいつらは、公園の滑り台で楽しく遊ぶ親子の笑顔のシーンを手に入れたくなって、子供を生んだだけなのです。

そこしか見ていないのです。

それと違う現実を受け入れられないのです。

だから、ダウン症だと言うだけで子を捨てられるのです。

それだけ、度し難い自己愛に満ちた人間なのです。

いいですか。

子はもう生まれているんですよ。

法的にも医学的にも社会的にも、生命が客観的に実在しているんです。

それを捨てるんですよ、戸籍まで消して。

普通の精神では出来ません。

おっ、反論ありそうですね。

では書きます。

あなた、発達障害、知らないんですか。

発達障害は、生まれてすぐにはわかりません。

健常児として生まれても、病気や怪我で、体が不自由になったり、脳に障害を負ったりするかもしれません。

そうなったら、ダウン症どころではないんですよ。

寝たきりになるかもしれないんですよ。

他害で、人に手をかけてばかりで、いつもハラハラして……。

自閉で、言葉も出ないコミュニケーションも苦手になるかもしれない。

そうなってから、捨てるんですか。

そんなことできないでしょう。

たとえ元気で育っても、大きくなってから、なにか事件を起こして社会にご迷惑をかけるだけでなく、賠償金を払うので、親は人生を棒に振るかもしれません。

そういう子にならない保証はどこにもありません。

いいですか。

子供を育てるというのは、ずーっとそのようなリスクに満ちているのです。

先程書いた、公園の親子の笑顔シーンにしたって、その帰り道に子は交通事故で死んでしまうかもしれないし、そこで人さらいに誘拐されてしまうかもしれないのです。

そういう覚悟がない人は、
子は育てられません! 

上掲のコメントの中には、興味深いものもありました。

実の親は、きっと悩んで罪悪感をともなって子を手ばなした、などと何の根拠もない性善説のコメントを書いている人に対して、こう反論しています。

罪悪感なんて感じる人ばっかじゃないよ。
世の中そんな良い人ばかりじゃない。
現実はわが子を手放してホッとしてると思う。
実際子供作る時に病気や障害の事まで覚悟してないでしょ、みんな。
障害が分かったら産むの諦める人多いよ。
それに産後想定外の理由で貧困状態になるなんて珍しくない。
親の病気とか、離婚や死別とか…
障害児が生まれると身勝手に家族を捨てる男がどれだけ多いか!
シングルなんか食べていくのがやっとで障害児なんて育てられない。
そうやって疲れ切って施設に預けるんだよ。
障害児を育てるのってね、重くなる程お金かかるし、現実がメンタルに重くのしかかる。
障害児を引き取るなんて金あるから出来る。
アメリカでも昔流行ったんだよ。

障害児の親に夫婦別れが多いのは、私の感覚ではリアリティがあります。

私は、人間には限界があるので、夫婦関係が破綻したり、シングルマザーでは育てきれずに施設に預けたりすることは責めるつもりはありません。

しかし、はじめから何もせずに捨てた、冒頭のニュースのケースは別だと思います。

どうせ、「今回は『失敗』したから、次のお産は『ちゃんとしたの』が生まれるように頑張ろう」と夫婦で話し合っているのでしょう。

そんな人には、もう人はもちろん、ペットも育ててほしくないですね。

そういう人に限って、ペットが大きくなったら嫌になって、勝手に川や神社に捨てるのでしょう。

障害があっても子育ては楽しいものですよ

リードで「勿体ない」と書きました。

どういうことかというと、ダウン症だろうが、どこかに障碍があろうが、子は人間です。

ということは、子育てを通して、人間ならではの心の通じ合いを経験できるのです。

これは、お金では買えません。

とくにダウン症のお子さんは、人懐こくて明るい場合が多いので、子育てをすれば、大変なこともあるかもしれませんが、「ああ、自分で育ててよかったな」と思うこともあると思います。

そういう機会を損失したという意味で、「勿体ない」と書いているのです。

冒頭のニュースのような親は、どうせまた、性懲りもなく、というより何事もなかったかのように子を作る人もいると思いますが、もし次ができなかったらどうするんだろうね。

まあ、そういう後悔をさせたい気はするけど(笑)、天網恢恢疎にして漏らさず、というのは人の勝手な願望なので、そうはならないんでしょうね。

以上、ダウン症の赤ちゃんだから外聞悪くて嫌と、育児放棄した親に代わって特別養子縁組に迎えるご家庭を特集したニュースが話題、でした。

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コメント

  1. 人の子の親 より:

    酷い偏見に満ちた内容。こんな無責任な記事が人を殺すことになりかねないことがわからないのだろうか。
    ダウン症の子を持つ親が、こんな記事をまともに受け止めてしまわないかが不安でしょうがない。即刻記事を削除してほしい。公開すべきでない内容である。

  2. 草野直樹 (かやのなおき) 草野直樹 (かやのなおき) より:

    気は確かですか。
    「まとも」も何も、事実ニュースとして報じられているのですが。
    文句があるんなら、ニュースを配信している方へどうぞ。

  3. 障害児支援の専門職 より:

    草野さま
    貴方は障害者のお子さんとかご家族がいらっしゃるのですか?あるいは障害者施設で働いておられるなど。
    当事者なら、このような辛辣な意見も分からなくは無いですが…
    経験したことのない部外者が、辛い決断をされた当事者の方を批判するのはいかがなものかと思います。

    • 草野直樹 (かやのなおき) 草野直樹 (かやのなおき) より:

      >辛い決断
      「辛い」ことも含めての出産という覚悟もないのに気やすく子供を作るものではありません。
      自分勝手な決断を美化したり正当化したりするのは、歪んだ自己愛です。
      子供より自分が大事、という人に子供はきちんと育てられません。

      言いがかりのないように改めて論旨を整理しますが、ダウン症児に限らず、子供を養子にすること自体を全否定しているわけではありません。

      育てきれずに、追い詰められて親子の無理心中をしてしまう方が、もっと悪いことですから。

      この記事で言いたいのは、
      特別養子縁組制度を使ってまで子供を捨てているのに、それを美化するな
      そして、それを「温かく」論評するアタシって素敵という自己愛はおかしい、と述べているのです。

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