2025年3月、コンビニ大手ローソンが税込297円という低価格で「天かすご飯」を発売し、SNSを中心に大きな話題となっています。

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2025年3月、コンビニ大手ローソンが税込297円という低価格で「天かすご飯」を発売し、SNSを中心に大きな話題となっています。

2025年3月、コンビニ大手ローソンが税込297円という低価格で「天かすご飯」を発売し、SNSを中心に大きな話題となっています。天かす(揚げ玉)とご飯、天丼たれ、青のりだけというシンプルな内容のこの商品は、「弁当としては安い」「おかずが欲しくなる」など賛否両論の声を集めています。

いや、でもさ、やすいのは当たり前でしょ。

めしと天かすだけなんだからさ(汗)

「やすい」ものを売るのが、悪いと言っているのではありません。

「やすいからありがたい」一辺倒の感想で、それが市場で幅を利かせるほど、日本の一般市民の暮らしが確実に貧しくなっている現実を浮き彫りにしている、そこに気づいてほしい、ということです。

「カネがないから、今回は『天かすご飯』にした」という、訳アリやレアケース扱いではなく、これが国民の食事の当たり前になっていったらまずいだろうということです。

天かすご飯が売れる時代の背景


上のOGPによると、「天かすご飯」は、かつて“悪魔のおにぎり”としてヒットした商品にも通じる“ジャンクなズボラメニュー”です。

かつては家庭の残り物や節約メニューだったものが、今やコンビニの棚に並び、若者から「安くて美味しい」と支持されている現状。

その一方で、「家で簡単に作れるものに300円は高い」「同じ価格なら高級おにぎりを買いたい」といった否定的な声もあるといいます。

このような商品が登場し、一定の需要を得ている背景には、物価高騰と実質賃金の低下、そして生活の余裕が失われている現実があります。

実際、ニッセイ基礎研究所の調査によると、20~74歳の約8割が物価上昇の影響を家計に感じており、特に「食料」「電気・ガス代」「ガソリン代」で支出増を実感しています


多くの家庭が支出を抑える工夫を強いられているのです。

数字で見る「貧しくなった日本」


厚生労働省の調査によれば、日本の相対的貧困率は1985年以降、緩やかに上昇し続け、2021年時点で15.4%に達しています

日本の貧困の現状は?貧困率の推移や背景とは | gooddoマガジン|寄付・社会課題・SDGsに特化した情報メディア
日本の貧困の現状や貧困率の推移、背景などについて説明します。

特にひとり親世帯の貧困率は44.5%と、半数近くが貧困状態にあるという深刻な状況です。

また、2024年~2025年にかけて実施された調査では、単身世帯の48.5%、ひとり親家庭の54.3%が貧困線(等価可処分所得127万円)以下で生活していることが明らかになっています

生活困窮世帯の現状調査結果[2024年3月-2025年2月]
生活困窮世帯3,503世帯の収支を調査。 通信費は総務省家計調査平均より単身の生活困窮世帯の方が5,000円以上高い調査結果も。 日本もったいない食品センターでは日本における生活困窮世帯の自立支援につながる抜本的な解決への参考にしていた……

物価上昇にもかかわらず、賃金は十分に上がらず、可処分所得は減少傾向。特に食料品の値上げは家計を直撃し、安価で満腹感を得られる商品への需要が高まるのは当然の流れです。

かつては“貧しさの象徴”だった天かすご飯が、今や「コスパの良い選択肢」として市民権を得ているのです。

「天かすご飯」が象徴するもの

天かすご飯の登場は、単なる節約志向や新しいグルメトレンドではありません。

これは、日々の食事にすら十分なお金をかけられない人が増えている現実の裏返しです。

かつては家庭の節約術だったものが、今やコンビニで「商品」として成立するほど、安価な食事へのニーズが高まっています。

この現象を「自己責任」や「時代の流行」と片付けてしまうのは危険です。

実際、子どもの貧困も深刻で、2021年の時点で9人に1人が貧困状態。

家庭の収入が少ないため、3食しっかり食べられない子どもや、給食に頼る家庭も少なくありません。

食事の質が下がれば、健康や成長、学力、将来の選択肢にも影響を及ぼします。

「普通の暮らし」が遠のく社会

「天かすご飯」のような商品がヒットする背景には、「普通の暮らし」がどんどん遠のいているという現実があります。

かつては当たり前だった「好きな具材のおにぎりを選ぶ」「おかずのある弁当を買う」といった日常のささやかな贅沢が、今では多くの人にとって手が届きにくくなっているのです。

また、ひとり親世帯や非正規雇用者、高齢者など、社会的に弱い立場にある人ほど貧困のリスクが高く、貧困の連鎖も指摘されています。

このままでは、格差が固定化し、「努力すれば報われる」という社会の前提すら揺らぎかねません。

おわりに


ローソンの「天かすご飯」は、単なる新商品以上の意味を持っています。

安さと満腹感を求める消費者のリアルなニーズに応えた結果であり、日本社会の貧困化・生活苦の象徴とも言える存在です。

「天かすご飯が売れる時代」を他人事とせず、なぜこうした商品が必要とされるのか、社会全体で考え直すことが求められています。

食卓の風景から見えてくるのは、「豊かな国・日本」のイメージとは裏腹に、確実に貧しくなっている私たちの暮らしの現実なのです。

みなさんは、ローソンの「天かすご飯」、もう召し上がりましたか。

ローソン - 小川 孔輔
ローソン – 小川 孔輔

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