
SNSで「絶対儲かる」「AI投資」などと偽り偽のアプリやサイトに誘導して金銭を騙し取る詐欺が、SNS型投資詐欺として問題になっています。一方、SNSで恋愛関係を装い信頼を築いた後に「一緒に投資しよう」「緊急でお金が必要」と持ちかけて送金させるロマンス詐欺も流行しています。
2つの詐欺は、本来別のもので、警察庁のデータでも両方を別々に集計していますが、特にロマンス詐欺の7割以上で「投資」が名目として使われており、重複するケースが非常に多くなっています。
そのため、警察庁や各都道府県警は、「SNS型投資・ロマンス詐欺」という一括した名称で注意喚起を行っています。
過去最悪ペースで増え続ける被害
??SNS型投資・ロマンス詐欺の被害急増中??
「投資すれば必ず利益が出る」
「絶対もうかる」
「2人の将来のお金を投資で増やそう」
などの誘いは詐欺!専門家や著名人をかたる投資の勧誘にも要注意!
なりすましが多いので、まず疑うこと!#投資 #ロマンス #詐欺 #副業 pic.twitter.com/f5T2X9Yj1I— 警察庁 (@NPA_KOHO) June 17, 2024
警察庁は、両者を以下のように別集計しています。
SNS型投資詐欺 … 認知件数 9,538件 / 被害総額 約1,274.7億円
SNS型ロマンス詐欺 … 認知件数 5,604件 / 被害総額 約552.2億円
ロマンス詐欺の大部分で投資名目が使われる
大阪府警のデータでは、SNS型ロマンス詐欺の被害のうち、「投資」を名目とするケースが約7割以上(389件/全体の大部分)を占めており、恋愛感情だけで金銭を要求するケース(107件)を大きく上回っています。
手口の流れが一体となっている
警察庁の説明でも、SNS型ロマンス詐欺の典型的な流れとして「恋愛関係を築いた後、『将来のために』などと言って投資話に誘導する」と明記されています。
つまり、
SNS型投資詐欺 … 最初から「投資」が目的
SNS型ロマンス詐欺 … 恋愛で信頼を得た手段として、最終的に投資で金を騙し取る
両者は出口(投資名目での送金)が同じであるため、被害実態として重複・類似するケースが極めて多いのです。
特に、恋愛感情を利用した上で投資話に持ち込む「SNS型ロマンス詐欺(投資名目)」の増加が顕著です。
大阪府では、このカテゴリーの認知件数が前年比+151%(394件)、被害総額は+126%(約65.8億円)となっています。
この増加傾向は全国的に一律ではなく、山形県や北海道のデータでは月によって増減が変動しています。ただ、それは例外で、全国の合計は激増しています。
なぜ「疑いながらも信じ続ける」のか
【その投資本当に大丈夫ですか?】
SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺の被害が急増しています。
令和6年4月末、広島県内で約14.8億円の被害が報告されています。
著名人の広告や、SNS(インスタグラム、フェイスブックなど)のグループトークには注意しましょう!
【#生活安全総務課】 pic.twitter.com/cEMSSsCi9F— 広島県警察(公式) (@HP_maplekun) May 23, 2024
警察庁は、「自分だけは騙されない」という思い込みは危険だと注意を呼びかけています。
SNS型投資・ロマンス詐欺は、電話一本で完結する従来のオレオレ詐欺と異なり、数日から数週間かけて信頼関係を築いてから金銭を要求する「時間をかけた手口」が特徴です。
そのため、被害者自身が「詐欺に遭っている」という自覚を持ちにくく、家族や周囲が異変に気づいた時にはすでに高額の被害が発生しているケースも少なくありません。
とくに、ロマンス詐欺の場合、被害者が詐欺かもと薄々気づきながらも、送金をやめられない背景として、「認知的調和(認知的不協和)」という心理メカニズムが深く関係しています。
つまり、心の何処かで自分も怪しさを認めつつも、相手を疑ってしまうと、その相手を信用した自分を否定してしまうことになると考え、意地でも信じてしまうというパターンです。
人は「自分が選んだ相手は正しい」「自分は騙されるような愚かな人間ではない」という自己イメージを守るために、たとえ矛盾する情報(怪しい点)があっても、それを無視したり過小評価したりする傾向があります。
また、心理学・経済学でいう「サンクコスト効果」といって、相手を詐欺師だと認めたら、「これまで注いだ愛情」「送金してしまったお金」「将来の夢」すべてが無意味になねるため、その痛みを避けるため、意図的に「信じる道」を選び続けるのです。
詐欺師はこの心理を熟知しており、被害者が疑いの気持ちを見せると:
「私を信じてくれないの? こんなに愛しているのに」
「あなたに不信感を持たれて悲しい」
(送金記録や偽の証明書を送って)「これを見て安心して」
といった感情的な揺さぶりと偽の証拠で、被害者の不安を巧みに打ち消します。
さらに、詐欺師は、「これは内緒の話」「家族や友人は理解しない」などと言って、被害者を周囲の信頼できる人々から隔離します。
その結果、客観的な助言を受けられず、自分の疑念を確かめる機会を失います。
自分の間違いとは勇気を持って向き合う
ネットは、いろいろな可能性があってたしかに便利なのですが、悪いことする側からすれば、それによる依存が狙いなんですね。
ネットに過大な期待は禁物ということでしょうか。
最終的には一人ひとりが、「知らない相手からの投資の誘いには応じない」「自分の間違いとは勇気を持って向き合う」という基本姿勢を持つことが、被害を防ぐ最も確実な方法だといえるでしょう。
警察庁の分析では、SNS型投資詐欺の当初の接触手段は、バナー等広告が3,760件、ダイレクトメッセージが3,576件となっています。
みなさんは、ネット広告やSNSの投資話を経験されたことはありますか。
出典:
警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年2月13日)
警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「令和8年2月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年4月20日)

70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか – 高倉 良一

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