「うちの家は男の子ばかりで」「うちは女の子しかいないの」。きょうだいの性別が偏っているご家庭は少なくないといわれています。

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「うちの家は男の子ばかりで」「うちは女の子しかいないの」。きょうだいの性別が偏っているご家庭は少なくないといわれています。

「うちの家は男の子ばかりで」「うちは女の子しかいないの」??。皆さんの周りにも、きょうだいの性別が偏っているご家庭は少なくないのではないでしょうか。生まれてくる子どもの性別は、確率で言えば「コイントス」のように五分五分のはず。

それなのに、なぜ特定の性別ばかりのきょうだいが生まれる家庭が多いのでしょうか。

この長年の疑問に、科学が迫りつつあることを、日本経済新聞が特集しています。

みなさんのご家庭や周りに、「男の子ばかり」とか「女の子ばかり」の兄弟姉妹がいるご家庭はありませんか?

「うちは兄弟3人とも男の子なんだよね」
「私たち姉妹3人、女ばっかりなの」

そんな会話、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。生まれてくる子どもの性別は、コインを投げて表か裏かが出るのと同じで、半々の確率のはずです。それなのに、なぜか特定の性別に偏っている家庭が多いような気がしませんか?

この不思議な現象について、科学が面白い答えを出しつつあるんです。今日は、日本経済新聞で紹介されていた最新の研究を元に、この謎をわかりやすくお伝えしていきます。

偶然じゃないかもしれない?研究でわかったこと

ハーバード大学の研究者たちが、アメリカの看護師さんを対象とした大規模な調査データを分析しました。その結果、とても興味深いことがわかりました。

男の子だけ、あるいは女の子だけの家庭の数が、単なる「偶然」で説明できる数を上回っていたのです。つまり、コイントスが完全にランダムなら、男兄弟ばかりの家庭も女姉妹ばかりの家庭も、ある程度予想通りの数しかないはずです。でも、現実にはそれよりも多い数の「偏った家庭」が存在していることが確認されました。

「男っぱら」「女っぱら」という言葉を聞いたことがありますか?男の子ばかり生むお腹、女の子ばかり生むお腹、というような意味です。もしかしたら、こういった言い伝えには、何かしらの科学的な根拠があるのかもしれません。

なぜ偏りが生まれるの?二つの大きな理由

科学者たちは、この偏りを説明するために、主に二つの要因に注目しています。

親の「行動」が偏りを作り出している

実は、きょうだいの性別が偏っている家庭の多くは、親の「選択」の結果である可能性が高いのです。

どういうことか、具体的に説明しましょう。

  • 最初の子どもが男の子だった場合
    → 「次は女の子が欲しいな」と考える親が多い

  • 二人目も男の子だった場合
    → 「ぜひ女の子を!」という願いがさらに強くなる

  • その結果、女の子が生まれるまで三人目、四人目…とチャレンジする家庭が多くなる

逆に、

  • 最初の二人が男と女だった場合
    → 「どちらもそろった!」と満足し、そこで子作りを終える傾向が強い

つまり、「男兄弟ばかり」や「女姉妹ばかり」の家庭は、異性のきょうだいが欲しくて子どもを増やした結果、偶然にも同じ性別が続いてしまった家庭というわけです。

実際、2023年の研究では、最初の二人の子どもが同じ性別だった家庭は、三人目を持つ割合が6〜7%も高くなることが報告されています。これは、私たちの自然な願いが、統計上「偏った家庭」を目立たせている、いわば「行動による錯覚」とも言える現象なのです。

まだ謎が多い「体の仕組み」の影響

行動パターンだけでは説明しきれないこともあります。もしかしたら、本当に「特定の性別の子どもが生まれやすい体質」を持った人がいる可能性も、科学者たちは探っています。

私たちの体の中では、ごくわずかな環境の違いが、生まれてくる子どもの性別に影響を与えているかもしれないのです。現在、考えられている主な説をいくつか紹介します。

  1. 受精のタイミングと精子の性質
    男の子になる「Y精子」と女の子になる「X精子」では、生き残る力や泳ぐスピードに少し違いがあると言われています。排卵日の近くに受精すると男の子が生まれやすいという説もありますが、まだ確定的ではありません。

  2. 子宮の中の環境
    子宮の中が酸性かアルカリ性か(pH)によって、X精子とY精子のどちらかが生き残りやすくなる可能性があります。しかし、これもまだ研究中です。

  3. お母さんの体の状態

    • 血糖値:受精時の血糖値が高いと男の子、低いと女の子が生まれやすいという研究結果があります。

    • ストレス:ストレスホルモン(コルチゾール)の値が高いと、女の子が生まれやすいという説もあります。ストレスの多い環境では、男の子の胚(はい)が育ちにくいためではないかと考えられています。

    • 食事:かつては「多くのカロリーを摂取している女性は男の子を生みやすい」という報告もありましたが、後の研究では再確認されていません。

  4. お父さんの特徴
    お父さんの身長や社会的な地位などが、男の子が生まれる確率と関係しているかもしれない、という限られた研究もあります。

世界的に見ると、生まれてくる赤ちゃんは、女の子100人に対して男の子が約105人と、ほんの少し男の子の方が多いです。また、大きな戦争の後には男の子の出生数が増える「帰還兵効果」と呼ばれる現象も知られています。こうした現象を説明するためにも、生物学的な要因の解明が期待されています。

まとめ:運命、選択、そして体の神秘

きょうだいの性別が同じばかりに見える現象は、単なる「運」や「偶然」だけで片付けられるものではないようです。

  • 偶然:一つ一つの出産は、基本的にはコイントスのようなもの。

  • 親の行動:「男の子も女の子も欲しい」という私たちの自然な願いが、結果的に「男兄弟ばかり」「女姉妹ばかり」の家庭を目立たせている。

  • 生物学的要因:ほんの少しの体の環境の違いが、性別に影響を与えている可能性も(まだ研究中!)。

この三つが複雑に絡み合って、私たちの家族の形が作られているのかもしれません。

生まれてくる子どもの性別は、私たちが意図的にコントロールできるものではありません。でも、こうした科学の知見は、「なぜうちは男ばかりなんだろう?」という長年の疑問に対して、新しい見方を与えてくれます。それは完全な偶然ではなく、ご両親の愛情深い選択や、私たちの体のまだ解き明かされていない神秘が関係しているのだと教えてくれるのです。

次に「うちは男兄弟ばかりで」というご家庭に出会ったら、「ご両親、女の子を待ち望んでいたのかもしれないね」と、温かい気持ちで受け止めてみてはいかがでしょうか。家族の形には、それぞれにドラマがあるのですから。

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