
「日本は、70歳定年に向かっています。私は反対です。若い人たちの邪魔をすべきではないと思います。むしろ、定年は早くても良いと思います。」2026年3月、X(旧Twitter)に投稿されたこの一言は、大きな共感を呼び、2万件を超える閲覧数を記録しました。
人生100年時代と言われ、政府や経済界が高齢者の就労延長を推し進める中で、このポストは「本当に70歳まで働き続けることが幸せなのか?」という根源的な問いを、私たちに投げかけています。
70歳定年制を巡る様々な意見
今日の情報源です。
日本は、70歳定年に向かっています。
私は反対です。若い人たちの邪魔をすべきではないと思います。むしろ、定年は早くても良いと思います。こころと身体が柔軟なうちに、サラリーマンから解き放たれたほうが良いです。 pic.twitter.com/VRwrcTvJuX— 湯浅忠雄 YUASA TADAO (@GrwaNnKqMn5nG68) March 17, 2026
ポストの筆者である湯浅忠雄さんの意見は、「若い人たちの邪魔をすべきではない」という言葉に象徴されます。
これは、組織の新陳代謝や世代交代を重視する視点であり、実際に2021年にスタッフサービスが行った調査でも、定年制が必要な理由として「組織の新陳代謝や世代交代」を挙げる声が多く見られました。
このリポストをご紹介すると、たとえば36歳の男性は「若い世代への交代をかねて必要だと思う」、48歳の男性は「定年制がないと、いつまでも力を握った人物が会社に残ってしまう」と回答しています。
湯浅さんの、「こころと身体が柔軟なうちに、サラリーマンから解き放たれたほうが良い」という主張は、単に若者のためだけでなく、本人の人生の質にも関わる重要な指摘です。
仕事一筋だったシニアが、第二の人生で新たな趣味や生きがいを見つけるためには、心身ともに健康なうちに一歩を踏み出すことが理想的だからです。
一方で、70歳まで働き続けることに前向きな意見も根強くあります。
その最大の理由は、何と言っても老後の経済的不安です。
金融経済教育推進機構の調査では、老後生活に不安を感じる人は全体の約8割に上り、その理由のトップは「十分な金融資産がないから」、次いで「年金や保険が十分ではないから」となっています。
厚生年金の平均受給額が月15万円程度である現実を前に、「働けるうちは働きたい」と考えるのはやむを得ないことかもしれません。
人生、自力で新しいキャリアを作る時代
私の意見はどうかというと、やはり「定年は早くても良い」派です。
理由は、前述のとおりです。
伸びしろのない年寄りは、とっととやめてもらわないと、若い人が上に上がれないし、それは世代間の断絶を生む社会的不幸につながるからです。
余人を持って代えがたい、なんて、年寄りの屁理屈ですからね。無視無視。
その人がいなくなっても、別の若い人がそのポストに入って社会は回っていくのでご心配なく。
「おいおい。お前は生涯現役と言っていたのに矛盾してるじゃないか」と思われますか。
いえ、矛盾していません(キッパリ!)。
組織に帰属する年齢には上限を設けて、その時が来たら若い人に潔く譲り、その先も頑張りたい人は、組織に頼らず、それまでの経験を活かして自力で頑張ればいいのです。(会社が例外的に嘱託など別枠で残してくれるのならまた話は別です)
たとえば、過去2回ご紹介した若宮正子さんは、定年後の62歳で独力でパソコンを覚え、70歳過ぎてプログラミングを覚えてアプリを開発。
81歳でゲームアプリを発表し、86歳で政府(デジタル改革ワーキンググループ)に入って仕事をしました。

この方は、「余人を以て……」とか御託を並べて若い人の邪魔はせずに、自力で60歳すぎてから新たなキャリアを作り上げていったのです。
私は、この方のようになりたいと思っているのです。
といっても、これは竹中ナニガシが目指すところの、労働者非正規化なんかとは全然意味が違います。
組織に帰属して育ててもらい働く時期と、その職能や経験を活かして独り立ちする時期と、人生100年時代なら2つ(以上)のキャリアをもってもいいのではないか、ということです。
もちろん、食べる心配がなければ、定年がきたらそのままリタイアするのも自由です。
湯浅さんがいわれるように、「仕事」だけが人生ではないでしょう。
いずれにしても、ひとつのキャリアを引っ張りすぎるな、ということです。
もう終身雇用の時代ではないと思うのです。
世の中、可能性はどんどん広がっているんだから、この道一筋もそれはそれですばらしいけどさ、できるだけ多くのことを経験した方が人生楽しいじゃないかと私は思うのです。
みなさんは、定年についていかがお考えですか。

失敗しない定年延長 「残念なシニア」をつくらないために (光文社新書) – 石黒太郎


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