公正取引委員会は15日、IT大手の米Googleに対し、独占禁止法違反で排除措置命令を行いました。巨大IT企業へ初の措置として話題

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公正取引委員会は15日、IT大手の米Googleに対し、独占禁止法違反で排除措置命令を行いました。巨大IT企業へ初の措置として話題

公正取引委員会は15日、IT大手の米Googleに対し、独占禁止法違反で排除措置命令を行いました。巨大IT企業へ初の措置として話題になっています。Android端末メーカーに対する、Google Playの搭載を認める条件が公正取引委員会は独占禁止法に違反すると認定されました。

「さすがに露骨すぎ」という声も上がったGoogleへの排除措置命令です。


「独占禁止法」というのは、正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」という長い名前の法律です。

簡単に言うと、「一つの会社が市場を独占して、競争がなくなるのを防ぐためのルール」です。

例えば、町にパン屋が1軒しかなかったら、そのパン屋は好きな値段をつけられますよね?

でも、パン屋が何軒もあれば、お客さんは安くておいしいパン屋を選べます。

独占禁止法は、この「選べる状態」を守るための法律というわけです。

今回Googleに下された「排除措置命令」とは?

今回、日本の公正取引委員会(競争を監視する機関)が、Googleに対して「排除措置命令」を出しました。

これは「今のやり方はルール違反だから、やり方を変えなさい」という強い命令です。

具体的には、Googleが「Android」というスマートフォンのosに関して、他の会社との競争を妨げる行為をしていたと判断されたのです。

Androidは、Googleが開発したスマートフォン用の基本ソフト(OS)です。

iPhoneの「iOS」と並んで、世界で最も使われているスマホOSです。

日本では、シャープやソニー、富士通などのメーカーがAndroid搭載スマホを出しています。

つまり、Androidのルールは、多くのスマホメーカーや私たちユーザーに直接影響するのです。

Googleの何が問題だったのか?

Googleの何が問題だったのか?

公正取引委員会によると、Googleは次のようなことをしていたとされています。

1.検索アプリの優遇
スマホメーカーに対し、Googleの検索アプリをホーム画面など目立つ場所に置くことを義務付けていた

2.競合アプリの制限
Googleの検索アプリ以外の検索アプリ(例えばYahoo!など)をプリインストール(最初から入れておくこと)することを制限していた

収益分配の条件
3.Googleからスマホメーカーへの収益分配を、Google検索の利用状況に連動させていた

要するに、「Googleのサービスを優先的に使わせるようにして、他の競合サービスが不利になるようにしていた」というわけです。

これがなぜ「独占」になるの?

「でも、Googleの製品なんだから、Googleのサービスを優先させるのは当然じゃないの?」と思うかもしれません。

確かに、自社サービスを推すこと自体は問題ありません。

問題は、Androidが市場で圧倒的なシェアを持っていることです。

日本ではスマホの約6割がAndroidです。

これほどの影響力を持つプラットフォームで「うちのサービスだけ優遇する」となると、他のサービスは太刀打ちできなくなります。

例えば、新しい検索エンジンを開発しても、Androidスマホでほとんど目に触れる機会がなければ、ユーザーは知る由もありません。

これでは「公平な競争」とは言えません。

私たちユーザーへの影響は?

「企業同士の話で、私たちには関係ない」と思った方、実は大ありです!

競争が制限されると、次のような問題が起きます。

1.選択肢が減る
新しい便利なサービスが生まれにくくなる

2.品質向上のスピードが遅くなる
競争が少ないと、既存サービスが改良する動機が弱まる

3.価格が高くなる可能性
競争がないと、サービス提供側が価格を自由に決められる

つまり、公平な競争がないと、最終的には私たちユーザーの選択肢が減り、不便になったり、価格を言い値で上げられたりする可能性があるのです。

Googleの反応は?

Google日本法人は、「公正取引委員会の決定を真摯に受け止め、Androidのライセンスプログラムを改正する」と表明しています。

具体的には、スマホメーカーが他の検索アプリをプリインストールしやすくなるよう、契約条件を変更するようです。

実は、日本だけではなく、EU(ヨーロッパ連合)やアメリカでも、Googleのビジネス慣行について同様の懸念が表明されています。

2018年にはEUがGoogleに対し、Android関連で43億ユーロ(約5,600億円)の制裁金を科したことがあります。

これは、デジタルプラットフォームが巨大化する中で、各国が「公平な競争環境」をどう維持するかという、世界的な課題の表れと言えます。

一般ユーザーとして知っておきたいこと

今回の決定は、GAFA(Google、Apple、Facebook(現Meta)、Amazon)と呼ばれる巨大IT企業に対する規制の流れの一環です。

各国は、これらの企業が持つ巨大な力が市場を歪めないよう、様々な規制を検討しています。

日本でも2020年に「デジタルプラットフォーム取引透明化法」が施行されるなど、デジタル市場の公平性を確保する動きが強まっています。

最後に、私たち一般ユーザーが知っておくと良いポイントをまとめます:

1.選択肢は常にある
デフォルトで入っているサービスだけが全てではない

2.新しいサービスを試してみる
競争を促す意味でも、時々他のサービスを試す価値あり

3.デジタルリテラシーを高める
様々なサービスを比較できる知識を持つことが重要

今回のGoogleに対する排除措置命令は、デジタル市場が健全に発展するための重要な判断でした。

一企業が市場を支配する状態が続くと、新しいアイデアやサービスが生まれにくくなります。

私たちユーザーも、常に「他に選択肢はないか?」と考え、意識的に様々なサービスを試してみることが、結果的に市場の健全な発展につながります。

次回スマホを手に取った時、検索エンジンやアプリの選択肢についても検討されてはいかがでしょうか?

小さな気付きが、デジタル市場の未来を形作る一歩になるかもしれません。

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